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このページは、酒井駒子さんの本の感想のページです。

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「リコちゃんのおうち」偕成社(2009年9月読了)★★★★

おにいちゃんかいじゅうに邪魔されて遊べないリコちゃんのために、ママがリコちゃんに作ってくれたのは、リコちゃんだけのおうちでした。


「よるくま」偕成社(2009年9月読了)★★★★

ベッドの中の「ぼく」がママに話したのは、前の晩にやって来た可愛いお客さま・よるくまのこと。よるくまのお母さんがいなくなってしまい、探しに出たよるくま。2人一緒に、よるくまのお母さんを探す冒険に出たのです。


「ぼく おかあさんのこと…」文溪堂(2009年9月読了)★★★★

ぼく おかあさんのこと... キライ。なぜキライかといえば、日曜日の朝はいつまでも寝ていて、ドラマばっかり見てマンガを見せてくれないし、すぐ怒るし、早く早くとせかすくせに自分はゆっくりしてるし、それからそれから...。 


「よるくま-クリスマスのまえのよる」偕成社(2009年9月読了)★★★★

お友達になったよるくまが遊びに来たのは、クリスマスの前の夜のこと。サンタさんのことを知らないよるくまのために、「ぼく」はよるくまのサンタさんになってあげることに。


「ロンパーちゃんとふうせん」白泉社(2009年9月読了)★★★★

まちで風船をもらったロンパーちゃん。飛んでいってしまわないように、指にくくってもらいます。そして風船は無事におうちに到着。でもロンパーちゃんがおうちで一緒に遊ぼうとしても、風船はすぐに天井にのぼってしまうのです。そんな風船に、お母さんは素敵な工夫をしてくれるのですが...。

まだまだぷくぷくしたほっぺが、とっても愛らしいロンパーちゃんの絵本。糸でも浮かんでる風船は、確かにすぐ指からするりと抜けて飛んでいってしまいますね。私の母も同じようなことをしてくれたと思うのですが、それでもなぜか飛んでいってしまって、子供の頃に何度悔しい思いをしたことか...(今になってみれば、結んであるとどうしても解いてみたくなって仕方なかったような気もします) そしてこの表紙のピンク色からして、とてもお洒落な感じで印象的なのですが、ロンパーちゃんのお母さんがまた、まるで少し昔のパリのようなモードな装いでお洒落なのです。風船をくれるお兄さんも日本とは少し違う感じですし、住んでるところも「アパルトマン」のよう。このお話の舞台はどこなのでしょう。パリなのでしょうか。それともまた全然違っていて、ニューヨーク辺りなのでしょうか。
そんな外国っぽい雰囲気を感じつつ、「こりゃまてまて」の女の子が少し大きくなったら、ロンパーちゃんになるのかしら、などと考えるのもまた楽しいのです。


「金曜日の砂糖ちゃん」偕成社(2009年9月読了)★★★★★お気に入り

暖かくて気持ちの良い午後に庭で昼寝をする女の子のお話「金曜日の砂糖ちゃん」、知らない道を通って帰った男の子が今まで知らなかった場所を発見する「草のオルガン」、そして夜中に目を覚ました女の子の「夜と夜のあいだに」の3つのお話。

まず表紙の女の子の絵がとても可愛らしいのです。目を閉じたその顔は、ほっぺたも唇もぷっくりしていて、まだまだあどけなく、頭の上にはお花の冠。その花冠には鳥やらちょうちょやらがとまっています。しかしそんな白い表紙のイメージとは対照的に、本を開くとそこには夜の気配を濃い物語が並んでいました。ノスタルジックな雰囲気を醸し出す絵は相変わらずなのですが、どのお話も、いつも以上にとても幻想的な雰囲気です。
まず「金曜日の砂糖ちゃん」。黒の中の赤がすごく鮮烈です。苺や小鳥の頭、テントウムシ、そしてカマキリの目。そして女の子が眠りから覚めるお話ではあるのですが、お昼寝の間の出来事にも関わらず、背景色は常に黒。夜のイメージが濃厚で、これ1つが丸ごと夢の中のお話のように感じられます。一見、昼寝の時間に終わりがきて、金曜日の砂糖ちゃんが目覚めてお話が完結したように見えますが、実はまだまだ夢が続いているのではないでしょうか。女の子を抱き起こすお母さんは、本当のお母さんというよりもむしろ、ギリシャ神話の夜の女神・ニュクスのイメージのように感じられてしまいました。そして「草のオルガン」は、この中で唯一昼間のイメージも併せ持つお話。子供の頃の小さな、しかし本人にとっては大きな冒険の時間。この3編のうちでは唯一昼間のイメージを持つ作品。それでも私にとっては夜にみる夢というイメージの方が強いのですが…。そして「夜と夜のあいだに」。これは強烈なデジャヴを感じさせるお話。こういうことが、かつて私自身にもあったような気がして、3編の中で一番自分の気持ちに寄り添ってくるようなお話でした。
どの作品も、たとえば夏目漱石の「夢十夜」のような雰囲気。特に「金曜日の砂糖ちゃん」と「草のオルガン」のラストの文章が、その印象を強めます。どれも夢の中の出来事のようですし… しかし起きた後で「こんな夢を見た」と思い起こすのではなく、この夢はまだまだ覚めておらず、現在進行形。果たして無事に現実に戻れるのでしょうか。子供の可愛らしさを描きつつも、そこからにじみ出てくるエロティシズムも相まって、ぞくぞくさせられてしまいます。


「ゆきがやんだら」学習研究社(2009年9月読了)★★★★

夜中に降り始めた雪がまだ降り続いているため、バスが動かなって園はお休み。でも、飛行機が飛ばないから、パパも帰って来られないのです。


「BとIとRとD」白泉社(2009年9月読了)★★★★

□(しかく)ちゃんという女の子の、8つの小さな情景。「昼間の蒸気機関車」「図書館」「お友達」「12月」「幼稚園」「指しゃぶり」「カミナリ」「スイレン」。

「BとIとRとD」という題名が「BIRD」を1つずつの文字に分解しているように、□ちゃんの日常の情景も1つずつ分解して取り出されて、全部で8つ並べられています。しかし大人の読者に とっては、一見脈絡のないようなばらばらな情景も、□ちゃんにとっては滑らかに続いているのでしょうね。そして「BとIとRとD」が「BIRD」となり、羽ばたいていくのでしょう。
この中で私にとって一番身近な情景は「図書館」。私の職場にもこういう女の子が時々います。とても可愛らしくて、こっそり観察してしまいます。そして私が一番好きなのは「お友達」。ふとした瞬間、夢から醒めたかのように、「足先の縫い目の堅いのが、急に見えてきて」というのが、とてもよく分かります。私自身はお人形やぬいぐるみではあまり遊ばなかったのですが、この感覚は胸が痛いほど理解できます。一旦そうなってしまうと、もう元には戻せないのですね。眠りによって全てがリセットされるまでは。そしてとても可愛いのは「カミナリ」。これはお話も可愛いのですが、絵もいいのです。リンゴの実に落ちてるちっちゃなカミナリ。素敵です。

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