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子供の頃、神話と言えば、まずギリシャ神話でした
神々というのはここまで我侭で自分勝手なものなのか、と子供心に驚いた覚えがありますが
神話のモチーフに触発され、当時はもちろん現代でも様々な作品が創られています

ギリシャ・ローマ神話関連作品(解説編)■
完訳 ギリシア・ローマ神話」「完訳 ギリシア・ローマ神話 下」トマス・ブルフィンチ(大久保博訳)角川文庫(2004/05)

私が一番最初に読んだギリシャ・ローマ神話はトマス・ブルフィンチによるもの。しかし実際に読んだのはこの角川文庫版ではなく、既に絶版となっている岩波少年少女文学全集に収められていた野上弥生子訳。読みやすく書かれた神話の物語の中には、オウィディウスの「変身物語」のエピソードが豊富に含まれており、これが私のギリシャ神話に対するイメージの基礎となっています。

ギリシア神話」アポロドーロス(高津春繁訳)岩波文庫(1978/06)

上記のブルフィンチによる「ギリシア・ローマ神話」の次に読んだのがこちら。記述はかなりそっけなく、ブルフィンチのような物語性はまるでないため読みにくいほどなのですが、これこそが「純粋に古いギリシアの著述を典拠とした、いわばギリシア神話の原典ともいうべきもの」なのだそうです。系統的・包括的理解に絶好の書とのことですが、物語的な面白さを求めている人は、ブルフィンチなど他の著者によるものを読んだ方が楽しめるでしょう。

ギリシア神話 上」「ギリシア神話 下」呉茂一 新潮文庫(1979/10)

日本人の書いたギリシャ神話の本の中では屈指の好著だという本。「イーリアス」「オデュッセイア」を始めとして様々な古代ギリシャ文学を翻訳している呉茂一さんだけあって、様々な箇所でそういった文学作品に言及されています。特にギリシャ悲劇について触れられているところが良かったです。さらに、それぞれの神話のエピソードやそれにまつわる神々の生まれた歴史・社会的背景にも触れられてるので、そういった部分に興味がある人にもとても参考になるのでは。その上で、読み物として面白いです。

私のギリシャ神話」阿刀田高 集英社文庫(2002/12)

阿刀田高さんのギリシャ神話物では「ギリシア神話を知っていますか」もありますが、私自身はこちらの方が好き。エピソード的にかなり重なっているのですが、こちらの方が出版されたのが遅い分、全体的一層練られて読みやすくなっているように思いますし、ギリシャ神話をモチーフにした美術品のカラー図版が多数収められているのが嬉しいのです。ギリシャ神話初心者よりも、ある程度自分なりのイメージを持っている中級者にオススメ。そういう読者の方が、阿刀田氏独自の視点を楽しめると思います。私の詳しい感想はコチラ


ギリシャ・ローマ神話関連作品(叙事詩編)■
イリアス 上」「イリアス 下」ホメロス(松平千秋訳)岩波文庫(1992/09)

世界最古の、そして最高の叙事詩とされている作品。10年目を迎えたトロイア戦争の末期、アカイア軍の総帥アガメムノンに愛妾・ブリセイスを奪われたアキレウスの怒りから物語は始まります。アキレウスに戦線復帰させるのはなかなか大変なのですが、一旦復帰したアキレウスは戦神のよう。実質としては1ヶ月ほどのごく短い期間を描いているだけなのですが、やはりこの部分がトロイア戦争のハイライトだったのでしょうね。私の詳しい感想はコチラ

オデュッセイア 上」「オデュッセイア 下」ホメロス(松平千秋訳)岩波文庫(1994/09)

ポセイドンの怒りを買ってしまったため、他の戦友たちよりも遙かに長く漂流することになったオデュッセウスには、様々な試練が降りかかります。一方イタカの島で待つ妻のペネロペイアや息子・テレマコスも窮地に陥っていました。後世の様々な作品に影響を与えた航海譚は、今の時代に読んでも十分面白いです。私の詳しい感想はコチラ

神統記」ヘシオドス(廣川洋一訳)岩波文庫(1984/01)

「イリアス」「オデュッセイア」と並ぶ、ギリシャ最古の叙事詩。あくまでも詩の形態を取りながらも、ヘシオドスは神々を系統立てて説明し、宇宙観まで解き明かしてしまいます。神々の名前が次から次へと登場し、到底覚えきれないほどなのですが、巻末には、神々の系譜図や索引もついているので便利。私の詳しい感想はコチラ

