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このページは、アンソロジーリレー小説の感想のページです。

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「魔法の鍵」集英社コバルト文庫(2007年5月読了)★★★★

【M・J(ミック・ジャガー)笑いの女の子】(大原まり子)…銀行に勤めるかたわら、IEO(国際超能力者機関)の工事課で“時のほころび”を直す作業をしているモリサカ。ある日突然時間を跳んでしまったモリサカに、小さな女の子が「パンダがくるの」と助けを呼びます。
【竜の封印】(大和真也)…サボワ王国第一道士アヴェ・ロードの弟子のコルチは、王の命でパピィドラゴンの封印のためにトランジェの森に行く途中、スタンと名乗る少女に出会います。
【カムデン・マーケット】(小室みつ子)…ルーパスがビーに出会ったのは、10月の雨の降る日曜日。タバコが吸いたくて苛々していた「僕」は、ビーがタバコをふかしているのを見つけたのです。
【博物館】(風見潤)…校門を出たエリカが町に向かって一足踏み出した時、一瞬の浮遊感があり、次の瞬間、エリカは石造りの建物の中に立っていました。そして助けを呼ぶ声が…。
【スタンスランの青い霧】久美沙織)…ジョアン・ラ・フォールは母の嫁いでいるシュテファン卿の屋敷を訪ねるためにスタンスランへ。ようやく着いたレルダルゼイリには義兄のフリードリヒが来ていました。
【私はその鍵を、十年間持っていた】(波多野鷹)…画家の卵だった「私」は、ある日博物館でアテナ像を描いてる時に、ある少女に出会い、その横顔に惹かれて描き始めます。
【鍵の物語-『風街物語』異聞】井辻朱美)…王宮の花火係長だった「わたし」はひっきりなしの花火の音に辟易し、1年間の休暇を取って風街へと行くことに。
【To be a girl】(正本ノン)…子供の頃は元気印のお転婆娘だった果梨は、いつの頃からか無口な少女となり、親友もなく、憧れの杉本くんとも一言も話せない状態でした。
【新宿鍵物語(キイストーリー)】菊地秀行)…この5年ほど鍵を探して鍵屋を巡り歩いている若者は、新宿で1人の鍵屋の娘を紹介されます。しかしそこにも求める鍵はなく…。

漫画家のめるへんめーかーさんが、友人の小説家さんたちと一緒になって作ったという本です。共通のテーマは「魔法の鍵」。巻頭にはめるへんめーかーさんの絵で、偏狭な魔法使いが作った何でも開くことができる、しかし1度きりしか使えない鍵の物語が収められています。
9人の小説家さんたちは、それぞれめるへんめーかーさんの絵のイメージで話を作ったのだそうです。1度しか使えない、という設定がまずとても魅力的。「M・J笑の女の子」のモリサカが「開けたいものなんて考えつくようでなかなかない。あとになっていろいろ思ったけど、うちの銀行の金庫とか、もっとでっかく造幣局の扉とか、あるいは恋びとの秘密の日記とか、まあいろいろ」と言っていますが、本当にこういう鍵を持っていても、なかなか使い道はないかもしれませんね。「私はその鍵を、十年間持っていた」の主人公のように、何も開けないまま時間が経つ方が普通のような気がしますし、いざ開けるものを見つけても、それが本当に1度きりの鍵に相応しいものなのかどうか迷ってしまいそうです。
そしてここに収められた9つの物語で、様々なものが開かれることになります。時には「カムデン・マーケット」のビーのように鍵を探していたり、目的を持って使う場合もあるのですが、まるっきり行き当たりばったりだったり、その物を見て初めてこれを開けるべきなのだと分かったりと、パターンは様々。それぞれにとても面白かったです。この中で特に好きだったのは、大好きな風街を舞台にした「鍵の物語」。井辻朱美さんらしい展開。そしてめるへんめーかーさんの絵に本当にぴったりな「カムデン・マーケット」もいいですね。めるへんめーかーさんの単行本に入っていたら、ご本人の作品であることをまず疑わないだろうと思うほど、イメージにぴったりでした。何千頭ものパンダの情景を想像すると可笑しい「M・J笑の女の子」や、ありそうな物語ながらもロマンティックな「To be a girl」も可愛らしくて良かったです。(1989/02初版)


