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このページは、クリスチナ・ロセッティの本の感想のページです。

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「クリスチナ・ロセッティ詩抄」岩波文庫(2006年3月読了)★★★★★

「抒情詩」「童謡」「宗教詩」「譚詩」という見出しのもとに88編を収めた詩集。(「POEMS OF CHIRISTINA ROSSETTI」入江直佑訳)

先日読んだ「ヴィクトリア朝妖精物語」に収められていた「妖魔の市」がとても良かったので、こちらも読んでみることに。でもあちらの本の刊行が1990年なら、こちらの本の初版が出たのは1940年。なんと50年もの差があるのです。こちらは当然のように旧仮名遣い。しかし「ヴィクトリア朝妖精物語」の矢川澄子訳ももちろんとても良かったのですが、この旧仮名遣いもクリスチナ・ロセッティの雰囲気にはとてもよく合っていると思いますね。訳者による「序」に「譯文の硬軟新古一様ならざるは、その時その折の感懐に従ったまでである。深く咎めざらんことを」とある通り、文語体の訳と口語体の訳が混ざっているのですが、口語とは言っても1940年当時の口語。とてもいい雰囲気です。
クリスチナの姉のフランチェスカはダンテ研究家、長兄ダンテ・ガブリエルは前ラファエル派の画家であり詩人。次兄・ウィリアム・マイケルも美術評論家。恵まれた芸術的環境にいたクリスチナは、13歳の時から詩を作り始めたのだそうです。清楚で優しく、透明感があり、夢見るような雰囲気がとても素敵。しかし同時に死を思わせるようなものがとても多いのには驚きました。幼い頃から病弱だったというクリスチナは、それだけ日常的に死を感じていたのですね。(結果的には、60年以上生きることになるのですが)
あまり現代的な詩は分からない私なので、逆にこういった旧仮名遣いで書かれている方がすんなりと入ってくるようです... 特に抒情詩がとても素敵でした。

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