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このページは、毛利志生子さんの本の感想のページです。

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「風の王国-波斯の姫君」集英社コバルト文庫(2008年5月読了)★★★

サマルカンドに向かうムーザの隊商に加わった尉遅慧。慧が加わる前、ムーザの息子・ノインが若いペルシア女性を拾っていました… という「波斯の姫君」、唐の使者を連れてヤルルンに戻ったガルとその妻・エフランの物語「しるしの石」、増田メグミさんによる漫画「ジスンとシェリン」の3編。

「風の王国」シリーズ11冊目。
久々に慧が登場したのは楽しかったものの、全体的な満足感はそれほどでもなく…。特に「しるしの石」ではちょっとした犯人探しがあるのですが、これが簡単すぎるほど簡単なのです。ガルほどの人物がすぐに気づかないのが不思議になってしまうほど。この話は奥さんに振り回されるガルを楽しめばそれでいいのかもしれませんが、リジムや翠蘭は登場しないので、ご贔屓の脇キャラが登場してる場合は楽しめるし、そうでなければ物足りなく感じるという1冊かもしれません。


「風の王国-初冬の宴」集英社コバルト文庫(2008年5月読了)★★★

翠蘭の懐妊に加えて朱瓔とサンボータとの結婚が決まり、祝賀ムードに湧くツァシュー。ようやく帰り着いてほっとする間もなく、間近に控えた聖寿大祭のためにツァシューを多くの訪問客が訪れ、リジムも翠蘭も多忙な日々を送ることになります。朱瓔とサンボータの婚約式は聖寿大祭の3日後に執り行われることになり、その時に吐谷渾の王族であり、ガルの義弟でもあるケレスとジスンの弓競べ、そして城下の子供たちの剣の試合が行われることに。

「風の王国」シリーズ12冊目。
久しぶりの本編再開となるこの作品なのですが、実質的には「臥虎の森」だけでなく、前作「波斯の姫君」の中の「しるしの石」の流れをついでいる作品。残念ながら今回はあまり大きな進展がありません。小さなトラブルは沢山ありますし、それを翠蘭たちが1つずつ解決しようとはしているのですが、大きな出来事は特になく、聖寿大祭や婚約式というイベントを控えて忙しい日々ではあるものの、言ってみればただ単にツァシューの城での日常の風景の物語となっています。この1冊の最後の最後で、ようやく大きな波乱が起きようとするのですが、それもあっさりと次の巻に持ち越されてしまいますし、残念ながらこれまでのような満足感は得られませんでした。


「風の王国-金の鈴」集英社コバルト文庫(2008年5月読了)★★★

真剣な勝負の勝ちを譲られた惨めさと、リジムに手を払いのけられて尻餅をついた恥ずかしさ、そして翠蘭に気持ちをぶつけてしまった後悔から一睡もせずに計画を練り、城から抜け出したラセル。ガルの息子・ツェンニャもまた同じように抜け出していたことを知って驚きます。ガルの手を払いのけて走り去ろうとするラセル。しかしツェンニャが草原に所々裂け目のように開いている穴に落ちてしまいます。そしてその頃、城では翠蘭やガルたちが2人がいないことに気づき、大騒ぎになろうとしていました。

「風の王国」シリーズ13冊目。
「初冬の宴」の続編。ラセルの問題はあっさりと片が付き、翠蘭も無事に出産し、「初冬の宴」と同じようにそれほど大きな波乱もないまま日常の風景が続いていくのですが、今回はそこはかとない不安が漂います。そして最後に思いがけない爆弾が。いつかは来ると思っていましたが、ここでこの展開になるとは迂闊にも全く考えていませんでした。あとがきには、「『初冬の宴』から続く一連の話は次刊で終わりますので」とあるのですが、シリーズ自体が終わるという言葉はないのです。シリーズはどのような展開を見せることになるのでしょう。次巻の展開が気になります。


「風の王国-嵐の夜」上下 集英社コバルト文庫(2008年6月読了)★★★

エンサの言葉に驚く翠蘭。しかしそれは事実であり、翠蘭はその後の事態の収拾に翻弄されることになります。そんな時、ロナアルワが妊娠しているということが発覚。何も語ろうとしないロナアルワが叔父のティツンに問い詰められて口にした、おなかの中の子の父親の名前は…。

「風の王国」シリーズ14冊目と15冊目。
「初冬の宴」から続いていた一連の話がようやく一区切りとなります。「金の鈴」の辺りから不審な動きをしていたロナアルワのことに関しては、ほぼ全て予想通りの展開となりました。私自身はあまりこういった流れは好きではないですし、正直苦手なのですが、それでも思っていたよりもずっと後味の良い結末となってくれてほっとしました。そして翠蘭自身のことについても、その後一体どのような展開を見せるのだろうと心配していたのですが、全くの杞憂だったようです。もちろん衝撃的ではありましたが、なかなか読み応えがある展開となっており、この後物語がどのように進んでいくのかとても楽しみになってしまいます。


「風の王国-星の宿る湖」集英社コバルト文庫(2008年10月読了)★★★

翠蘭は、ガルやリュカたちと共にツァシューを出発。途中、コンポの城に寄り、ラセルやイェルカ、サンボータと朱瓔に合流。ガルがラセルにロナアルワとダカルのことを説明します。そしてガルや翠蘭、ラセルは最低限の人数で馬を飛ばしてヤルルンの聖寿大祭を目指し、祭りの当日にヤルラ・シャムポのふもとに辿り着きます。

「風の王国」シリーズ16冊目。
前巻までで話も一段落し、ここからは翠蘭の新たな生活が始まります。今までそれほど良い関係とも思えなかった翠蘭とガルですが、ここに来て一緒に国を盛り立てて行こうとするようになったようでほっとします。そして史実通りに進んでいくためのステップとも言うべき翠蘭とソンツェン・ガムポとのやり取りは、このシリーズ第2の山場になるのかと思いましたが、思いの他あっさりと済んでしまって驚きました。それに翠蘭が自分で決意し願い出たことになっているのもとても意外。しかしその理由には納得。確かにその流れでこうなるのが一番自然かもしれません。それを翠蘭の口から言わせるとは、さすがソンツェン・ガムポですね。
そして3年間の喪に服している間に、翠蘭は西国シャンシュンを訪れることになります。ここで「河辺情話」で尉遅慧を案内したカロンが再登場するのが嬉しいですね。しかしプロローグである程度想像はしていましたが、シャンシュンは相当酷い状態のよう。吐蕃よりも大国だという驕りもあって、翠蘭も巻き込まれて相当酷い目に遭うことになります。シャンシュンの王・リク・ミギャの素顔もまだまだ見えませんし、その母である王太后はどこまでの悪人ぶりを見せてくれるのでしょう。リク・ミギャに嫁ぎながらも離宮に住まわされているリジムの妹・セーマルカルは、数年放置されていても「清楚で可憐な乙女」「礼儀正しく、周りの者に対する思いやりもある」ままなのでしょうか。おそらく次巻で登場するのでしょうね。とても楽しみです。

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