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このページは、霞流一さんの本の感想のページです。

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「おさかな棺(かん)」角川文庫(2004年1月読了)★★★
【春「顔面神経痛のタイ」】…私立探偵・紅門福助の仕事は、別れた夫・鳥越直行が交通事故に遭った時に、なぜセーラー服を着ていたのかという謎の究明。娘は高熱を出して寝込んでいました。
【夏「穴があればウナギ」】…関根美咲の依頼は、足柄恵造の名前で高級お茶漬けセットを送ってきた人物を探すこと。足柄は4つ股をかけており、美咲は自分以外の3人の女の誰かだと考えていました。
【秋「夕陽で焼くサンマ」】…人気俳優・滝野沢将介の謎は、自宅の銀杏の木に布団がひっかかっていたこと。自宅と隣接する稽古場の押入れの布団が、梯子で登るような高さに引っ掛かっていたのです。
【冬「吊るされアンコウ」】…銀座のクラブ「夕霧」のドアに、2度にわたって掛けられていた日本人形の頭髪。第一発見者は店のホステス、第二発見者は客、紅門福助は早速クラブで話を聞くことに。

初の霞流一作品。
紅門福助という42歳の探偵が活躍する連作短編集。この探偵は、今までにも「デッド・ロブスター」「呪い亀」などの作品で活躍しているようですね。ごく普通のハードボイルドな探偵のはずなのですが、その話し方がどことなく誇張されているようで、二階堂黎人氏の渋柿信介のキャラクターを思い出してしまいました。
セーラー服を着ていた謎、心当たりのないお茶漬けセットの届いた謎、布団が銀杏の木に干されていた謎、クラブのドアに掛けられていた人形の頭髪の謎と、4作とも日常の謎から始まります。しかしそれが途中で殺人事件へと発展することに。この冒頭の日常の謎がそれぞれに奇妙なので期待してしまうのですが、それに比べると殺人事件の部分が生々しく、あまり釣り合わないような気がしてしまいました。魚の見立てもやや強引。しかし、どれも伏線をとても大切にしているという印象ですね。冒頭近くのさりげない一言が綺麗に伏線となっていて、特に「顔面神経痛のタイ」のセーラー服の謎には驚きました。
事前にバカミスだと聞いていたのですが、実はあまりピンとこなかったです。今回は初めてで勝手が分からなかったのですが、もっと霞さん流のギャグに慣れれば、もっと楽しめるのかも。しかしこのまま終わるのかと思いきや、最後にはびっくり。これが霞さんの持ち味なのでしょうか。なかなか強烈なラストですね。
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