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このページは、光原百合さんの本の感想のページです。

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「遠い約束」創元推理文庫(2000年4月読了)★★★★

無事に浪速大学文学部に入学し、念願通り「浪速大学ミステリ研究会」、略して「なんだいミステリ研」に入部した吉野桜子。彼女のほかのメンバーは、このミステリ研創設メンバーであり、現在三回生である、黒田大輔、清水和彦、若尾峻の3人でした。話は主人公の桜子と大叔父さんが11年前に交わした約束を中心に、ミステリ研の周りで起きた小さな出来事を織り交ぜて進んでいきます。

連作短編集です。「時計を忘れて森へ行こう」を読んで以来の光原さんファンで、「なんだいシリーズというのがある」という話だけは聞いていた私にとっては待ちに待った新刊です。
正直、最初本屋で手にとった時は野間美由紀さんのイラストの表紙に少し違和感を覚えたのですが、読んでみると、このイラストが実にぴったりの、コミカルなタッチの連作集でした。しかしコミカルとは言っても、大叔父さんとのエピソードを始めとして、暖かく優しく、心に沁み込むようなエピソードが多く、いかにも光原さんらしい雰囲気となっています。やはり光原さんが人間をみつめる目が優しく、その包容力がとても大きいのでしょうね。本来嫌なはずの人間も、どこか憎めないのです。そして途中にはしっかりとミステリ作品らしい謎解きも。
ただ、私の中での「時計を忘れて森へ行こう」の存在感が大きすぎて、こちらが少し霞んでしまったという面も。そんな先入観を持たずに、光原さんとの出会いの一冊として楽しむのにはとても素敵な本だと思います。そういう意味では、少しもったいないことをしてしまったようです。


「十八の夏」双葉社(2002年11月読了)★★★★★お気に入り

【十八の夏】…春からの浪人生活が確定したばかりの三浦進也は、土手で絵を描いていた蘇芳紅美子という女性と知り合います。彼女は近所のおんぼろアパート・松籟荘に引っ越してきたばかり。丁度出産をひかえた姉が里帰りしてきていたこともあり、進也も松籟荘に引っ越すことに。
【ささやかな奇跡】…35歳の水島高志は、妻を亡くして以来、8歳になる息子の太郎と2人暮らし。そんなある日、ふと入った「さくら書店」では、どの棚にも細やかな神経が行き届いており、本の紹介は意表をついたものでした。書店員である高志も、思わず感心してしまいます。
【兄貴の純情】…役者を目指している兄・近江涛一が、弟である「僕」の部屋に乗り込んできます。どうやら「僕」の中学時代の担任・前島先生のところの美枝子さんに恋をしてしまったらしいのです。
【イノセント・デイズ】…6年ぶりに栂野浩介の元に現れたのは、以前浩介の自宅の「あさひ塾」に通っていた相田史香。彼女は中学2年の時に母親とその再婚相手の両方を食中毒で亡くしその時義理の兄となったばかりだった浜岡崇も、1ヶ月前にオートバイの事故で亡くなったのだと語ります。

朝顔、金木犀、ヘリオトロープ、夾竹桃という花々をテーマにした短編集。第55回日本推理作家協会短編部門賞受賞作品。
「十八の夏」てっきり、年上の女性に憧れる男の子の話かと思ったら… 驚きました。まるで違う話だったのですね。それまでの朝顔の柔らかい蒼の色合いが、一気に金属的な光を帯びてしまったような衝撃。これはすごいです。そして紅美子が植えていたのが、朝顔だったというところに、深い意味があるような気がします。朝顔といえば、小学校の頃に先生に言われて家で栽培したりと何かと馴染みの深い花。幸せな子供時代や家庭というものを象徴しているようで、より一層深い哀しみが伝わってくるような気がするのです。「ささやかな奇跡」とても素敵な恋物語。物語全編が甘い甘い金木犀の香りに包まれており、それは人間の醜い部分さえも包み込み、許してしまっているかのようです。これがまたトイレの話とは好対照。とても微笑ましくて素敵な物語ですね。「兄貴の純情」前の作品とは打って変わってコミカルな物語。でも単なるコメディではありません。顔で笑って心で泣いてというタイプの、無理矢理からっと笑い飛ばそうとするような物語。しかし明るく笑い飛ばせば飛ばすほど、その切なさが伝わってくるような気がするんですよね。それにヘリオトロープとキダチルリソウという2つの名前を持つ花の使い方が上手いですね。見た目は華やかではないけれど、どんな豪華な花にも負けない存在感のある香りを持つ花というのが、美枝子さんのイメージにぴったりです。「イノセント・デイズ」これまた前の作品とは全然違う雰囲気で驚かされました。光原さんがこのようなダークな物語を描かれるのは珍しいのではないかと思うのですが、でもこういう作品もいいですね!心の底に隠している醜い部分をぐっさりと抉りとるようで、周囲の大人の心の底に秘めた悪意と、毒々しい色合いで咲き誇る夾竹桃との対比が見事です。しかしそれでも、最後に希望が残されているのが光原さんらしさでしょうか。作品には登場しませんが、夾竹桃の花にはピンク色だけでなく、透明感のある白色の花もあるのですから。
光原さんの作品は時には厳しい表情も見せますが、いつも変わらずに根底にあるのは、優しい包み込むような空気。4つの花束それぞれの全く違う色と香りを堪能できる短編集でした。