「メルヘン・ミステリー傑作選」河出文庫(2002年12月読了)★★★★★

【空色の魔女】仁木悦子)…幼稚園の教諭・深瀬妙子が、ひばり組の子供たちに白雪姫の物語の絵を描かせます。色々な絵がある中で妙子の目に止まったのは鳥飼さゆりの絵。そこには空色の服にハイヒール、赤い口紅で綺麗にお化粧をした魔女が描かれていたのです。
【笛吹けば人が死ぬ】(角田喜久雄)…警視庁の岡田警部と警視庁詰め記者の良輔が飲んでいる所に現れたのは、花売りをしている三井絵奈。警部は丁度絵奈の義兄の占部高久を探しており、高久の居所を教えて欲しいと頼み込みます。そして絵奈に言われるがまま、次の日曜日に逗子の海岸へ。
【メルヘン街道】(石川喬司)…ケルンの大学に留学中の恭平に誘われた「私」は休みをとってドイツに飛び、恭平の運転する車でメルヘン街道へ。旅先の「私」が涼子に宛てた手紙。
【絵のない絵本】鮎川哲也)…探偵小説を書いている「ぼく」は、ある日久しぶりに月と対面。月は締め切りが迫っているのに書けないでいる「ぼく」を見て、恵良三平と3人の女性の話を始めます。
【青ひげよ、我に帰れ】赤川次郎)…3人の妻を次々に亡くし、「芸能界の青ひげ」と呼ばれている大谷進二。永井夕子はその3番目の妻が大学の先輩ということもあり、真相を調べ始めます。そこに現れたのは現在婚約中の長山浩子。しかし長山浩子もまた、3人の妻と同じように事故死することに。
【遠い美しい声】小泉喜美子)…最高の音響設備、古今東西のありとあらゆる名盤を揃えながらも、音楽を聴き飽きたという彼。友人は彼を最近知った風変わりな店へと連れていきます。
【みにくいアヒル】(結城昌治)…小学校の頃から「ブタ松」などと呼ばれてきた井本松代。両親にも弟妹にも全く似ていない彼女は、成長すれば綺麗になれるかもしれないと思って耐えてきたのですが…。
【赤い靴】(加田伶太郎)…文化大学古典文学科の助教授・伊丹英典の所に、高校時代の旧友で、現在医学博士の松本氏が訪ねてきます。松本が内科副医長を勤める病院で女優の葛野葉子が飛降り自殺、部屋のマットレスの下から彼女の日記が発見されたというのです。

イソップやグリム、アンデルセンなどの童話をモチーフに描かれたミステリーアンソロジー。
「空色の魔女」子供のお絵描きをこんな風に発展させるとは。さゆりがあまりに痛々しく可哀想ですが、しかしこのあどけなさによって救われてもいますね。「笛吹けば人が死ぬ」完全犯罪になるかどうかという考察は面白いのですが、物語自体は少々古臭く感じられます。「メルヘン街道」これも古臭く感じられるというか… 結局何だったのでしょうか。「絵のない絵本」この残酷さは、まさしくメルヘンの世界。鮎川氏がこういう作品を書かれるとは意外でした。「青ひげよ、我に帰れ」さすが赤川氏、読みやすいです。フーダニットよりもハウダニットの作品。宇野警部と夕子のやり取りも楽しめます。「遠い美しい声」これは鮮やかですね。この短さがまた効果的。「みにくいアヒル」ブラックですね。この作品を書いたのが男性だというのが、また…。「赤い靴」この中で一番ミステリらしい作品と言えるかも。きれいにきまっています。
私がこの中で特に好きなのは「空色の魔女」と「遠い美しい声」です。どちらも奇しくも女性作家の作品ですが、「メルヘン・ミステリー」というこの表題にとても相応しい、美しい残酷さが感じられます。この1冊の中には7編の作品が収められていますが、それぞれに作風も長さもまちまちです。特に短い作品はたったの5ページ、長いもので50ページ。しかしそれらの違いが、却ってこの短編集にリズムを与えているような気がしますね。多少古臭さを感じる部分はあったものの、全体的にはとても良くまとまっているアンソロジーだと思います。(1989/08初版)


「チャイナ・ドリーム-中国夢幻譚」徳間書店(2002年2月読了)★★★★

【寒泉亭の殺人】田中芳樹)…豪商・鄭従徳の邸内にある寒泉亭で、嫌われ者の汪群が殺されます。この建物には、屋根に引かれた水が四方の軒から流れ落ちるという趣向が凝らされていました。
【唐代伝奇補逸-壼中夢記】狩野あざみ)…平安な世が続き、中央の政治はすっかり腐敗。3年間の猟官運動も空しく帰省した従兄弟を見た李明は、「戦でも起こればな…」と呟きます。そこに現れたのは見知らぬ老人。老人を追っているうちに、李明は老人の持っていた壷の中に落ちることに。
【魔月秘伝】井上祐美子)…国の奥深くにある霊山・璃山で薬草摘みをしていた夢月と羽琳は、1人の女性が追手に殺されそうになっているのを見て助けに走ります。時すでに遅く、女性はあえなく絶命。しかしその直前、女性は羽琳に真紅の晶玉を渡し、「リーンにかえして」と言い残していたのです。
【天馬千里行】赤坂好美)…20歳を幾つか過ぎたばかりの天才僧侶・玄奘は、天竺行きを目指しているものの、なかなか皇帝・李世民の許可が下りず、西域から来た人に会って情報収集の日々。しかし3度目の奏上が聞き入れられないことを知った玄奘は、実力行使で長安を出奔することに。

