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このページは、中西智明さんの本の感想のページです。

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「消失!」講談社ノベルス(2006年1月読了)★★★★
アマチュア・ロックバンドZERO-ZEROの練習に30分遅れて到着したボーカリストのユカこと古賀優佳子。しかし練習場にいたのはギタリストのBBだけで、リーダーの中西智明、ドラマーのトム、ベーシストのヘスは買出しに行って留守。ユカは、自分が身体を壊して入院して1ヶ月練習があいてしまった間に練習を見に訪れるようになったマリーのことを考えます。赤毛の人間が多い、ユカが住んでいる高塔市の中でも特に綺麗な赤毛をしているマリー。マリーが練習を見に来るようになってから、心なしかユカに冷たくなったバンドのメンバーたち。全てをマリーのせいにするつもりはなくても、自分の回りにろくなことがおこらなくなったのは、マリーが来るようになってからだという考えをユカは捨てきれなかったのです。

一種独特な評判を得ていた作品。噂を聞いて以来、ずっと読んでみたいと思っていたのですが、ようやく読めました。確かにこれには驚かされました。このようなオチが待っていようとは…。これはひたすら読者を騙すことだけに全力を注いだ作品なのですね。
ただ、マリーの章については非常に上手いなと思いましたし、人物造形もなかなか良かったと思うのですが、裕二の章についてはどうなのでしょう。さらに純の章になると、せっかく探偵が登場して推理も本番だというのに、登場人物たちがどんどん遠くなってしまったという印象。しかもこの探偵役があまり魅力的でないというのが残念でした。しかし「これでどうだ」という作者の意気込みが、びんびんと伝わってくるような作品ですね。
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