「星月夜の夢がたり」文藝春秋(2004年5月読了)★★★★★お気に入り

32編の短編が「星夜の章」「月夜の章」「夢夜の章」に分かれて収められている本。
鯰江光ニさんの暖かい色彩のイラストがたくさん挿入されて、「宝石箱のような絵本」と帯にある通りの美しい本です。大人のための贅沢な1冊という感じ。そして実際に読んでみると、「宝石箱のような」という言葉の印象がさらに強くなりました。ここに描かれている物語は、日常の物語であったり、子供の頃の思い出だったり、良く知られている昔話が光原さん流に語り直されていたり、神話をモチーフにしたものだったりとバリエーションが豊富。「春ガキタ」のようにほんのりと暖かかったり、「塀の向こう」のようにちょっぴり怖かったり、カフカの「変身」のようで、しかしもっと切ない「カエルに変身した体験、及びそれに基づいた対策」のような物語があったり、他にも懐かしかったりほのぼのしたり、情景が美しかったりと、受ける印象は様々。そんな様々な物語を、鯰江光ニさんのイラストがやわらかく纏め上げているようです。文章とイラストが一体化して、1つの作品を作り上げているように感じました。そういう意味でも「宝石箱」という言葉がぴったりですね。まるで「宝石箱をひっくり返した」ようなイメージ。
好きな作品は色々とあるのですが、この中で特に好きなのは、雑誌で既読の「天馬(ペガサス)の涙」。ギリシャ神話がモチーフの物語です。凛としたアテナと、誇り高いペガサスの切なさが強く印象に残りますし、アテナという女神を映しているような凛とした文章も大好きです。
その他に好きだったのは、上述した「春がキタ」、「塀の向こう」、「カエルに変身した体験、及びそれに基づいた対策」、そして先生が最高な「ぬらりひょんのひみつ」、情景が綺麗な「目覚めの時」と「遙か彼方、星の生まれるところ」など。「かぐや姫の憂い」の夜空の情景や、「天の羽衣補遺」の若者も捨てがたいです。

収録作品:
星夜の章…「春ガキタ」「塀の向こう」「カエルに変身した体験、及びそれに基づいた対策」「暗い淵」「地上三メートルの虹」「ぬらりひょんのひみつ」「三枚のお札異聞」「いつもの二人」「もういいかい」「絵姿女房その後」「遙かな約束」
月夜の章…「海から来るモクリコクリ」「鏡の中の旅立ち」「萩の原幻想」「かぐや姫の憂い」「赤い花白い花」「チェンジ」「エンゲージリング」「無言のメッセージ」「お天気雨」「隠れんぼ」「天馬の涙」
夢夜の章…「ある似顔絵描きのこと」「真説耳なし芳一」「大岡裁き」「いなくなったあたし」「トライアングル」「天の羽衣補遺」「大食いのこたつ」「目覚めの時」「アシスタント・サンタ」「遙か彼方、星の生まれるところ」


「最後の願い」光文社(2005年3月読了)★★★★★お気に入り

超リッチなお嬢様の自宅で開かれた、文芸サークル誌「カナリア」の10周年記念のパーティ。その席で西根響子は、度会恭平という青年に出会います。彼は「カナリア」の会長・木嶋政徳の元教え子。自分の劇団を立ち上げようと考えており、そのための人材を見つけられそうな面白い場があれば、あらゆるコネを使って顔を出しているのだといいます。

