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このページは、ウィリアム・L・デアンドリアの本の感想のページです。

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「ホッグ連続殺人」ハヤカワ文庫HM(2003年12月読了)★★★
ニューヨーク州スパータ市。クラーント紙に毎日コラムを書いている新聞記者のビューアル・テイサムは、取材を終えてスパータに帰る車の中で、陸橋にかかっていた標示板が落下し、前を走っていたフォルクスワーゲンを直撃するのを目撃します。フォルクスワーゲンは陸橋のコンクリートの支柱に衝突し、乗っていた3人の若い女性のうち、2人が死亡。当初は標示板のボルトが折れたことによる事故かと思われるのですが、しかしそのボルトには、カッターで切った跡がありました。そして事件の2日後、テイサムの元にHOGからの犯行を認める手紙が届きます。そして始まるHOG連続殺人。警察の捜査は難航し、世界有数の犯罪研究家ニッコロウ・ベイネデイッティ教授が招聘されることに。教授の弟子である私立探偵のロン・ジェントリイも捜査に参加します。(「THE HOG MURDERS」真崎義博訳)

1979年のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作品。
ミッシング・リンクの傑作だとは聞いていましたが、こういう意味だったとは… 驚きました。この連続殺人事件も、元を正せばよくあるパターンの事件だったのですね。途中で「HOG」という言葉の意味に関して様々な仮説が出され、そのそれぞれに対して、当てはまる人間に対する追及があるのが面白かったです。しかしそれ以上に、最後に明かされる真の答が圧巻。物語のラストと相まって余韻が残りました。
しかし全体的には、少々読みにくかったです。本の裏のあらすじには「地方都市スパータを連続殺人劇で凍らせた…」という表現がされているのですが、読んでいても街の人々の恐怖はまるで伝わってきませんでしたし、探偵役のベイネデイッティ教授を始めとして、登場人物にも、あまり魅力的に感じませんでした。さらに1つ不思議だったのは、途中で犯人を暗示するような場面があったこと。これは必要だったのでしょうか。ない方がラストでの衝撃は大きかったと思うのですが。しかし精神科医・ジャネット・ヒギンスによるプロファイリング場面には驚きました。どうやらこの作品が発表された時点で、アメリカでは既に浸透していたようですね。
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