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このページは、辻仁成さんの本の感想のページです。

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「冷静と情熱のあいだ-Blu」角川文庫(2001年10月読了)★★★★★
順正はアメリカ育ちの日本人。単身でミラノに渡って絵画の修復士としての勉強をしている最中。現在の恋人・芽実のことが好きで、今の生活も幸せではあるのだけれど、昔の恋人であるあおいのことがどうしても忘れられない…。順正の心の奥底には、2000年5月25日、あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモの上で会う約束がまだ存在するのです。

江國香織さんの「Rosso」を読んでからの「Blu」。「Rosso」では曖昧だったエピソードや設定が、「Blu」を読んでようやく理解できました、しかも別の作者が書いた物語だとは思えないほど、「Rosso」との違和感もなく、すんなりと物語の中に入っていけて満足度の高い1冊。辻さんの作品を読むのは今回これが初めてですが、想像していたよりずっと良かったです。あおいの恋していた順正の姿も思い描いていた通り。やはり女性よりも男性の方がロマンティックなのでしょうか。あおいを忘れられない順正の気持ちに胸が痛みます。しかしそれは、私自身が「Rosso」であおいにすっかり感情移入してしまっているせい。芽実の立場だったらどれほど哀しいことか…。

「冷静と情熱の間」
かつて恋人同士であった「あおい」と「順正」が、ある出来事をきっかけに別れてから何年もたち、それぞれに心から好きだと思える恋人が出来た後も、お互いの存在が自分の心の奥に残っているのを意識してしまうというラブ・ストーリー。二人が共有した時間と出来事を元に、江國香織さんはあおいの視点から「Rosso」を、辻仁成さんは順正の視点から「Blu」を書いています。1冊ずつでも十分楽しめるとは思うのですが、2冊合わせて読むことによって1つの出来事を色々な角度から感じることができるというこの企画、辻さんの後書きによると、どうやらお二人で交互に1章ずつ書かれていったようですね。私は「Rosso」を読んでから「Blu」を読んだのですが、どちらも13章ずつなので、1章ずつ交互に読むという読み方でも楽しいかもしれません。ただしその時は、最後だけは辻さんの「Blu」で締めくくるのがオススメ。1冊ずつ読む時も「Rosso」を先に読む方がいいと思います。
→江國香織さんの「Rosso」に関してはコチラからどうぞ。
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