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このページは、藤水名子さんの本の感想のページです。

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「四神見参!-中国神武伝奇」集英社スーパーファンタジー文庫(2003年1月読了)★★★
凌の生まれ育った地、大陸の東の果てにある蒼海に面した海辺の地に立ち寄った凌たち一行。兄の璃瑜がどうしているのか知りたいという梨佳の願いをきいて西陵王の城に行っていた青龍は、西陵王の城が炎帝の一族である姜呂の軍勢に責められ、父王も璃瑜も絶体絶命の危機に瀕しているという知らせを持ち帰ります。姜呂は凌が現れる何年も前から、梨佳に執心だったのです。知らせを聞いて驚く凌と梨佳。凌は早速、この地にいた時からの子分・婁泥率いる50人、そして今回新しく子分とした胡夂(こくう)率いる弓矢の名族・貔族3000人を率いて、西陵王の城へと向かいます。

中国神武伝奇シリーズ3作目。
この巻での一番の目玉は、やはり東西南北の4神が揃うことでしょう!青龍は「身に纏っている長衣も青なら、肌も蒼天の色を映したように青く、背は高い。形よく切れた涼しげな瞳と口許に蓄えた鼻下髭の渋さが絶妙の、実に瀟洒な紳士ぶり」ということで既に登場済みですが、朱雀、白虎、玄武の3人も、それぞれになかなか素敵です。こういうイメージというのは、作家さんによっても読者によっても様々なイメージがあるかと思いますが、ここに登場する4神のイメージも、それぞれに個性的でいいですね。なぜか玄武だけは挿絵がないのですが、表紙にはちゃっかり登場しています。
それとやはり璃瑜がいいです。私は凌や梨佳よりも璃瑜の方が好みだったりします。あとは羅堰も。

「あなたの胸で眠りたい-長安遊侠傳」集英社文庫(2002年12月読了)★★★★★お気に入り
8世紀前半の唐の都・長安。瑶瓊(ようせん)は元は貴族のお嬢様ながらも、父親が謀反人の汚名を着せられたため家が没落、現在は女詐欺師として貴族の公子たちを手玉にとって金品を巻き上げて暮らしている日々。通り名は「射干姫の怜娘(ひおうぎのれんじょう)」。瑶瓊の異母兄・勇烈は、白将軍の養子となり、軍才を発揮しながらも、父の汚名のために母と妹に降りかかった災難を知って養家を飛び出してきてしまったという人物。現在は平康坊の中の酒屋の主人におさまり、瑶瓊に説教をしながら、尻拭いをして回る日々。そんな瑶瓊が、ある日やくざの一家の若親分・竇進(とうしん)と出会います。瑶瓊の素性を見破りながらも、惹かれるものを感じた竇進は、瑶瓊に大接近。瑶瓊もまた、竇進を腹立たしく思いながらも、惹かれていきます。しかしそれを良く思わないのは、兄の勇烈でした。

唐の時代の長安を舞台にした時代活劇ロマンス。しかしこの作品は、他の作品に比べてアクションは控えめで、むしろ恋愛小説といった面が前面に出ています。揺れ動く恋心の描写もとても細やか。この恋の中心となる瑤瓊が、何といっても魅力的でいいですね。カモの前では可憐な姫君を演じている彼女は、実際には男勝りの気が強い美女。しかし大人の女性ぶりながらも、ふと垣間見える表情は、まだまだ大人になりきれていない少女の顔。このバランスがとても絶妙で可愛らしい女性です。藤さんの小説には気の強い美女が多く登場しますが、その中でもとても好きな女性です。その瑤瓊の周りにいる男性陣も、怖いながらも頼りがいのある兄貴・勇烈と、彼女に惹かれるやんちゃ坊主タイプの竇進、そこに勇烈の昔なじみで瑶瓊の憧れの二郎や、謎の美青年詩人・太白までもが加わり、とても華やか。本当にいい男揃いです。序盤こそ瑤瓊の恋の行方は全く見えない状態なのですが、しかし一度見えてくれば納得。断然応援したくなってしまいます。
李白の詩が切れの良い物語の随所に散りばめられ、雰囲気を盛り上げているのもいいですね。