中華物ばかり集めたアンソロジー。
「寒泉亭の殺人」田中芳樹さんの短編集「黒竜潭異聞」にて既読。「唐代伝奇補逸 壷中夢記」元々は同人誌のために書かれたものとのこと。中国の伝奇物によくありそうな物語なのですが、なかなか綺麗でいいですね。終わり方が、安直なハッピーエンドでなかった所もまた好印象。「魔月秘伝」井上祐美子さんの短編集「夢醒往還記」にて既読。やはりこれは好きです。「天馬千里行」孫悟空や猪八戒の出てこない西遊記。天才と言われながらも、俗世のことにはまるで無頓着な玄奘は、なかなか根性が座っていますね。この天然とも言える人柄は、玄奘という僧侶の姿にとても似合っているような気がします。そして若く英邁な皇帝・李世民もとても魅力的です。「西遊記」では、確か皇帝に許されて旅立つことになっていたと思いますが、こちらの方がいかにもありそうです。(1992/09初版)


「五十円玉二十枚の謎」創元推理文庫(2001年3月読了)★★

若竹七海さんが大学生の頃に、アルバイトをしていた書店で体験した奇妙な出来事。毎週土曜日の夕方になると1人の男性がレジにやってきて、50円玉20枚を千円札1枚に両替して欲しいというのです。その男性は何週間もの間、土曜日になると現れるのですが、しかしその後ぱったりと姿が見えなくなります。そして10年後。東京創元社の戸川編集長率いる「新・地獄荘の夜’90」で、若竹さんがこの話をミステリ作家諸氏にしたところ、謎解きが盛り上がり、プロはもちろんアマチュアからも解答編を一般公募して、競作という形で解答編を1冊にまとめるという企画に発展します。
プロからは、法月綸太郎、依井貴裕、有栖川有栖、笠原卓、阿部陽一、黒崎緑、いしいひさいち(漫画)各氏が参加、一般公募からは佐々木淳、高尾源一郎、谷英樹、矢多真沙香、榊京助、高橋謙一各氏が選ばれています。この一般公募の佐々木淳氏というのは後の倉知淳氏。これは倉知さんの事実上のデビュー作となります。猫丸先輩物です。 高橋謙一氏は剣持鷹士氏。

とても魅力的な謎に、プロアマ入り乱れて解答編をつけるという興味深い企画。しかし内輪ウケのネタが多く、しかもこれが全く面白くないのです。中途半端な解答も多くて残念。もう少し切れの良い解答が読みたかったのですが、やはりそれだけ謎が難しすぎたということなのでしょうか。
全体的に見ると、プロの作品よりも一般公募の作品にひねりや工夫が見られて面白かったです。特に倉知さんの猫丸先輩物は、この頃から強引な作風だったのですね。(東京創元社単行本にて 1993/01初版)

「五十円玉二十枚の謎 問題編」(若竹七海)、「土曜日の本」(法月綸太郎)、「解答編」(依井貴裕
若竹賞…佐々木淳、法月賞…高尾源三郎、依井賞…谷英樹、優秀賞…矢多真沙香、優秀賞…榊京助、最優秀賞…高橋謙一「老紳士は何故…?」(有栖川有栖)「五十円玉二十個を両替する男―または編集長Y・T氏の陰謀」(笠原卓)、「五十円玉二十枚両替男の冒険」(阿部陽一)「消失騒動」(黒崎緑)「50円玉とわたし」(いしいひさいち)


「チャイナ・ドリーム-中国夢幻譚2」徳間書店(2002年2月読了)★★★★

【黄帝の末裔】狩野あざみ)…公孫家が襲われ、息子の秀が王宮へと連れ去られます。早速取り戻そうとする西。しかし荘周という老人に止められ、王宮に入る孟子の随従として王宮に入り込むことに。公孫秀こそが、この世に生まれ変わった黄龍だったのです。
【王聡児紅蓮】井上祐美子)…襄陽市内、弾圧を受けていた白蓮教の信者の処刑の場。王聡児と斉二は、絡まれていた老人を助けます。聡児は芸を見せながら黒い丸薬を売っている16〜7歳の美少女、斉二こと斉林は県の役所の捕吏。その頃襄陽では、義賊が現れると評判になっていました。
【烏鷺庵筆記】真樹操)…蘇州で胡三郎と名乗る1匹の仙狐に出会い、家を借りて住まわせて欲しいのだと頼まれた李紹。胡三郎と李紹は、没落貴族の家の離れである烏鷺庵に住み始めます。
【天馬千里行II 金狼姫迷情】赤坂好美)…玄奘は天竺への旅の途中、高昌国へ。文泰王に気に入られて盛大な歓待を受け、しかも美貌で知られる王の妹・紅蓮にも熱い眼差しを受けることになります。
【春風の辞】狩野あざみ)…姉の衛子夫からの急な使者があり、鄭青は建章宮へ。しかし王宮でいきなり捕らえられ、あやうく館陶公主に殺されるところを、公孫騎郎と謎の武人たちに助けられることに。
【猫鬼】田中芳樹)…26歳の沈光は、技楼の帰りに刀傷のある猫を拾います。見知らぬ男たちに取り囲まれながらも家に戻り、猫の手当てをしていると、見知らぬ白髯の老人が現れます。