仕事と日」ヘーシオドス(松平千秋訳)岩波文庫(1986/05)

「神統記」で宇宙観まで築き上げてしまったヘシオドスのもう1つの作品は、それとはまるで違う作品。兄から無頼な弟への教訓叙事詩です。人間としてあるべき姿や取るべき行動、そして労働の尊さと農事暦が謳われるという、とても人間の生活に密着した叙事詩。それでも訓戒だけでなく、パンドラのエピソードや五時代の説話が読めるのが嬉しいところ。私の詳しい感想はコチラ

四つのギリシャ神話 『ホメーロス讃歌』より」(逸身喜一郎・片山英男訳)岩波文庫(1985/11)

娘のペルセポネーを突然ハーデースに奪われて嘆くデーメーテールの「デーメーテールへの讃歌」、ゼウスとの間に出来た子供を産む場所を探すのに苦労する女神レートーの「アポローンへの讃歌」、生まれたその日にアポローンの牛を盗んでアポローンに捕まえられるヘルメースの「ヘルメースへの讃歌」、英雄アンキーセースと出会って愛し合うアプロディーテーの「アプロディーテーへの讃歌」。全33編から、代表的な4編の抜粋。私の詳しい感想はコチラ

ホメーロスの諸神讃歌 」(沓掛良彦訳)ちくま学芸文庫(2004/07)

岩波文庫版は「デーメーテールへの讃歌」「アポローンへの讃歌」「ヘルメースへの讃歌」「アプロディーテーへの讃歌」の4編だけでしたが、こちらは22の神々への讃歌、全33編の全訳が収められています。神話的な物語が描かれているのはその4編だけで、後は小粒な作品が多いのですが、この本の注釈はとても詳細。ギリシャだけでなく、ギルガメシュ叙事詩などへの言及もあり、各讃歌の解題を見ても訳者の見識の広さがよく分かります。私の詳しい感想はコチラ

変身物語 上」「変身物語 下」オウィディウス(中村善也訳)岩波文庫(1984/01)

「変身」というキーワードから描く、ローマ時代の詩人・オウィディウスによるギリシャ・ローマ神話。神々の怒りによって、あるいは哀れみによって、あるいは気まぐれによって、植物や動物に変えられてしまう人々や神々のエピソードなどが、次々に語り手を変えながら語られていきます。訳は散文。神々の名前がローマ風なので、ローマ神話よりもギリシャ神話に親しんでいる人には少し読みにくいかもしれません。私の詳しい感想はコチラ

アルゴナウティカ-アルゴ船物語」アポロニオス(岡道男訳)講談社学芸文庫(1997/08)

アポロニオスは詩人でありながら、図書館の司書や王子の教師をつとめたという学者。ホメロスの詩作方法や詩句を徹底的に研究し、新しい表現手段に作り変えたのだそうです。この「アルゴナウティカ」は、イアソンがギリシャの英雄たちと共に金の羊毛を取りに行く冒険物語で、ウェルギリウスやオウィディウスにも大きな影響を与えたという作品。私の詳しい感想はコチラ

メタモルフォーシス」アントーニーヌス・リーベラーリス(安村典子訳)講談社学芸文庫(2006/03)

紀元2〜3世紀のローマ時代の物語作家・アントーニーヌス・リーベラーリスによる、41の短い変身物語。様々な人々が様々な理由のために神々によって変身させられていきます。物語としての面白さはオウィディウスの「変身物語」の方が上ですが、この作品はギリシャ語で書かれていることもあり、神々の名前がギリシャ神話読みで読みやすかったです。私の詳しい感想はコチラ

アエネーイス上」「アエネーイス 下」ウェルギリウス(泉井久之助訳)岩波文庫(1997/03)

トロイアが陥落し、父や息子を連れて脱出したアエネーアス一行が、漂流してカルタゴに辿り着き、女王ディドとの悲恋を経てイタリアへ。トゥルヌスを倒してローマ建国の礎を築くまでを描いた物語。ダンテがウェルギリウスを「神曲」に大きく登場させているのは有名です。泉井久之助訳は七五調。

