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このページは、岩崎正吾さんの本の感想のページです。

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「探偵の夏-あるいは悪魔の子守唄」創元推理文庫(2000年8月読了)★★
題名通り、横溝正史の「悪魔の子守唄」を本歌取りとした作品です。八鹿村(やつしかむら)、通称「八馬鹿村(やつばかむら)」に伝えられた奇妙な子守唄通りに人が殺されていきます。そして「梅のお大尽」に雇われて村にやってきた探偵・キンダイチがこの事件の謎に挑むことに。

読み始めはワクワクするような展開だったはずなのですが、途中からは何故か普通になってしまいました。悪くはないのだけれど決め手がない…という感じ。私が横溝正史についてそんなに読みこんでいないというのが、ネックになったのかもしれません。金田一耕助シリーズを彷彿とさせるモチーフはたくさん散りばめてあるのですが… もっとおどろおどろした雰囲気になるかと思いきや、案外さらっとした作品に仕上がっていますね。横溝正史特有の、美しさと恐ろしさが表裏一体となった世界観みたいなものは、ここにはあまり感じられないように思います。横溝正史を読みこんでる人にはニヤリとさせられる個所が多いのかもしれませんが、そうでない場合は、少々つらいかもしれません。ただ、作者が横溝正史が大好きだというのは、かなりしっかり伝わってきます。

「探偵の秋-あるいは猥の悲劇」創元推理文庫(2001年3月読了)★★
山梨県有数の名士である八田家の当主・八田欲右衛門の死体が雪山で発見されます。夫人からの癌告知を苦にしての自殺でした。そして跡目と八田家の財産に関する遺言が発表され、一周忌の法要の追悼興行のために九州からかけつけた旅役者・乱菊をも巻き込んで、事件が次々に起こっていきます。

探偵の四季第2弾。今回はエラリー・クイーンの「Yの悲劇」の本歌取りです。そして「Y」が「猥」に置き換えられているだけあり、男女関係が入り乱れ、事件がどんどんややこしくなっていきます。これはまるで○曜サスペンスのよう…。名前や設定などで、本歌である「Yの悲劇」を色々ともじって遊んでいますが、実際には「Yの悲劇」は読んでいなくても、それほど問題ないと思います。
それで肝心の内容ですが、私としては「探偵の夏」に比べて、この作品の方が読みやすく感じました。しかしこの作品では、一体誰が探偵役なのかなかなか分からなかったのが難点でしょうか。その分、謎解き面での盛り上がりには欠けた部分があったように思います。最後も少々尻切れとんぼのようですね。
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