中華物ばかり集めたアンソロジー。
「黄帝の末裔」狩野あざみさんの「亜州黄龍伝奇」シリーズの外伝。本編を読んでいなくても大丈夫だと思いますが、読んでいる方が一層楽しめるでしょうね。本編もいいのですが、やはり古い時代にしっくりと馴染むモチーフだと改めて思いました。孟子の使われ方もいいですね。「王聡児紅蓮」井上祐美子さんの短編集「夢醒往還記」にて既読。「烏鷺庵筆記」仙狐と同居してしまうというのが、いかにも中国らしい物語。まるで「聊斎志異」のようです。胡三郎と李紹は、とぼけた会話がとても楽しいコンビですし、最後のまとまり方もなかなかすっきりしていますね。「金狼姫迷情」「チャイナ・ドリーム」の「天馬千里行」の続編。西遊記の中にも、こういう話がありましたね。やはり「西遊記」に原典をとっているのでしょうか。しかしそちらを読んだ時も思いましたが、どうしても欲しい人材なら、天竺からの帰り道に仕官させた方が、お互いに幸せだと思うのですが…。「春風の辞」短いながらもまとまりの良い作品。謎の若者が、いかにも精悍でカッコイイですし、鄭青がまた世間知らずで初々しくて、可愛いのです。「猫鬼」田中芳樹さんの短編集「黒竜潭異聞」にて既読。やはり沈光がいいのです。(1993/07初版)


「密室」角川文庫(2000年11月読了)★★★

【消えた背番号11】(姉小路祐)…Jリーグ・関東ホワイティズと京阪スカイの試合の直前、ホワイティズのFW・三沢大介のユニフォームが消え失せます。
【開かずの間の怪】有栖川有栖)…江神先輩、モチさん、信長、アリスの4人は、幽霊屋敷となっている古い病院の話を聞き、早速泊まりこむことに。開かずの間から幽霊が出てくるというのですが…。
【うば捨て山】岩崎正吾)…「ぼく」は今年70才になる祖母のたっての願いで、かつてうば捨て山だった山に一緒に登ります。その夜、「ぼく」はまるで「楢山節考」のような夢を見ることに。
【傾いた密室】折原一)…ある女性ファンから、覆面作家・西木香宛に来た手紙は、自分の父が死んだ密室の謎を解いて欲しいという依頼でした。早速FAXでのやり取りが始まります。
【密室のユリ】二階堂黎人)…人気若手推理小説作家の生田百合美が殺されます。その現場は三重密室とも言える強固な密閉状態。しかし犯行の一部始終が百合美のカセットに残っており…。
【ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?】法月綸太郎)…私立探偵リュウ・アーチャーは、ジェラルド・キンケイドの依頼で、孫娘のアリス・ホイットマンを探すことに。
【靴の中の死体】山口雅也)…クリスマス休暇中のロンドン。スコットランドヤードのキッド、ピンク、ブル博士の元に、シューメイカー婦人から密室の宝石泥棒事件を解決して欲しいという依頼が。
【声たち】若竹七海)…ある新興の貿易会社の会長が殺害されます。しかしその有力容疑者の6人は、なんとまさにその犯行時刻、6人で集まって会長の殺害計画を立てていたというのです。

「野生時代」で、密室をテーマに競作された短編集。
「消えた背番号11」観客やスタッフの目が作る密室。まるでクイズのような作品。悪くはないのですが、少々説明が多すぎるかも。「開かずの間の怪」学生アリスシリーズ。想像できるオチなのですが、しかしやはり面白いです。江神先輩の推理の切れ味は相変わらず。「うば捨て山」山自体が密室となっています。うば捨て山伝説に関する解釈が面白いですね。山ん婆の話と結びつけるところといい、なかなか新鮮。「傾いた密室」ここに登場する覆面作家・西木香は、やはり北村薫さんがモデルなのでしょうけれど… 温和な笑顔が魅力の北村さんを、こんなエロおやじにしてしまうとは品性を疑います。「密室のユリ」二階堂蘭子シリーズ。安定した中編です。しかしやはり蘭子には長編の方が似合うような気がしますね。「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」題名は映画「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」から。リュウ・アーチャーは、ロス・マクドナルドの生んだ私立探偵。最後の意味が分からないままに終わってしまいました。原作を読んでいないせいなのでしょうか。しかし原作を読んでいないと楽しめないというのも、不親切な気がします。「靴の中の死体」キッド・ピストルズシリーズ。キッドとピンクは相変わらず楽しくていいですね。小物の使い方も上手いです。「声たち」声による逆密室。冒頭の密室が面白いですし、テンポが良くて小気味いい作品。警察で検証すればすぐ分かることのような気もしますが。
楽屋落ちネタが多くて楽しい1冊です。そのせいで、良く分からない部分もあるのですが…。(カドカワノベルスにて1994/05初版)