アエネーイス」ウェルギリウス(岡道男・高橋宏幸訳)京都大学学術出版会西洋古典叢書(2001/04)

七五調の泉井久之助訳の方が好みの人もいると思いますが、個人的にはこちらの訳の方が若干読みやすく、高橋宏幸氏による巻末の解説も詳しくて勉強になりました。私の詳しい感想はコチラ

トロイア戦記」クイントゥス(松田治訳)講談社文芸文庫(2000/09)

3世紀に小アジアのスミュルナで活躍した詩人・クイントゥスによる叙事詩。トロイア軍の総大将だったヘクトールの死後、トロイアの町にアマゾーンの女王ペンテシレイアと12人の女戦士たちが来たところから、トロイアの町を陥落したギリシャ軍が帰国するまでを描く、まさに「イーリアス」から「オデュッセイア」へと橋渡しをするような作品です。今まで読めなかったエピソードの数々をこの1冊で読めるというのが嬉しいところ。しかしせっかくの叙事詩ですが訳文(散文調)は格調不足。私の詳しい感想はコチラ

ヘレネー誘拐・トロイア落城」コルートス/トリピオドーロス(松田治訳)講談社文芸文庫(2003/02)

トロイア戦争関係の作品も色々とありますが、「イーリアス」も「オデュッセイア」も、戦争の発端となった出来事を描いていませんし、他の作品も同様。不和の女神による諍い、パリスがスパルタに赴きヘレネーを連れ去った出来事について描かれているのは、このコルートスの「ヘレネー誘拐」だけなのだそう。一緒に収められているのは、トロイア戦争の最後の日を描いたトリピオドーロスの「トロイア落城」。こちらには「トロイアの木馬」の製作過程が詳細に描かれています。ただし訳は散文調。私の詳しい感想はコチラ


ギリシャ・ローマ神話関連作品(悲劇・喜劇編)■
アガメムノーン」アイスキュロス(久保正彰訳)岩波文庫(1998/10)

10年にも渡るトロイア戦争が終結し、王妃クリュタイメーストラーの待つ王宮へと戻ってきたアガメムノーン王。しかし王女・カッサンドラーともども、王妃によって謀殺されることに… というギリシャ悲劇。クリュタイメーストラーが自分の夫を殺害したのは、アガメムノーンが娘のイピゲネイアを、アカイアー軍の戦勝のために生贄に捧げてしまったことへの恨み、そして夫が留守だった10年間に自分自身が浮気をしていたこと。 題名は「アガメムノーン」ですが、この作品の主人公はどう考えても、その妻・クリュタイメーストラーですね。私の詳しい感想はコチラ

タウリケーのイーピゲネイア」エウリーピデース(久保田忠利訳)岩波文庫(1998/10)

アガメムノーンがトロイアー遠征のために生贄としてアルテミスに捧げた娘・イーピゲネイア。しかし喉を切り裂かれる瞬間、アルテミスによって救い出されていたのです。タウロイ人の国でアルテミスに仕える巫女として暮らすイーピゲネイアは、思わぬことから生き別れになっていた弟のオレステースと再会することに… という物語。筋自体は単純明快なものですが、こういった作品を読むと、これらのギリシャ悲劇作品が今の世界の文学の根底に確かに存在していることを強く感じさせられます。私の詳しい感想はコチラ

ギリシア悲劇I-アイスキュロス」(呉茂一他訳)ちくま文庫(1985/12)

アイスキュロスは、ソポクレス、エウリピデスと並ぶギリシャ3大悲劇詩人の1人。ここには現存している7編の悲劇が収められています。3人の作品を読み比べてみると、アイスキュロスがギリシャ悲劇を作り上げ、ソポクレスが洗練させ、エウリピデスが民衆に向けてドラマティックに盛り上げてみせたのではないかという印象を強く持ちました。私の詳しい感想はコチラ

ギリシア悲劇II-ソポクレス」(風間喜代三他訳)ちくま文庫(1986/01)

ソポクレスは、アイスキュロス、エウリピデスと並ぶギリシャ3大悲劇詩人の1人。その作品を読んだことがなくても、「オイディプス王」の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。登場人物の心情の吐露を積み重ねてクライマックスに至る部分には鬼気迫るものがあり、今の時代に読んでも十分面白いですし、ミステリ作品としても現代に十分通用します。3大詩人の中で一番「ギリシャ悲劇」らしい正統派の作品を書いていたと言えるかも。私の詳しい感想はコチラ

