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このページは、細川直子さんの本の感想のページです。

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「トルコの幸せな食卓」洋泉社(2008年2月読了)★★★★★お気に入り

20時間近く列車に乗って初めてトルコを訪れた時、何はともあれ腹ごしらえをと街に出て入った食堂で食べたトルコ料理の、安く美味しかったことに感動したという細川直子さん。テーブルに積み上げられたパンはパリッと香ばしく、噛み締めるほどにほんのり甘さが広がり、バットに盛られた料理の中から選んだ野菜と肉の煮込みも、暖かく優しい味がしてとても美味しく、それでたったの300円。「食べものが安くておいしい国は、きっといい国に違いない」と感じた細川さんは、その後イスタンブールの旅行代理店に勤務しながら10年以上暮らし、今もトルコと日本を行ったり来たりの生活なのだそう。「トルコのなにがそんなに気に入ったの?」という問いに「食べもの」と答えるほどの食いしん坊・細川直子さんのトルコ案内。

フランス料理、中華料理と共に世界三大料理に数えられることもあるというトルコ料理。そのトルコ料理の魅力が圧倒的な勢いで伝わってくる本。細川直子さんが心底美味しいものが好きな方だからなのでしょうね。どれもこれも美味しそうで食べたくなってしまいます。肉は羊や鶏が中心。野菜はじゃがいもやにんじん、茄子、グリーンピースやいんげん、レンズ豆、そして美味しいトマトをたっぷり。トルコ料理にはトマトベースの煮込み料理が多いのだそうです。そして欠かせないのはヨーグルト。プレーンなまま料理に添えられたり、にんにくを摩り下ろして混ぜたソースが絶妙な脇役となったり。ヨーグルトの酸味が脂っこさを消してさっぱりする上に、にんにくは味を引き締めるのだそう。ヨーグルトに水と塩を加えてよくかき混ぜたアイランも、トルコではポピュラーな飲み物。その他にも焼きたてのパンやチーズ、様々なオリーブ、色鮮やかな季節の果物… どれもこれも美味しそう。そんな風にトルコ料理のおいしさが1冊の本に詰まっています。あとがきには「料理研究家ではなくいわゆるグルメでもない私が、トルコ料理のことをどれだけ正確に伝えられるか自信はなかった」とありますが、これだけ伝わってくるものがあれば十分でしょう。愛情を感じますね。そしてその食べ物を通して見えてくるトルコの人々もとても暖かくて魅力的。確かに料理の安くて美味しい国には悪い国はないのかも、という気になってきます。
巻末には代表的なトルコ家庭料理6品のレシピもあるので、試してみるのも良さそうです。

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