「futo(風刀)-武季と紅燕」集英社文庫(2002年9月読了)★★★
子供のように小柄で童顔だが、力は強く、技もある武季。追っ手に追われるまま風来坊を決め込んでいる彼が、ふと足を止めたのは陽華里という名のうらぶれた宿場町。その目抜き通りのはずれで、武季は1人の娘に名前を呼ばれます。それは1年以上前に別れたきりの、紅燕(こうえん)でした。紅燕は、長安一の人気を誇った雑技一団の看板娘。春から地方周りを始めた一座と共に幽州に向かうところだったのです。武季は紅燕に押し切られた形で、一緒の宿に泊まり、一座と一緒に旅をすることになります。

中国時代活劇。作者の藤水名子さんがあとがきで書いてらっしゃる通り、「風来坊のアウトローが悪と対決するウエスタンパターン」の作品です。腕白少年といった雰囲気の武季と、おきゃんな紅燕が大活躍。こういう物語は大好きです。難しいことは何も考えずに楽しめますね。しかしどうやら、武季と紅燕は以前から面識があり(武季が一座に世話になっていた?)、お互い明らかに惹かれ合っており、しかし何もないまま、武季は1年少し前に追っ手に追われ、黙って紅燕の元を去ることになった、という設定のようですね。面白いのは面白いし、キャラクターもとても可愛らしいのですが、まるでシリーズ物の途中の話を読んでしまったような中途半端な印象もありました。前回武季が紅燕の元を去った時、一体何があったのでしょう。そもそも2人はどうやって出会ったのでしょう。そしてどんな時間を過ごしていたのでしょう。設定といいキャラクターといい話の運びといい、とてもいい物があるのに何とも惜しい気がします。もしシリーズ物でないのなら、この物語の前後の話もぜひ読みたいものです。

「時のはざまで」集英社スーパーファンタジー文庫(2003年1月読了)★★
【時のはざまで】…東海の凌の生まれ故郷に里帰りした凌と梨佳。2人は公孫家歴代のご先祖様を祀った祠を訪れます。しかしその時梨佳は石に躓き、そのまま凌の祖父の年代へとタイムスリップ。
【昇仙桃秘話】…平和な時代が続くうちに、すっかり惰眠を貪っていた青龍。しかし寝ている間に、番をしていたはずの昇仙桃が盗まれ大騒ぎ。陰謀説まで飛び出し、青龍は探偵役を命じられることに。
【夢一夜-白木蓮の面影-】…紫露と呼ばれる旅の詩詠みが語る「あの方」の物語。
【破落戸未満】…23歳の「如虎の凌」が2年ぶりに東海に帰郷。しかし賑やかな市には、一抹剣呑な雰囲気が。それは不逞の人相風体をしたゴロツキ博徒の一団を率いる「羆の婁泥」の姿でした。
【闇の城】…今年で17歳になる苺(まい)は、その器量を見初められて城主の息子の側室に入ることに。しかし苺には皐己という恋人が。苺は死を決意して、化け物が住むという山に単身入っていきます。

中国神武伝奇シリーズ外伝。
「時のはざまで」凌と凌の祖父の烈は本当にそっくり。話の分かる人で良かったですが、でも危ないところ。その後、莢がどうなったのか気になります。「昇仙桃秘話」素直すぎる青龍がなんとも情けない…。白虎がいなければ、一体どうなっていたのでしょう。「夢一夜」紫露の目を通してみた「あの方」の話。ほぼ想像通りではありますが… やはり哀しいですね。それにしても紫露が話している相手は誰だったのでしょうか。紫露の話から「美少女かと見紛う美しさ」、その時16、7歳だった「あの方」と同い年か幾つか下ぐらいであることが分かります。もしや。「破落戸未満」奇阿との出会いはここだったんですね。しかし婁泥夫婦もとんでもないですが、凌も十分とんでもないかと。「闇の城」羅堰の中の梨佳が若干美化されすぎているような気がします。