「チャイナ・ドリーム-中国夢幻譚3」徳間書店(2002年2月読了)★★★★

【夢醒往還記】井上祐美子)…自分が科挙の試験に受かる日だけを楽しみにしている乳母と2人で暮らす阮生。ある日彼は眠りにつくと、科挙試験に合格した知らせを受ける夢をみます。その夢の中では乳母は既に亡くなっており、自分1人きり。彼は眠りにつくたびに、その夢の続きを見ることに。
【香港皇家警察O記-もぐらの唄】(ロッティ・渡部・星野ケイ)…返還を間近に迎えた香港。組織と黒社会絡みの事件を専門的に扱うエリート集団・O記にやってきた阿星は、偉仔のようなのほほんとした人間と組むことになり嘆きます。しかし偉仔は相変わらずのマイペースで…。
【秘曲】真樹操)…春秋時代と戦国時代の端境期。晋の平公の元へと向かった衛の霊公が濮川のほとりで聞いたのは、微かな琴の音。美人の吐息のように甘く、すすり泣くような調べ。霊公は初めて聞くその曲に心を打たれ、連れて来た楽師の1人にもそれを聞かせ、習得させることに。
【王行真伝】(皇なつき)…人倫の煩わしさに辟易し退官、帰郷した王行真は、いつの頃からか神仙に憧れるように。そして華山に入って道士の下で修行をしようと思い立ちます。
【青嵐賦】狩野あざみ)…漢朝7代皇帝・劉徹は江都王・劉非を招いて狩猟へ。衛青や公孫敖、常侍郎の東方朔らも従います。肝心の劉非が急病で帰ってしまうのですが、狩猟は予定通り行われます
【天馬千里行III 葱嶺無涯】赤坂好美)…王妹・紅蓮を奪われた玄奘一行。亀茲国に着いた時に紅蓮を返すかどうか考えると言った盗賊の言葉を信じて、ひたすら亀茲国に急ぎます。
【黒道兇日の女】田中芳樹)…黄河下流を騎行していた元直は、聶隠という少女を助けます。聶隠は4年間尼の元で仙術や武術を修行し、家に帰るところ。少女は刺客だったのです。

中華物ばかり集めたアンソロジー。
「夢醒往還記」井上祐美子さんの短編集「夢醒往還記」にて既読。邯鄲の夢のバリエーションとなる物語は多いですが、これもやはり好きな作品。最後が切ないのです。「香港皇家警察O記-もぐらの唄」香港映画のようなノリの良さとテンポを持った作品。のほほんとした人間が意外な実力を持っていたというのはよくある話ですが、最後は淋しいですね。「秘曲」まさに、「奢れる者も久しからず」。「王行真伝」皇さんのイラスト入りの物語。やはりイラストが美しいです。物語自体はとても短く、警句に富んだもの。「青嵐賦」「チャイナ・ドリーム2」の「春風の辞」の続編。後に武帝と呼ばれるほどの皇帝が、自分の本当に望んでいることを叶えられないというのは、なんとも切ないです。ただ今回は本筋とは関係のない部分も多く、例えば衛子夫の場面などは楽しくはあるものの、少々冗長にも感じられてしまいました。「葱領無涯」「チャイナ・ドリーム2」の「金狼姫迷情」のさらに続編。西遊記から徐々に紅蓮の恋愛物にシフトしてきたような気もしますが、玄奘の旅も着々と進んでいます。これもまだまだ続編がありそうですね。「黒道兇日の女」田中芳樹さんの短編集「黒竜潭異聞」にて既読。(1994/08初版)


