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このページは、喜国雅彦さんの本の感想のページです。

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「本棚探偵の冒険」双葉文庫(2005年2月読了)★★★★★お気に入り
漫画家の喜国雅彦さんによる、古本蒐集にまつわるエッセイ。山口雅也さんや京極夏彦さん、奥様の国樹由香さんと共に江戸川乱歩邸を訪問した話に始まり、海外の古本屋への進出、デパートの古書市でのエピソード、古本集めの先生・二階堂黎人さんとの古本屋巡り、我孫子武丸さんの家の書庫整理の話、函欠け本の函作成、いつ開いているのか分からない「幻影古書店」の話、1日でどれだけのポケミスを見つけられるかに挑戦したポケミスマラソン、豆本作成、有栖川有栖さんの「鮎川哲也本棚」に刺激を受けるオンリー本棚の話題など、喜国さんの体験談が面白可笑しく綴られていきます。
巻末には古書マニア友達との座談会、そして出久根達郎さんや北村薫さんとの対談も。

古本(稀覯本)の収集家については、紀田順一郎さんの「古本屋探偵の事件簿」で初めて読み、その濃さにとても驚いた覚えがあるのですが、この「本棚探偵の冒険」は小説ではなくてエッセイ。漫画家としての喜国さんは勿論知っていますが、これほどの古書マニアだったとは全く知りませんでした。
私も相当本の多い家庭に生まれ育っていますし、古本屋には良く行きますが、それは基本的に絶版本など手に入りにくい本を探すため。あくまでも読むためであって、並べるためではありません。しかし古書マニアにとって「本を買う」という行為は、また全く別次元の行為だったのですね。買っても決して読まないとは!空気にも触れさせたくないほどの人もいるとは! 喜国さんにとっての古本とは、ただ所持すべきもの、書架に並べるべきもの、そして次世代に受け継いでいくべきもの。本当にディープでマニアックな世界。しかし喜国さんの語り口がとても楽しくて面白いので、そのディープさに引いてしまうこともなく、素直に楽しむことができました。色々と違う部分もあるのですが、探している本が見つかった時の嬉しさは、古書マニアも一般の本好きも同じ。読んでいると喜国さんの古書に対する飽くなき情熱がひしひしと伝わってきますし、周囲のマニアックな人々の凄みと面白みが伝わってきます。そしてこの本を読むと、自分がまだまだ平凡な本読みであることが分かります。(笑) 古本初心者から上級者まで、それぞれに楽しめる1冊です。
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