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このページは、ヨルク・リッターの本の感想のページです。

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「星を見つけた三匹の猫」白水uブックス(2008年11月読了)★★★

片目の野良猫のフレデリックは、その晩はネズミの王・マードックが現れないのを確かめ、ひどい悪臭のする番犬・シーザーの小屋の前を忍び足で通り過ぎ、パン屋の裏口へ。いつでもパン屋の奥さん「でぶのムー」が温かいミルクの皿を階段の下に置いてくれるのです。ミルクを飲んだフレデリックはパン屋の見習いのエントンが出した熱い灰の入ったバケツのふたで丸くなり、ネズミたちのたてる音に耳を傾け、大熊座の上に小さく光っている星を不思議に思い、その星の夢、銀色の毛とアクアマリンのように青い目、金色の爪を持ち、水晶でできた鈴がついたリボンつけた美しい猫の夢をみます。そんなフレデリックを訪ねて来たのは、しっぽをなくした猫のカストロ。フレデリックとカストロ、そして肩を痛めたリンゴは、三銃士ならぬ三銃猫なのです。(「DER KATZENSTERN」鍋谷由有子訳)

ドイツのファンタジー。物語には2つの流れがあり、1つはフレデリックとカストロとリンゴという3匹の猫と犬のシーザー、ネズミたちの港町での物語。そしてもう1つは、猫たちの物語や、ちび星の物語を雪フクロウのメスランテアに聞いている銀色猫のエンリルの物語。フレデリックたちの流れは冒険物語のような楽しさですし、メスランテアとエンリルの場面はそれとは対照的にとても美しいですね。帯には「魂の成長を描いた、感動のファンタジー!」とありますし、確かに3匹の猫たちが、自分にとって一番大切なものとは何なのかを知るという成長物語となっています。しかし読んでいてどこかしっくりと来ないものが…。最後があまりに呆気ないせいでしょうか。序盤中盤に比べて、あまり盛り上がらないまま終わってしまったような気がします。それともドイツ系のファンタジーがやはり苦手ということなのでしょうか。

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