「誘拐」角川文庫(2002年1月読了)★★★★

【二十世紀的誘拐】有栖川有栖)…ゼミのコンパの帰り、酒巻教授の家に泊まった織田と望月。そこには売れない作家だという教授の弟も来ていました。翌日、教授の家に「絵は預かった」というファックスが入ります。しかし身代金はたったの千円。明らかに教授の弟の悪戯と思われるのですが…。
【セコい誘拐】(五十嵐均)…不動産会社社長・上条敏夫の一人娘が誘拐され、身代金3千万円が要求されます。バブル崩壊後金策に苦しみ、自宅すら二重三重の担保にとられている彼がとった手段とは。
【二重誘拐】折原一)…締め切りから逃げ出した覆面作家・西木香。しかし車が崖から転落、西木香の大ファンという女性に助けられることに。しかしこの女性好みの小説を書かせられることになり…。
【知るべからず】(香納諒一)…身元不明の男が引き逃げされます。男が脅迫状らしきものと、1万円札が詰まったかばんだけを持っていたことから、警察は誘拐事件に繋がる事件と判断します。
【スイカの脅迫状】霞流一)…葬式をとりしきるはずだった和尚が倒れたことを聞き、かけつけた漢方医の篠上。葬式の朝、遺体が誘拐され、遺体が入っていた棺桶には脅迫状と一緒に割れたスイカが。
【トランスミッション】法月綸太郎)…まだ寝ている「僕」のところに、「あなたのお子さんを誘拐しました」という電話がかかってきます。どうやらヤスナガカズヒコという人の所にかけるつもりで、間違えたらしいのですが、「僕」は放ってもおけず、電話番号帳で安永和彦氏の名前を見つけて電話をすることに。
【さらわれた幽霊】山口雅也)…20年前に誘拐されたきりで消息不明の息子を思い続ける女優・アン・ピープルズ。そして20年たった同じ日、当時と同じ文面の脅迫状が届きます。
【誰の眉?】(吉村達也)…息子を誘拐された梨田充が、精神分析医・氷室想介の元へ。誘拐犯人が自分の眉を指さして「ダリノマユ?」と言ったと聞き、自分の実の父親が犯人ではないかと疑ったのです。

「野生時代」で、誘拐をテーマに競作された短編集。
「二十世紀的誘拐」は学生アリスシリーズ、「さらわれた幽霊」はキッド・ピストルズシリーズ。どの作品もテーマは「誘拐」なのですが、こうやって読んでみると、そのバリエーションの豊富さに驚かされます。「二十世紀的誘拐」は絵の誘拐ですし、「スイカの脅迫状」は遺体、「さらわれた幽霊」に至っては死んだ息子の霊の誘拐。さすがにいろいろなアイディアが出てくるものですね。身代金の扱い方や支払方法についても様々。工夫が凝らされていますね。この中で私が好きなのは、「二十世紀的誘拐」と「トランスミッション」、そして「さらわれた幽霊」の3作品。特に「トランスミッション」は、設定もとても面白いですし、ラストにも驚かされました。その他では「スイカの脅迫状」も、テンションの高さが楽しい作品。しかし実は作品以上に面白かったのは、新保博久氏の解説かもしれません。(カドカワノベルスにて1995/01初版)


