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このページは、澁澤幸子さんの本の感想のページです。

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「イスタンブール、時はゆるやかに」新潮文庫(2005年5月読了)★★★★
澁澤龍彦氏の妹である澁澤幸子さんが訪れたイスタンブールの旅行記。1981年に初めて訪れて以来トルコに惚れ込み、毎年のように訪れてしまうのだそうです。ここには初めて訪れた1981年、翌年1982年、5年後で5回目の訪土となる1986年、そして1992年のことまでが描かれています。

この本を読んでいて一番驚いたのは、澁澤幸子さんが次々と友達を作ること。もちろん旅行の醍醐味の1つは友達を作ること、特に現地の人々と仲良くなることだと思うのですが、これほど色々な人々と気軽に仲良くなれるというのは、一種の才能なのではないでしょうか。トルコに入る最初のアテネ発イスタンブール行きの列車でも、あっという間に世界各国のバックパッカーたちと仲良くなってしまいますし、トルコの街でもどんどん知り合いを増やしていきます。語学力にも優れているのでしょうけれど、やはりこれは物怖じせず人懐こい澁澤さんの性格が大きいのでしょうね。現地で出会った人々やその家族に暖かく迎えられている姿を見ると、羨ましくなってしまうほど。ただ、逆にそこまで危機意識がなくて本当に大丈夫なのかと心配もしてしまうのですが…。この本の中にも危ない目に遭いそうになったエピソードがあるのですが、本当にこれだけだったら凄いですね。
トルコの銭湯のハマムの体験記も楽しいですし、イスタンブールだけでなく、オスマントルコ発祥の地・ブルサやトロイ遺跡のチャナッカレ、カッパドキアなどの観光地を訪れたことも書かれていますが、やはり一番楽しいのは、仲良くなった地元の人々の描写。アクバイラック一家、特に気のいいお母さんや、マイク、アルパッサン、ハッサンの3人兄弟のエピソードがとても魅力的。アイシェとそのお祖母さんもいいですね。トルコ人の親日感、押し付けがましいほどの親切、ホスピタリティもとても印象に残りました。長年つきあっているので、そんな人々にも色々な変化があり、それが楽しくもあり切なくもあります。
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