「公子曹植の恋」講談社文庫(2003年1月読了)★★★★
曹操の三男・曹植。13歳の曹植が恋したのは、兄・曹丕が妻とするために連れ帰ってきた女性。彼はその女性を一目見るなり、目が離せなくなります。それは袁紹の次男・袁煕の夫人であった甄洛。曹植よりも一回り年上の甄洛は、絶世の美女と名高い女性でした。

無骨で男くさい三国志の中にも、このような物語が潜んでいたのかと驚かされるほどの甘い恋物語です。甄氏は三国時代でも最も悲劇的な運命を辿った女性として知られていますが、その甄氏に対する曹植の片思いも、歴史的史実として知られているのですね。絶世の美女と名高い甄氏と詩人の曹植の物語だけあり、その時々の情景も、甄洛の描写も、まるで一幅の絵を見ているよう。甄洛の白い面が夕暮れの赫光に照らされて儚い花のように淡く染まる時、その衣装は夕空に溶け入るような薄い茜色。楊桃を運ぶ時の萌黄色の下裙の裙、庭の池の端の亭内に青色の着物を着て立つ姿。そして儚く美しい白い肌。
片思いの切なさ、そして絶望がしみじみと伝わってくる作品。しかしだからこそ、曹植はこれだけの詩を生み出すことができたのでしょうね。もう少しきりっとした爽やかな公子ぶりを見たかった気もしますが…。

P.104 実際には見てもいない光景を、舌先三寸の空言で飾り、おまけに未だ味わってもいない別れの気持ちを、実しやかに演出する。無論偽りに決まっている。偽りからは、本来傑作の生まれ出でようはずもない。だが、それにしてはなかなか感動的な名詩に仕上がった、と思う。

「花道士」集英社(2003年2月読了)★★★
宋朝が衰微し、梁山泊の乱が起きていた頃。紫苑処士という名を持つ女道士・朱美麗は、数知れない悪霊や妖怪を調伏しながら諸国をさすらっていました。彼女の目的はただ1つ、竜王の4番目の息子・竜四郎を殪すこと。かつて都の道院で修行していた頃に竜四郎と出会った美麗は、竜四郎が人外のものと知らずに恋に落ち、その挙句の果てに、冷たく打ち捨てられていたのです。しかし心の底では竜四郎が忘れられない美麗。実は美麗と四郎は、かつては天界の天上人として永遠の愛を誓った恋人同士でした。しかし罪を犯し、2人は天帝によって下界に転生させられることになったのです。それ以来、美麗は人として限りある短い命を何度も何度も繰り返し生き続け、竜王の息子として転生した竜四郎は、長い命を生きながらえながら美麗を見守り続けています。美麗が自分の力で天上でのことを思い出しさえすれば、2人は永遠に巡る罰から抜け出すことができるのですが…。

人として下界に転生することになった紫苑と、八大竜王・沙羯羅竜王の第4子として転生することになった神水将。中国神武伝奇シリーズの「時のはざまで」に収められている「昇仙桃秘話」に連なる物語ですね。常に絶世の美女として生まれ、そのために常に不幸の中で死ぬことになる紫苑と、生まれては死んでいく紫苑を見守り続ける四郎。なんとも切ない恋物語です。
しかし、紫苑が四郎を拒んでいるわけではなく、むしろ紫苑は出会えば自然と四郎に惹かれていくのですから、四郎さえその気なら、いくらでも何度でも添い遂げられると思うのですが…。何度気持ちを重ねても、最終的には四郎が置いていかれてしまう結果に終わってしまうという辛さはよく分かります。しかしその限られた時間の積み重ねが一番大切なのではないでしょうか。出会ってすぐに相手が思い出せないからといって、また今回もダメだと見切りをつけてしまっているうちは、この罰からは逃れられないはず。「急がば回れ」で、1つ1つの想いを大切に積み重ねていって欲しいものです。生きている限り添い遂げ、一方だけが年をとっていくという辛い状況にも打ち勝ってこその永遠の愛情。それも含めての天帝の罰なのでしょう。
四郎の気付かないところで、既に希望は育ち始めているのですから。