ギリシア悲劇-エウリピデス(上)」「ギリシア悲劇IV エウリピデス(下)」(松平千秋他訳)ちくま文庫(1986/03)

エウリピデスは、アイスキュロス、ソポクレスと並ぶギリシャ3大悲劇詩人の1人。IIIとIVの2冊で、75編とも80編とも言われている生涯の作品のうち19編を収録しています。既存の神話に新しい解釈を打ち出している部分も面白いですし、悲劇を通して人間の内部を見事に抉り出しています。3大詩人の中では一番入りやすい人間的な作品を書いていたのではないでしょうか。私の詳しい感想はコチラ

鎖を解かれたプロメテウス」(石川重俊訳)岩波文庫(1957/08)

アイスキュロスの「縛られたプロメテウス」を読んで影響を受け、プロメテウス礼賛者となり、自らもこのテーマで詩劇を書くことになったイギリスのロマン派詩人・シェリー。アイスキュロスの作品の力強さはありませんが、またまるで違う物語となっていますし、ロマン派詩人としての表現の美しさには一見の価値があります。私の詳しい感想はコチラ


ギリシャ・ローマ神話関連作品(散文編)■
神々の対話」ルキアーノス(呉茂一・山田潤二訳)岩波文庫(1953/06)

ギリシャ神話好きには堪らない風刺の効いた短篇集。特に面白いのは「カロオン」と表題作「神々の対話」。「カロオン」は、冥府の河ステュクスの渡し守のカロンが地上に出てきてヘルメスと人間世界を眺める話。表題作の「神々の対話」は、様々な神々たちの会話を覗き見るような楽しさのある作品。ギリシャ神話をある程度知っている読者なら、にやりとさせられる場面が多いはず。これは現代でもショートコントとして通用するユーモアセンスなのではないでしょうか。私の詳しい感想はコチラ

黄金のろば 上」「黄金のろば 下」アプレイウス(呉茂一・国原吉之助訳)岩波文庫(1956)

何不自由なく育った若者・ルキウスが、必要以上に魔術に興味を持ったことから、誤ってろばになってしまうという変身物語。小説としてはペトロニウスの「サティリコン」と並ぶ世界最古のものだという古い物語ですが、今読んでも非常に面白いです。ルキウスの物語であると同時に枠物語でもあり、中でもキューピッドとプシュケーの物語が有名ですし、一番の読みどころです。私の詳しい感想はコチラ

キューピッドとプシケー」ウォルター・ペーター文 エロール・ル・カイン絵(柴鉄也訳)ほるぷ出版(1990/08)

プシケーのあまりの美しさにヴィーナスの神殿はないがしろにされ、怒ったヴィーナスは息子のキューピッドに、プシケーを身分不相応な恋の奴隷にするように言いつけて… というギリシャ神話の有名なエピソード。(アプレイオスの「黄金のろば」) プシケーはいかにもあまり賢くない娘なのですが、それでもどこか憎めない娘です。絵はピアズリーを思わせるようなタッチで、全てモノクロ。それがまたとても美しく、神話の世界にぴったりと合っています。

ダフニスとクロエー」ロンゴス(松平千秋)岩波文庫(1987)

エーゲ海に浮かぶレスボス島で狩をしていたロンゴスがニンフの森で目にしたのは、世にも美しい1枚の絵。それは牧歌的な情景を背景に、少年・ダフニスと少女・クロエーの純真な恋の物語を描き出したものでした。幼かった2人の少年少女が徐々に大人になっていく様子が、美しい自然のめぐりゆく季節と共に抒情豊かに描かれています。私の詳しい感想はコチラ


叙事詩作品(後世作品編)■
対訳テニスン詩集」テニスン(西前美巳編)岩波文庫(2003/04)

ヴィクトリア朝を代表する桂冠詩人・アルフレッド・テニスンは、ギリシャ神話に題材を取った詩もいくつか書き残しています。ここに収められているのは、黄金の林檎を巡る女神たちの争いによってパリスに捨てられることになったイノーニーの嘆き「イノーニー」や、「オデュッセイア」に題材を取った「安逸の人々」「ユリシーズ」、女神オーロラに愛され、不死を願ったティソウナスの哀れな姿を描いた「ティソウナス」。私の詳しい感想はコチラ

