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大人になってから出会った児童書 <ファンタジー編その1>
大人になった今もファンタジーは大好きです シリーズ物は<その2>へどうぞ

大人になってから出会った児童書 ファンタジー編■
時の旅人」アリソン・アトリー(松野正子訳)岩波少年文庫

病気療養のために訪れた田舎の農場で、ペネロピーという少女が16世紀にタイムスリップしてしまう物語。16世紀のその家にも、現代と同じ一族が住んでおり、ペネロピーという女の子がいるというのが面白いです。16世紀当時のイギリスの描写も素敵。最後はぐっと切ないです。私の詳しい感想はコチラ。アトリーには、「西風のくれた鍵」「氷の花たば」といったファンタジー短編集もあります。

ほんとうの空色」バラージュ(徳永康元訳)岩波少年文庫

家が貧しく、絵がとても上手なのに絵の具を買うこともできないフェルコーは、時々クラスメートに絵の具を借りて、絵を描いてあげていました。しかし金持ちの少年・カリの青い絵の具を失くしてしまい…。
ほんとうの空色とは、矢車菊からとった青い色の絵の具。しかしただ単に青い色というだけでなく、本物の空のように変化する色。晴れた日には明るい青で、夜は満天の星空となりますし、曇の日は色が暗くなり、雨の日は水浸しになります。私の詳しい感想はコチラ

フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン(矢川澄子訳)岩波少年文庫

イギリスのヴィクトリア朝の作家、メアリ・ド・モーガンの童話集。一見昔ながらの童話に見えるのですが、いざ読んでみると、その内容は意外と辛口。特に表題作の「フィオリモンド姫の首かざり」が素晴らしいです。見かけは愛くるしく美しいながらも、性根は邪悪そのものの姫が、婚約者の変身した宝石の連なる首かざりを鏡で実ながらうっとりしつつ新しい犠牲者のことを考えている場面など、とても絵画的で、ついつい引き込まれてしまいます。「風の妖精たち」「針さしの物語」もオススメ。私の詳しい感想はコチラ

記憶の国の王女」ロデリック・タウンリー(布施由紀子訳)徳間書店

シルヴィは、「とてもすてきな大きいこと」という物語のヒロイン。でも何年も待っているのに、誰も本を開いてくれないのです。
本を開くと、登場人物たちがその物語を演じ始めるという設定が面白いです。うちにも、子供の頃から大切にしていても、何年も開いていない本が沢山あるんですよね。時々は読んであげないといけないなあと思ってしまいます。私の詳しい感想はコチラ。

チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール(柳瀬尚紀訳)評論社

私が読んだのは、以前のジョゼフ・シンデルマンの挿絵の版。この挿絵が怖くて怖くて、子供の頃読めなかったのです。題名に惹かれて何度図書館の書架から取り出しては、中身を見てまた戻したことか…。映画化に伴って新訳が発売され、イラストは洋書と同じクェンティン・ブレイク版となりました。登場人物の名前もかなり変わったようですね。私の詳しい感想はコチラ

No Image魔女とふたりのケイト」K.M.ブリッグズ(石井美樹子訳)偕成社

17世紀のイギリスとスコットランドの動乱の時代を背景に、スコットランドのギャロウェイ地方を舞台にしたケイト・クラッカーナッツの伝承を描いた物語。伝承の形は元のままなのに、この時代背景にしっくりと馴染んでいるというのがすごいです。それだけでも、魔女や妖精がいかに土地に根ざす存在だったのか分かるような気がします。私の詳しい感想はコチラ

トリツカレ男」いしいしんじ 新潮文庫

一度何かに取り付かれてしまうと尋常ではない勢いで取り付かれてしまい、数ヶ月間、他のことには一切気が向かなくなってしまうジュゼッペの物語。あまりにも純粋で真っ直ぐなジュゼッペの姿が切ないながらも、暖かいもので包み込んでくれるような物語です。私の詳しい感想はコチラ。いしいしんじさんには、他にも「ぶらんこ乗り」「麦ふみクーツェ」「プラネタリウムのふたご」などの作品があります。

カラフル」森絵都 理論社

突然プラプラという名前の妙な天使が現れて、人生をもう一度やり直すチャンスをもらった「ぼく」。早速、小林真という少年の身体に入り込むことになるのですが…。
自殺や援助交際など、現代特有の重いテーマを扱いながらも、天使のプラプラのおかげで明るく楽しい雰囲気の作品。天使が登場するだけあって、色彩的にもとても綺麗です。私の詳しい感想はコチラ

これは王国のかぎ」荻原規子 中央公論新社

中学3年生の上田ひろみは突然「アラビアンナイト」の世界へ。そしてなんと魔神族(ジン)になってしまった…?! 異世界に飛び込む物語は沢山あっても、その世界の主役ではなく、魔神になるという設定は珍しいでしょうね。詳しい感想はコチラ。同じく上田ひろみの高校生活を描く「樹上のゆりかご」という作品もありますが、こちらは学園物、しかもミステリ風味です。

悲しみの時計少女」谷山浩子 サンリオ出版

喫茶店に現れた時計の文字盤の顔をした少女に、時計屋敷へと誘われた主人公。歌手として有名な谷山浩子さんの書かれたファンタジーは、とても不思議な世界。歌だけでなく、言葉そのものに対する才能を持ってらっしゃる方だったのですね。驚きました。表紙の画像も作品の雰囲気にぴったりです。私の詳しい感想はコチラ

ぼくとアナン」梓河人 角川書店

イエナシビトのナガレがクリスマスに拾ったのは、生まれたばかりの男の子の赤ちゃん。男の子はアナンと名づけられ、ナガレが以前に拾った猫のバケツや、同じくイエナシビトのギリコさんやゲンさん、バケツの知り合いのネズミたちに育てられることになります。
読んでいると心が暖かくなり、同時に切なくてたまらなくなる作品。それぞれの場面の情景もとても綺麗です。私の詳しい感想はコチラ。大人向けの「アナン。上」「アナン。下」もぜひ合わせてどうぞ。

ラジオスターレストラン」寮美千子 パロル舎

8月の星祭りの日、ギガント山の天文台に行ってみようと思い立ったユーリとイオ。しかしユーリーはイオとはぐれてしまい、1人で天文台にたどり着きます。ユーリを出迎えたのは、ブリキで出来た緑色のロボット、ラジオ・グリーンでした。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のようなイメージの作品。目の前に情景が広がっていくようです。私の詳しい感想はコチラ。ユーリ少年が登場する物語には、他にも「小惑星美術館」「星兎」があります。

時計坂の家」高楼方子 リブリオ出版

いとこのマリカに誘われて、母方の祖父の家にやってきたフー子。2階にある打ち付けられた扉で懐中時計が3時を指した時、時計は花に変わり、扉の向こうには緑の園が…。
やはり異世界に行く物語というのは、ワクワクしますね。少し色褪せた現実と、瑞々しい色彩に溢れた緑の園の情景との対比が鮮やか。茉莉花の甘い香りがとても印象的です。私の詳しい感想はコチラ

No Image風町通信」竹下文子 偕成社

「その町へ行くのに特別な切符や旅券はいらない」という、風町を舞台にした掌編集。この町にある不思議なお店や、ちょっぴり不思議な出来事は、まるで夢の中の出来事のようで、全体を通してほんわりとした雰囲気が漂っています。「風町」なので「風」はもちろんなのですが、「水」もとても印象的。私の詳しい感想はコチラ

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