「炎のように抱きしめて-戦国鬼話」集英社(2003年1月読了)★
春秋戦国時代の中国。周の王家の血を引く姫子雄は、市場を歩いている時に1振りの剣に目を留めます。その剣は、伝説の王・黄帝が使っていたとされる伝説の剣「白虹」。見るからに稀代の名剣ではあるものの、半信半疑の子雄は、商人に押し付けられるようにその剣を手に入れることに。しかしその剣は実は本物だったのです。剣を持って許婚の宋美漣の元へと赴き、その父である虞公に家宝の霊玉璽を見せられたことから、悲劇は始まります。実は虞公の家に伝わる玉璽は、2千年前に黄帝が百鬼王を封印したまさにその玉璽。しかも子雄の佩いている剣の宝玉には、百鬼王の目玉が封じられていたのです。結局百鬼王の封印を解くことになってしまう子雄。虞公は復活した百鬼王の妖魔に殺され、美漣は子雄が父を殺したものと勘違い。喪も明けないうちに、仇である子雄を追いかけることに。

中国神武伝奇シリーズで黄帝に封印された百鬼王が再登場する物語。外伝とも言えるかもしれません。
いつもの藤さんの作品なら、ヒロインの気がとびきり強くても、どこか可愛い部分を持っていて感情移入できるのですが、この作品の美漣はとにかく底意地が悪いことばかり言っていて、子雄でなくても不愉快になってしまいました。全然可愛いとは思えないタイプ。しかも彼女の許婚である子雄もまた、そんな美漣にやられっぱなしで全くいい所なしの情けない男。脇役として登場する勇喬や芳はまあまあでしたが、主役2人共にここまで魅力がないと少々辛いものがあります。
物語も、最後は「人間のエゴ」みたいな方向に行ってしまって興ざめですし、枚数の関係上仕方ないのかもしれませんが、とにかく浅すぎるように思いました。せめて黄帝の剣、洛妃の短剣、神木の矢という3つの武器に、もう少し何か特別な役割や見せ場があればよかったのですが…。沖麻実也氏の表紙のイラストだけが壮絶に美しく光っています。

「開封死踊演武<降魔篇>」徳間ノベルス(2003年4月読了)★★★★
【妖かしの連環剣】…山籠りをするという之竜。それを聞いた蘭姫も、之竜にくっついて一緒に黄華山中にて武者修行をすることになります。2人が寝泊りしていた山奥の樵小屋にやってきたのは、山の麓にある小さな農村の住人。一昨日5人の兇賊が闖入し、好き放題の暴行を働いているというのです。
【天将の恋人】…蘭姫の家に居候することになった之竜と天将。宿酔いの胃に無理矢理蘭姫の作った朝食を詰め込んだ天将は川べりで盛大に吐き出している時に、1人の美少女に声をかけられます。
【槐の樹の下で】…江南・鎮江のほとりで、日がな一日釣りをしている朱進は、今年で11歳になる小龍に話しかけられて我に返ります。そして改めて、かつて思いを寄せた女のことを思い出すことに…。
【夢でもいいから】…黒蓮社総帥からの招待状が届き、蘭姫は朱進のいる風家村へとやって来ます。そこにいたのは、どれも怪しげな6人の男達。そして毛範泰に言われ、遊戯隊の面々も風家村へとやって来ることに。

開封死踊演武シリーズ5作目。
最初の2編では伏之竜が、後の2編では朱進が活躍。ということで個人的に満足度の高い1冊です。私は基本的に朱進が一番好きなのですが、前作辺りから伏之竜もとても好きになってきていたので嬉しいですね。これで之竜が蘭姫に真正面から告白して、蘭姫を思い切り困らせたりなんかすると、言うことなかったのですが…。呂紅旋もいい感じだと思っていましたが、いざ朱進が登場してしまうと、すっかり影が薄れてしまいました。
このシリーズはこの作品を最後に、もう書かれていないようです。こういうパターンの物語なので、どこで終わってしまっても大丈夫ですし、無理に決着をつける必要はないと思うのですが、それでもやはりこのメンバーに会えないのは淋しいです。気が向いた時にでも、ぜひ書き続けて欲しいシリーズです。