全部で7章から成っている作品。そのうちのいくつかの章は、ジャーロに連載されていた時にも読んでいたのですが、今回最初から通して読んでみると、最初に読んだ時とはまた違う印象を受けるのには驚きました。ジャーロで読んでいる時は独立した1つの短編のように読んでいたのですが、最初から続けて読んでみると、連作短編集というよりはむしろ1つの長編だったのですね。2章を読み始めた辺りでそれに気付き、本当にびっくりしました。
物語は劇団φを立ち上げようとしている度会恭平と、その彼に「この人しかいない」と思わせた風見爽馬が中心。1つの章に1つずつ謎が含まれており、この2人がそれぞれにその謎に関わりあっていきます。しかし普通の「謎」というよりも、むしろ彼らが関わったそれらの人々1人1人の心のしこりやわだかまりを解きほぐしていっているという印象。単に「謎」というよりも、もっと深いものを感じました。そんなそれぞれの章がお互いに少しずつ重なり、それが最終章を生み出し、そこにそれまで登場してきた人々の思いが流れ込み、昇華されていくような…。
一瞬で印象をまるで変えてしまう度会もとても魅力的ですし(特に、うかつに触ったら手が切れそうな時の彼が堪りません)、度会さんと風見さんもいいコンビですし、この2人にスカウトされた「シロちゃん」こと吉井志朗も、またいい味を出していますね。彼の「シロちゃんと呼ばんでくださいっ」を聞くたびに和んでしまいます。周囲のメンバーも彼をわざと怒らせるために、わざわざ「シロちゃん」と呼んでいるよう。確かに私ももしこのメンバーの中にいたら、「シロちゃん」と呼びかけてみたくなってしまいそう。そしてわざと怒らせて、その言葉を聞いて安心してしまいそう。愛されていますね、シロちゃんは。それぞれに個性の強い女性陣も生き生きとして魅力的。特に最後の章でののびのびとした姿がいいですね。しかし登場人物で一番好きといえば、断然風見爽馬。やはりあの目がポイントです。彼が主演を演じたという例の舞台も観てみたいですし、劇団φの旗揚げ公演も観てみたい。これから劇団φがどのように成長していくのかもとても楽しみです。
「最後の願い」という題名に関しては、読み終わった時点では最終章の彼女のことかと思ったのですが、光原先生によると、これは特定の登場人物のことではなく、この本に登場する様々な人物にあてはまるというのが正解だそうです。作中には、光原百合ファンならニヤリとできるお楽しみがありますし、読見終わった時に心の奥底からほんのり暖かくなってくるような、そして読んでいる人間に活力を与えてくれるような、素敵な作品でした。


「銀の犬」角川春樹事務所(2006年7月読了)★★★★★お気に入り

【声なき楽人(バルド)】…非業の死を遂げた楽人(バルド)の魂は安らぎを得ていないという噂を耳にしたモードは、堪らず許婚の死んだ荒野へと向かいます。
【恋を歌うもの】…ケルビーの父とラナン・シーの母の間に生まれたガンコナーの魔力は歌。その歌を聞いた者は、種族を問わず、たちまち忠実な恋人、そして僕となってしまうのです。
【水底の街】…会いたいと思う者に会える夢の地・イース。ロディはアーニャに会いたい一心で、長い旅をしてきたのです。ふと気付くと、ロディの目の前には出会った日のアーニャが…。
【銀の犬】…人柄も良く暮らしぶりも豊かなオズウィンに見初められて結婚、幸せいっぱいのはずのリネットが、子犬の頃から飼っていた狼の血を引く猛犬に喉笛を噛み裂かれることに…。
【三つの星】…「祭礼の島」に伝わる悲しい伝説。ディアドラ王妃と騎士フィンが道ならぬ恋に落ち、激怒したトゥリン王が2人を殺し、まもなく2人の祟りで狂い死にしたというのです。

「声なき楽人」シリーズの1冊目。伝説の「祓いの楽人」オシアンとその相棒・ブランの連作短編集です。「祓いの楽人」とは、この時代に一般的な「祭りの楽人」「讃えの楽人」とは違い、竪琴の調べによって楽の音の神秘を操る人間。自然や人間があるべき様から外れている時に、竪琴の音を聞かせ、あるべき姿に戻すという技を持つ楽人です。いくら修行を積んでも得られない天分が必要なため、「祓いの楽人」の数はごく少数。しかも、自分からなろうとしてなれるものではなく、「選ばれて」なるものなのです。
ここに収められた5編の共通点は、どれも悲しい想いを描いた作品だということ。もちろん「祓い楽人」を必要とする物語だから仕方ないとはいえ、どの物語もなんて切ないのでしょう。ただ好きだっただけなのに、相手のことを大切に思っていただけなのに、なぜか相手を傷つけることになってしまう登場人物たち。なぜか口からは逆の言葉が飛び出し、心とは裏腹の行動をとってしまう、あるいは本当の思いが伝えられないまま終わってしまう。そして自分の行動を後悔し、その場所に留まり続けてしまうのです。人一倍純粋で強い愛情を持っていただけなのに、それを伝える術を知らなかったばっかりに、糸はもつれ、ボタンは掛け違えられてしまう… そんな、自分ではどうすることもできなくなっている彼らを暖かく包み込み、進むべき道を示すのが、オシアンとブランの役目。未練や後悔の念が中心ということで、下手をすればどろりと淀んだ雰囲気になってしまいそうなところですが、ブランの存在が物語全体に明るさをもたらしてくれますし、彼の明るさをオシアンの透明感のある美しい竪琴の音色が光に昇華させているように感じられました。
ここに収められた5作のうちでは、5作目の「三つの星」にケルト的な雰囲気を一番強く感じました。この物語の元となっっているモチーフや登場人物の名前はもちろんなのですが… 「祭礼の島」に、どこかアヴァロンの空気を感じたからでしょうか。しかしあとがきに「ケルト民話に触発されて生まれた一つの異世界の物語」とある通り、どこかで目にしたモチーフや聞き覚えのある名前が満載。しかしこれは、とてもケルト的でありながら本来のケルトとは少し違う、光原さんならではの世界です。あまりに自然に存在しているので、読んでいる私もその世界にすんなりと入り込んでしまったのですが、この「祓いの楽人」という存在も、光原さんのオリジナル。とても魅力的な世界です。なぜオシアンが「裏切り者」と呼ばれるのか、なぜ声が出なくなったのか、そして自分の命はオシアンのものだと言い切るブランとの間に何があったのか、彼らの出会いは… といった彼ら自身の物語もぜひ読んでみたいものです。そちらも相当切ない物語になりそうですが…。


