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アーサー王は、6世紀頃に実在したとも言われる伝説の英雄
吟遊詩人に謡われたアーサー王や円卓の騎士たちの物語が、子供の頃から大好きでした
応用編はコチラ。ケルト神話関連作品はコチラにありますので合わせてどうぞ

アーサー王伝説関連作品(基礎編)■
アーサー王物語」R.L.グリーン(厨川文夫・圭子訳)岩波少年文庫(1982/08)

子供向けのアーサー王物語。私が一番最初に読んだのがこれです。子供用で簡単ではありますが、重要なエピソードはほとんど読めますし、とても面白いので、ここから入るというのも手なのではないかと思います。子供の頃は、切り絵のような挿し絵が怖かったのが懐かしいです。

中世騎士物語」ブルフィンチ(野上弥生子訳)岩波文庫(1980/02)

ブルフィンチはアメリカの作家。ブルフィンチの神話や伝承関係の本は、どれもイギリス文学を読もうと考えているアメリカ人のために書かれた本で、必要な知識を手軽に幅広く得るために分かりやすく書かれた入門書。以前、同じブルフィンチの「新訳アーサー王物語」を読んだ時は、その浅さに正直がっくりきたのですが、こちらはなかなかよくまとまっているのではないでしょうか。中心となるのはアーサー王伝説。トーマス・マロリーの「アーサー王の死」と中世ウェールズの叙事詩「マビノジョン」です。私の詳しい感想はコチラ

トリスタン・イズー物語」ジョゼフ・ベディエ(佐藤輝夫訳)岩波文庫(1983/08)

イズーとトリスタンが飲んでしまったのは、結婚する2人が飲むはずだった愛の秘薬。その時から2人は死の時まで、不変の愛に結びつけられることになります。ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」でも有名な物語。愛し合いながらも引き裂かれることになるトリスタンとイズーの姿も切ないのですが、それよりもマルク王の深い愛情、そしてトリスタンが結婚した相手「白い手のイズー」の姿が深く印象に残りました。私の詳しい感想はコチラ

中世文学集I アーサー王の死」トマス・マロリー、ウィリアム・キャクストン編(厨川文夫・圭子編訳)ちくま文庫(1986/09)

サー・トマス・マロリーによる作品を元に、ウィリアム・キャクストンが印刷・出版した本の抄訳。15世紀に出版されているというのが凄いですね。ややそっけない気もしますが、アーサー王伝説をそのまま読む作品としては、これが最も一般的です。

No Imageフランス中世文学集1-信仰と愛と」(新倉俊一・神沢栄三・天沢退二郎訳)白水社(1990/12)

ここに収められているのは、「聖アレクシス伝」「ロランの歌」「トリスタン物語」など。特に「トリスタン物語」はベルール版、トマ版、オクスフォード本、ベルン本、マリ・ド・フランスの「すいかずら」など様々なものが収められており、それぞれに不完全な写本ながらも、それらを読み比べるのはとても興味深いです。そしてこれらのトリスタン物語群を1つにまとめあげたのが、ジョゼフ・ベディエの「トリスタン・イズー物語」とされています。私の詳しい感想はコチラ

No Imageアーサー王ロマンス」井村君江 ちくま文庫(1992/04)

トマス・マロリーによる「アーサー王の死」を中心に、様々な文献を元を参考にしながら、解説も交えて書かれた1冊。これは読みやすいと思います。下の「新訳ア−サ−王物語」も入門編だと思いますが、こちらの方がオススメ。ページ数はこちらの方が少ないぐらいですが、内容的には濃いです。私の詳しい感想はコチラ

新訳アーサー王物語」トマス・ブルフィンチ(大久保博訳)角川文庫(1993/01)

「中世騎士物語」からアーサー王に関する部分を抜粋し、やさしく解説し直した本。確かに読みやすく、入門者向けのようですが、ある程度知識のある読者には、これではあまりに物足りないでしょうね。詩が載っているのはとてもいいと思うのですが、全体的に浅いですし、重要なエピソードがすっかり抜け落ちていたりもします。

No Image聖杯の探索-作者不詳・フランス語散文物語」(天沢退二郎訳)人文書院(1994/09)

1220年頃にフランスで書かれた聖杯伝説物語。作者不詳ではありますが、キリスト教シトー会の修道士もしくはその関連者によるものと考えられているようです。聖杯といえば、ケルトの大釜が元のモチーフのはずですが、ここでは非常にキリスト教色の強い物として描かれており、それに従って騎士たちに期待される禁欲思想も相当なものとなっています。私の詳しい感想はコチラ

クレティアン・ド・トロワ『獅子の騎士』-フランスのアーサー王物語」菊池淑子 平凡社(1994/11)

中世ヨーロッパ最大の詩人にして物語作者と言われるクレティアン・ド・トロワによる「獅子の騎士」と、その分析・解説。初めて読んだ時、あまりに「マビノギオン」の中の物語と酷似しているので驚いたのですが、「マビノギオン」は13世紀の作品と言われており、クレティアン・ド・トロワがこの作品を書いたのは12世紀のことなので、そちらを参考にしたということはないのだそう。この本の中では「獅子の騎士」とオウァイスの物語との比較も試みられており、とても興味深いです。その私の詳しい感想はコチラ

サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン(山本史郎訳)原書房(2003/02)

「サー・ガウェインと緑の騎士」「真珠」「サー・オルフェオ」「ガウェイン別れの歌」の4編が収められています。「真珠」と「サー・オルフェオ」はアーサー王伝説には関係ないのですが、トマス・マロリーの「アーサー王の死」と並ぶ良作「サー・ガウェインと緑の騎士」をきちんと読める本というのは意外とないので貴重です。詩の形式で訳されていないのが本当に残念。私の詳しい感想はコチラ

アーサー王の剣」エロール・ル・カイン(灰島かり訳)ほるぷ出版(2003/09)

エロール・ル・カインの描いたアーサー王物語。これは27歳の時の作品で、これがデビュー作となり、一流の絵本作家として認められるようになったのだそう。湖の姫にもらった剣・エクスカリバーはどんな願いも叶える魔法の剣。アーサー王が命じれば道しるべにも、雨傘代わりにも、日よけにも、時には船にもなり、なんと宴席ではつまようじになるというのが可笑しいです。後の絵とはかなり違う骨太なタッチですが、落ち着いた色調の絵が、どことなくケルトの雰囲気を出しているようです。

マビノギオン-中世ウェールズの叙事詩」(中野節子訳)JULA出版局(2000/03)

「マビノギオン」は、ブリテン島のウェールズ地方で吟遊詩人たちによって伝えられてきた叙事詩。いくつかの写本に収められた11編の物語が19世紀になって初めてシャーロット・ゲストによって英訳され、「マビノギオン」という題名で広く知られるようになりました。アーサー王伝説の先駆とも言える存在です。これは中野節子さんが、ウェールズ語から直接日本語に訳したという完訳本。シャーロット・ゲスト版と内容的にはほぼ一緒ですが、こちらの方が訳文が平易で読みやすいと思います。私の詳しい感想はコチラ

シャーロットゲスト版 マビノギオン-ケルト神話物語」(井辻朱美訳)原書房(2003/12)

シャーロット・ゲストによる名高い英訳本を日本語に訳したもの。内容的には上で紹介した中野節子訳とほとんど一緒ですが、こちらにはウェールズに広く流布していたという「タリエシン」も併せて収められています。こちらの井辻朱美さんの訳は格調高い古文調。そしてアラン・リーの挿画を楽しむことができます。私の詳しい感想はコチラ


アーサー王伝説関連作品(解説編)■
アーサー王伝説」リチャード・キャヴェンディッシュ(高市順一郎訳)晶文社(1983/09)

マロリーの「アーサー王の死」を中心に、象徴性を探っていく研究本。アーサー王伝説に関する名著とのことですが、読んだのが「アヴァロンの霧」の直後だったため、まるで箇条書きになった記事を読んでいるように感じられてしまい、あまり印象に残っていません…。かなり基本的なことが書いてあったように思います。

No Image「ユリイカ 特集ケルト-アーサー王伝説」青土社(1991/09)

高宮利行、ひかわ玲子、葛生千夏「蘇るアーサー王伝説」、モリス「グウィネヴィアの弁明」、テニソン「シャロットの妖姫」、高宮利行「女・死・水」「父親を知らぬ英雄たち」「アーサー王伝説文献解題」、井村君江「アーサー王と湖の妖精たち」、辺見葉子「モルガン・ル・フェイと鳥・魚・蛇そしてドラゴン」、松原秀一「アーサー王と宿命観」、山口恵里子「林檎と眠りとランスロット」、谷田博幸「キャメロットの伝説」、不破有里「ヴィクトリア朝の受難者」、向井毅「マロリーにはじまるアーサー王」、天沢退二郎「聖杯、そして王の死」、中島悠爾「ドイツにおけるアーサー王伝説」、高橋宣也「聖杯伝説の現代的受容」、小谷真理「アーサリアン・ポップ」「アーサリアン・ポップのためのブック・ガイド」

No Imageアーサー王伝説紀行」加藤恭子(高市順一郎訳)中公新書(1992/02)

アーサー王縁の地を訪ねて歩いた旅行記。アヴァロンやキャメロットは本当はどこにあったのかというのは、アーサー王ファンなら誰しも考えることだと思いますし、そこを訪ねるということ自体は面白い企画だと思います。しかし旅行に対して準備不足な面が目につくのが残念。伝説そのものよりも、もっと旅行に比重を置いて欲しかったですね。とはいえ、実際にこの本を持ってイギリスに行ってみたくなります。

No Imageアーサー王伝説万華鏡」高宮利行 中央公論社(1995/01)

中世になって人気が再燃したアーサー王伝説。今なお実在したかどうか論争の的になるアーサー王を始めとして、円卓の騎士たちや美しい貴婦人たちの武勇と愛の物語は、文学のみならず、様々な媒体のモチーフになっています。そんなアーサー王伝説を、伝説そのものからではなく、その多様な受容と発展ぶりから紹介していく本。私の詳しい感想はコチラ

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