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このページは、依井貴裕さんの本の感想のページです。

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「夜想曲(ノクターン)」角川文庫(2001年9月読了)★★
休業中の俳優・桜木和巳の元に届いた一通の分厚い手紙。それは数ヶ月前にある山荘で起きた殺人事件のことを書いた原稿の束でした。桜井が俳優になる以前にしていた役所勤めの同期の集まりで、3人の仲間が殺されていたのです。しかし桜井自身もその集まりに参加していたにも関わらず、事件当時はもちろん、それから続く数ヶ月の記憶を失っていました。彼に残っているのは、人の首を締めた時の生々しい感触だけ。実は殺人犯は自分なのではないかと恐れる桜井。殺人事件の直後にも、桜井を犯人だと告発する怪文書が届いていました。そして今回、怪文書と同じ筆跡の人物から届いたその手紙と原稿の内容とは。

3日間の事件が3章に分かれ、1章ごとに1人の人間が殺されていきます。そして各章の間には、桜井のモノローグ。このアイディアと構成はなかなか良いと思うのですが、しかしせっかくのアイディアが生かしきれていないという気がしますね。最後に明かされるこの原稿の真実も、あまりにも不自然。普段はトリックを見破ることなどまずない私ですら、「殺人事件があったというのに… なぜ?」と思ってしまいました。犯人像に関しても、なんともアンフェアな印象です。いくら伏線があったとしても、このオチはどうもいただけないですね。2章の終りぐらいまでは楽しめたのに、とても残念です。
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