「イオニアの風」中央公論新社(2009年8月読了)★★★★★

ゼウスの一族がオリュンポスの神々としてこの世界の統治者となり、天も地も安定し始めた頃。平和が訪れた地上では動物たちも順調に増え続け、そんな動物た ちを管理する種族を大地から作り出すことになります。そしてゼウスの意向を受けたプロメテウスが作ったのは、神々と同じような姿の生き物。しかしただ従順 な、神々の意志を忠実に実行する知恵を持つだけの種族を作るはずだったのに、プロメテウスの親指から流れた神血のせいで、人間は自分の意志を持つことに なってしまったのです。怒るゼウスはプロメテウスを逆さ吊り刑に処し、人間を滅ぼすための大洪水を起こします。しかしただ1人の人間がゼウスの心を変 え...。そしてそれからさらに時が流れ、オリュンポスでは今、人間の歴史に神々が介入することの是非を問う会議が開かれていました。

神々同士の会話の場面では、私自身が以前から持ってたその神のイメージとは少し違っていて、読み始めこそ「こういう話し方をするのか」と思ったりもしたのですが、 その辺りはすぐに馴染みました。むしろイメージが違うところが、逆に面白かったです。特にモイライが、いいですねえ。私の中では白髪の邪悪な魔女風のおばあさん3人組というイメージしかなかったので、これは意表を突かれました。可愛いです。しかもあのペタペタと予言をする方法が素敵。最初は違和感を持った部分もあったにせよ、読み終えた頃にはすっかりこの世界に愛着が湧いていたほど。そして、テレマコスとナウシカアのことを書きたいと思われたのがこの作品が生まれるきっかけというだけあり、やはりこの3つ目の賭けの話が 一番読み応えがあって楽しかったです。全体的にややバランスが悪いような気もしましたが… 最初の人間2人のエピソードもあって良かったと思いますし、「いにしえからの慣わしにしたがって三度」というのはやはり必要ですものね。トロイア戦争絡みの1つ目2つ目のエピソードはともかく、この3つ目のテレマコスとナウシカアについては、全くのオリジナルのはず。確かに同じ時代の2人ですし、オデュッセウスという繋がりはあるのに、結び付けて考えたことがなかったのでとても新鮮でした。じれったい2人も可愛いですし。
そして読んでいて一番印象に残ったのは、この世に生まれた神々がそれぞれに自分が司るもの、自分に与えられた役割について探るというくだり。その辺りに関しては、実は全く考えたことがなかったのですが、かなりの説得力がありますね。そしてここで、密かに努力を重ねながらも、それをまったく表に見せないヘルメスがまた素敵なのです。作品全体を通しても、特に印象に残ったのはヘルメスでした。光原百合さんご自身もあとがきで「おしゃべりでいたずら好きで気まぐれで、意地悪なところと情け深いところをあわせ持つ」と書いてらっしゃいますが、本当にその通りの様々な表情を見せてくれるヘルメスがとても素敵で、イメージにぴったり。そして、今まで良いイメージのなかったアレスもまた、違った意味で印象的でした。粗野で乱暴で、脳みそが筋肉でできたような戦好きというイメージだったのですが、ヘルメスの思いを読むことによって、また違った視点から捉えられるようになったような気がします。アレス自身の努力によって変えられたはずの部分ではあるけれど、確かにそういった知恵を持っていないのはアレスの責任ではなく... 哀しい存在ですね。
構想20年、実際に書き始めてから9年、ということで、読んでいてもその意気込みがとても強く感じられる作品でした。楽しかったです。私はギリシャ神話 が大好きなので楽しめるのはもちろんなのですが、あまり詳しくない人でも、これはきっと楽しめると思います。逆にその人の中でのギリシャ神話の基本となってしまうかもしれないですね。

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