夢を掘りあてた人-トロイアを発掘したシュリーマン」ヨハンナ・インゲ・フォン・ヴィーゼ(大塚勇三訳)岩波書店(1987)

初めて読んだ「ギリシア・ローマ神話」の後に読んだのが、この本。トロイアの遺跡を発見、発掘をしたドイツの考古学者・シュリーマンの物語。シュリーマンがトロイアを発掘するきっかけとなったのは、子供の頃に両親に貰ったトロイア戦争の絵本の挿絵。少年少女向けの夢がいっぱいの物語として書かれているので、そのシュリーマンが実は武器商人だったなどということは書かれていません。

薔薇の荘園」トマス・バーネット・スワン(風見潤訳)ハヤカワ文庫SF(1977/11)

収められた3編のうち1編が、ローマの正統な建国の祖とも言えるロムルスとその双子の弟・レムスの物語「火の鳥はどこに」。詩人らしい叙情性に満ちた美しい作品で、同時に史実の裏側をのぞき見ているような楽しさもあります。私の詳しい感想はコチラ。トマス・バーネット・スワンには、紀元前1500年、ミノア時代の後期のクレタ島を舞台にした「ミノタウロスの森」「幻獣の森」という作品もあり、ギリシャ神話に伝えられているのとはまた違うミノタウロスの姿を見ることができます。私の詳しい感想はコチラ

ファイアーブランド」全3巻 マリオン・ジマー・ブラッドリー(岩原明子訳)ハヤカワ文庫FT(1991/04)

トロイアの王女で、パリスの双子の妹であるカッサンドラーの視点から描いたトロイア戦争。アーサー王伝説の「アヴァロンの霧」と同じく、大地の女神を信仰する女性たちと時代の終焉を強く感じる作品です。相変わらずのフェミニズム全開ぶりで、女性たちが少々強すぎる気もするのですが、ブラッドリーならではの構成とストーリーテリング。私の詳しい感想はコチラ
太陽神の乙女」「アプロディーテーの贈物」「ポセイドーンの審判

新トロイア物語」阿刀田高 講談社文庫(1994/12)

アイネイアスの視点から描いた、トロイア戦争とその後の物語。3つの大きな叙事詩「イリアス」「オデュッセイア」「アエネーイス」を中心に、ギリシア悲劇などのエピソードもふんだんに盛り込まれていますが、神々は登場せず、あくまでも現実的で人間的な物語となっています。神々を登場させないための、阿刀田さん独自の工夫も読みどころでしょう。私の詳しい感想はコチラ

顔を持つまで-王女プシケーと姉オリュアルの愛の神話」C.S.ルイス 平凡社ライブラリー(2006/04)

アプレイウスの「黄金のろば」の中の有名なエピソードを使って、C.S.ルイスが描き出した物語。 この作品ですごいと思ったのは、神の姿。今まで神話やその類の物語を沢山読んできましたが、これほど神々しい神は初めてでした。本来、神々とはこうあるべきと思える姿がこの作品の中にはあります。(リンク先は平凡社ライブラリー版ですが、私が読んだのはみすず書房から出ている「愛はあまりにも若く」) 私の詳しい感想はコチラ

永遠を背負う男」ジャネット・ウィンターソン 角川書店(2005/11)

ゼウスとの戦いに敗れ、永遠に天地を背負うことになったアトラス。一旦はヘラクレスにその重荷を任せるものの、騙されて再び背負うことになるアトラスの物語に、ジャネットウィンターソン自身の物語が絡められ、また違うギリシャ神話の物語となっています。「新・世界の神話」シリーズの第一回配本。私の詳しい感想はコチラ

イオニアの風」光原百合 中央公論新社(2009/08)

人間の歴史への神々の介入をかけて行われた賭けは3つ。その3つの賭けの主役となるのは、ヘレネとパリス、メネラオスとヘレネ、テレマコスとナウシカア。最終的に選び取るのは人間自身なのですが… という作品。この作品では、まず神々が生きていますし、光原百合さんオリジナルのエピソードもとても魅力的。ギリシャ神話にあまり詳しくない人にも十分楽しめる作品だと思います。私の詳しい感想はコチラ

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