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このページは、高見広春さんの本の感想のページです。

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「バトル・ロワイアル」太田出版(2000年11月読了)★★★★★
「総統」と呼ばれる最高権力者を頂点とした特殊な国家社会主義を敷いた国・大東亜共和国。この国では毎年「プログラム」と呼ばれる「国防上必要な戦闘シミュレーション」が実施されていました。しかし実はこれはコンピューターが無作為に選んだ全国の中学三年生50クラスの生徒が、各学級内で互いに殺しあうというゲームだったのです。他の人間をすべて倒して最後の1人になるまで、その戦いは決して終わることがなく、そのたった1人の勝利者だけが家に戻れるというゲーム。そして今年プログラムの対象クラスの1つして選ばれたのは、七原秋也のいる香川県城岩中学3年B組でした。修学旅行に出かけたはずの42人の生徒は、気がついたら無人島に隔離されており、自分たちのクラスがプログラムに選ばれたことを告げられます。

私はスプラッタがかなり苦手なので、最初の5ページほどを読んだ時に「しまった」と思ったのですが、ついついパワーに押されて一気に読んでしまいました。国家側の人間が一般市民をいとも簡単に殺してしまったり、ゲームが開始されて42人の生徒が殺しあう様は壮絶です。有無を言わさずゲームに参加させられてしまうという状況で、パニックに陥る者、残酷さを剥き出しにする者、耐えられずに自殺する者、友人を信じられなくなる者、平然と裏切る者、それでも信じようとする者、と現れる本性も様々。それがかなりリアルに描かれているので、かなりの緊迫感があります。生徒はそれぞれ出発前に1つずつ食料と武器が入っているデイパックをもらうのですが、この武器もなかなかすごいですね。運が良ければマシンガン、運が悪ければ普通のフォーク1本(!)という具合。いろいろな武器が出てきて、こんな武器を中学三年生が本当に使いこなせるのか等、細かい点では疑問が残りますが… このパワーの前には、そんな細かいことは問題にならないでしょうね。題材自体は賛否を呼ぶと思うのですが、作品は立派なエンターテインメントと言えると思います。ここまで潔いと気持ちよいかも。しかし確かに面白いとは思うのですが、大きな声で人様に勧める気にはならないですが…。
この作品は映画化もされるということで、国家側のなんともいやな教師・坂持金発役にはビートたけしが決まっているそうです。これはハマりそうね。坂持は長髪という設定なのですが、それ以外はイメージにぴったりで、台詞をしゃべっている場面が簡単に想像できてしまいます。たけしもこの手の映画は好きそうですよね。
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