「夢幻の剣-妖伝花影抄『春霞の章』」ワニノベルス(2003年1月読了)★★★
室町幕府の時代。強力な悪霊により呪われている御櫛笥(みくしげ)家。ここの家の血を引く子は次々に命を落とし、昇竜丸もまた、陰陽師の修法の甲斐なく身罷ります。後に残すは、まだ1歳にもならない万竜丸のみ。しかしその時、陰陽師は、嫡子とも言うべき男子の存在を口にします。それは生まれてすぐに大鷲に攫われ、現在は生死も定かではない竜千代のこと。強い宿命の星の下に生まれた竜千代を探し出し、先祖・御櫛笥禪正が佐々良の里に隠した御櫛笥家の秘宝を探し出すことが、家を滅亡から救う唯一の方法だというのです。そしてその竜千代は、京近郊から和泉、河内、摂津一円を荒らしまわる一大盗賊団・海神党の首領・海魂(あやかし)の蜩蝣丸(ちょうりゅうまる)に拾われ、首領の息子・流之介として育てられていました。しかし海神党は役人によって一網打尽に討ち取られ、命からがら逃げ出した流之介は、紅夢斎という名の不思議な老人に拾われることに。

妖伝花影抄シリーズ1作目。
デビュー以来一貫して中国物を中心に書いてきた藤水名子さんの、珍しい和物作品。舞台は室町幕府の日本。播磨守信遠の長子として生まれた流之介が、盗賊団の首領に育てられ、紅夢斎の元で学問と剣術を修め、生まれた家に戻り、御櫛笥家にかけられた呪いを解こうとする物語。その邪魔をするのが、その昔御櫛笥禪正によって攻め滅ぼされた高辻家の子孫・十郎次郎賢知や妹の操。物語自体はありきたりとも王道とも言えるものですが、天性の美貌の持ち主同志がぶつかる様は、想像するだけでも楽しくなってしまいます。この因縁の対決に、恐れを知らない16歳の柚葉の可愛らしさ、暮林蘇芳の生真面目さ、実の父である播磨守信遠の正妻・葵御前の意地の悪さなどが絡み合い、なかなか楽しい冒険活劇となっています。

「夢幻の剣2-妖伝花影抄『昊霞の章』-」ワニノベルス(2003年2月読了)★★★
柚葉を切られた流之介は、城への出入りもやめ、城下の小屋で毎日無為な生活を送るように。しかしひょんなことから秘宝の隠し場所の謎が解け、流之介と蘇芳は早速宝探しのために、胡翠峠の観音堂出かけます。そこに現れたのは、操率いる恒河沙組。宝探しのために地面を掘ろうとした流之介と蘇芳を、恒河沙組が追い払います。しかしそれも流之介の計略のうち。そこには秘宝はなかったのです。その晩流之介が1人で観音堂で寝ているところに操が1人で現れ、柚葉の夢を見ていた流之介は操を力づくで組み伏せます。

妖伝花影抄シリーズ2作目。
とうとう秘宝の謎が解かれます。この程度のことで万竜丸への呪詛がやむものなのかとは思ってしまったのですが…。しかし秘宝が見つかった後、物語の焦点は流之介と操の関係へと移り変わっていきます。流之介と操、そして操の兄である十郎次郎、そして蘇芳、播磨守の正室・葵御前などの存在や言動は、実際かなり類型的ではありますし、ほとんどの部分が予想できるものではあるのですが、しかし分かってはいても読ませてくれました。絵に描いたような伝奇小説ですね。
1巻2巻とあるので、まだまだ続くのかとおもいましたが、続きは書かれていないですし、話も丁度区切りの良い所で終わっています。一応この巻で完結と思って良さそうです。
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