「ファンタジーの大学」DHC(2007年8月読了)★★★★

【夢の種を蒔く-ぼくのファンタジー論】みなみらんぼう)…詩人ランボーへの憧れ。子ども時代に体験した記憶や思い出は、たとえ悲しい思い出ではあっても、前向きに生きようとする限り、必ずプラスに作用して大きな力となってくれるもの。そういった経験や思い出を持っていることこそ「夢の種蒔き」であり、ファンタジーである。
【ファンタジーの法則-トールキンのファンタジー論から】(桂宥子)…英国でファンタジーがさかんになった理由は、まず様々な神話や伝説を持つ異民族たちが出会い、豊かな昔話の伝統があったこと、19世紀に大陸からグリムやアンデルセンが紹介されて刺激になったこと、いかにも妖精の住みそうな英国の自然風土など。ファンタジー世界へのトールキンの言う第二の世界の現れ方は3種類ある。1.現実世界とはまた別に第二の世界がある。2.現実世界の中に第二の世界がある(エヴリデイ・マジック)。3.作品中に現実世界が全く現れない。現実世界から第二の世界に入り、そして帰還する手段は非常に大切であり、論理的で説得力を持たねばならない。第二の世界そのものも、現実世界と同様に実際的で首尾一貫していなければならない。リアリティがあるからこそ、ファンタジーは人生の根本問題にまで触れることができ、真実や真理が一層鮮明に描かれる。
【常識のそとのワンダーランド-ルイス・キャロルと「アリス」の物語】猪熊葉子)…「ふしぎの国のアリス」の特色は、それ以前の作家のように、その空想の世界をイギリスの伝統的な妖精物語の発想に負っていないところ。19世紀の子どもの現実を変形して物語にしているので、この世界を支配するのは「常識」ではなく「非常識」となる。19世紀の中産階級の単調な生活を送る子どもたちを解放し、自分自身の強烈に抑圧された心をも解放した。
【妖精たちの身上書-イギリスのファンタジーと伝説から】(井村君江)…妖精の歴史や分類、レプラホーン、バンシー、プーカ、メローなど妖精たちの紹介、現在の妖精の美しいイメージを作り上げたシェイクスピアについて。
【マザー・グースのセンスとナンセンス-英国伝承童謡の世界】(鷲津名都江)…マザー・グースとは、800とも1000とも言われる英国伝承童謡の総称。英語で韻を踏むことによるリズムや音の面白さを日本語に置き換えることは非常に難しいが、英国の子どもたちは幼い頃からマザーグースを聞かされ、歌い、遊んで育つ。児童文学だけでなく大人の小説や政治・経済の記事の見出し、コマーシャル、映画のタイトルなどにも頻繁に使われており、大人と子どもの共通文化遺産として行き続けている。
【マッチ売りの少女」の心的世界-死にいたる少女の心理】(森省二)…大晦日の晩・暗い・寒い=少女の孤独、雪=汚れない純白・少女の汚れない美しさ・暗く貧しい世界を清楚な世界に高める、雪が積もる=思いが積もる、母の形見のスリッパをなくす=母子の愛の絆が断ち切られる、小さな少女に大きなスリッパ=和合しない母子関係、通りがかりの男性がゆりかごに使うと拾って持っていった片方のスリッパ=死と再生、帽子と靴の不在=保護が剥奪されて心が露になる、売り物のマッチに火をつける=家に戻る気はもうない、4回摺るマッチ=4は完成・完結の数であり降臨節に毎週1本ずつ点す蝋燭、1本目のマッチ・ストーブ=生理的な欲求の充足、2本目のマッチ・食べ物=幻影の中の充足でありフォークやナイフを突き刺したまま歩くガチョウは少女自身、3本目のマッチ・クリスマス・ツリー=精神的希求、4本目のマッチ・おばあさんの幸福な姿=母親でなく祖母であるのは、母子の愛憎の生々しさに比べて、祖母と孫の愛情は解脱した神聖かつ永遠の愛の姿を語る。
【子どもの世界・大人の目-ピーター・パンとウェンディーにみる児童文学の発想】(上野瞭)…ピーター・パンでは極端な「大人の矮小化」が行われ、大人が介入しない子どもだけの国「ネバーランド」が創造されて、子供たちに共感される物語となった。「クローディアの秘密」では、メトロポリタン美術館がネバーランドの現代版。多くの児童文学では、家出や孤児という設定で、世界を再発見することを意図している。空想の物語というのは逃避の世界ではなく、人間のなかに潜在する可能性をどれだけ広げられるか証明してみせたもの。それがファンタジー。ちなみに児童文学と大人の文学の違いは、大人の文学は読者対象を限定することはないのに対し、児童文学の場合特定の年齢幅を想定して書かれていること。児童文学は教育の手段ではない。
【砂漠に降りた王子さまのメッセージ-「星の王子さま」が問いかけるもの】(小原信)…大切なことが分かるはずの王子が、飛行士の仕事を邪魔してまでしつこく問い続けたのはなぜなのか。
【アヴォンリーという名のファンタジーランド-「赤毛のアン」の世界】(横川寿美子)…「赤毛のアン」の物語の中の「ほっとした気分になれる」要素とは、内気で無口、女性に恐怖心を抱くマシュウのあり方が重要な出発点となっている。マシュウ自身は男性としての役割よりも母親的存在。そしてアンの世界には男性がほとんど存在していない。アンと深く関わりあうのは、ギルバートとフィリップ先生程度。女性のユートピアという意味でも「ほっとできる」。そしてアヴォンリーの外の自然や風景の描写はほとんどない。アヴォンリーを中心にせいぜい5マイル程度。明らかに外の世界と区分され、「歓喜の白い路」のりんごの並木道が、外界とアヴォンリーを結ぶトンネルとなっている。アヴォンリーはファンタジーランドの性質をそっくり持った異界であり、全てが落ち着いた一律のものである空間、マシュウとマニラに守られた穏やかな子供時代を象徴する、居心地の良いほっとする世界。
【夜歩くもの・百鬼夜行の物語-平安京に棲む「鬼」と説話】(田中貴子)…「鬼(き)」は元々中国の言葉で、「死者の霊」の意味。「鬼」ろいうのは人の「心の闇」が見えてしまうことであり、その闇の正体不明さに「鬼」と名付けて理解できるように形象化した。これは不可知で不可視の現象を言語によってからめとって認識する方法。辻は民俗学では境界を意味し、魔と出会う場所とされていた。橋も一種の境界であり、その上で様々な怪異現象が展開される。都市の闇と心の闇が重なる時、百鬼夜行が見えてくる。
【絵が語るファンタジー-現代絵本のはじまり】(吉田新一)…19世紀後半から20世紀はじめにかけて活躍し、以後の絵本の評価と目標の試金石的絵本を作り出したイギリスのクレーン、グリーナウェイ、コールデコット、ポターという4人の先駆者たちについて。
「イーハトーヴの幻想旅行-宮沢賢治の童話世界】(松田司郎)…宮澤賢治の型破りな発想や豊かな幻想性。宮澤賢治の描くイーハトーヴは、現実世界を超えたもう1つの国、いわば現実と幻想の狭間に広がるファンタジーの国であり、宮澤賢治の文学は楽園へ回帰するための呪文である。

12人による、ファンタジー評論集。取り上げられている作品も身近なものばかりですし、とても噛み砕いて書いてあるため非常に分かりやすく、気軽に読めます。だからといって内容が浅いわけではありません。
特に興味深かったのは、横川寿美子さんの「アヴォンリーという名のファンタジーランド-赤毛のアンの世界」。全体の要旨は「赤毛のアン」の物語の中の「ほっとした気分になれる」要素とは何かという、私としてはそれほど興味を引かれないものだったのですが、アヴォンリーという場所の特異性が指摘されてたのが面白かったです。「赤毛のアン」といえば、そこから派生してプリンスエドワード島の写真集等も出てることからも分かるように、いつか行ってみたいと思う人がすごく多い場所。アンは色んな場所を見ては感激し、自分だけの呼び名をつけていますし、とても美しい場所だというイメージがあります。しかしアヴォンリーではそれだけ景色の描写が念入りにされているのに、物語の冒頭はそうでもないのです。マシュウがアンを迎えに行った駅や、そこから馬車に乗って眺めた景色などに関しては全く描かれていません。 どこからあの描写が始まるかといえば、それは「歓喜の白い路」のりんごの並木道から。横川寿美子さんいわく、赤毛のアンの世界では、この並木道こそが外界とアヴォンリーを結ぶトンネルであり、アヴォンリーはファンタジーランドの性質をそっくり持った異界となっているのだそう。そしてファンタジーランドなのは、アヴォンリーを中心にせいぜい5マイル程度。時にはその外の世界へと出かけることはあるけれど、外に出てしまうとやはりまた描写がなくなってしまうのだとか。私も、最初に駅に着いてから途中までの描写が全くないのは気づいていましたが、アヴォンリーに着いた時のアンの感激を際立たせるためなのかとぼんやり考えていました。なんとアヴォンリーがファンタジーランドだったとは。しかしこれは十分あり得る話ですね。面白いです。 (1995/05初版)


「龍虎酔夢-チャイナ・ファンタジア」徳間ノベルス(2002年3月読了)★★

【たとえば朝露の如】藤水名子)…琳芝が曹操の下級武士である武儀に嫁いで10年。夫にどうしても優しくすることができないのは、12年前のイク水の戦いの時、夫が曹昴の従者をしていながら主君を死なせたことを知ってしまってから。琳芝は、曹昴に仄かな想いを抱いていたのです。
【錦繍の文士-司馬相如伝】真樹操)…県令の王吉を久しぶりに訪ねた司馬相如は、滞在するうちに、地元でも有数の素封家の19歳の卓文君を妻に欲しいと言い出します。天才の自分が出世するために卓家の財産が必要だと言うのです。あまりの自信過剰ぶりに王吉は一世一代の博打を打つことに。
【張伯の村】(秋月達郎)…荊湖北路を旅していた張伯と李叔は、張伯里という場所を通りがかります。しかし2人は旅僧に、この邑は張伯という名を持った人間を歓迎しないのだと警告され…。
【打鹿目】(樋口明雄)…1987年8月。中国北部の大興安嶺から黒竜江対岸に至る広大な森林が山火事に遭い、ハルビン大学で民俗学を教えている「私」は、政府の認可を待って現地へ。
【虎之夢】(ロッティ・渡部・星野ケイ)…少皇は「廣州の虎」の二つ名を持つ賞金稼ぎ。子供が野盗に殺されたのを目撃した少皇は思わず野盗に斬りかかり、フォンと名乗る若者に助けられます。
【追っ掛け☆香港DREAM】(ひかわ玲子)…田中千笑は有給休暇をとり、高校時代からの友人・鈴木瑠璃と共に香港へ。千笑は香港映画のスター・アンディ・ラウに夢中だったのです。

中華物ばかり集めたアンソロジー。
この中でまずまず良かったのは、「たとえば朝露の如」と「錦繍の文士」。「たとえば朝露の如」は、井上祐美子さんの「女将軍伝」のような雰囲気。しかし全体的な雰囲気は悪くないのですが、もう少し藤作品らしい遊び心が欲しい気もします。「錦繍の文士」司馬相如がこれほど楽しい人物だとは想像もしていませんでした。東方朔といい司馬相如といい、武帝の周りは本当に人材が豊富ですね。しかしそれが帝王となるための重要な条件でもあるのかもしれませんね。(1995/09初版)

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