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このページは、アレクセイ・ポゴレーリスキイの本の感想のページです。

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「アリョーシャと黒いメンドリ」旺文社(2009年4月読了)★★★★

遠く離れた地方からペテルブルクの男子の寄宿学校に預けられ、両親とずっと会えずにいたアリョーシャは、学校の図書室にある騎士の物語や魔法物語を読みふけったり、庭で飼われているめんどりたちと遊ぶのが好きな少年。中でもクロちゃんという黒いメンドリはお気に入りで、女中に殺されそうになった時には、おばあさんからもらった大事な金貨と引き換えに助けてやったほど。そしてそれがきっかけで、アリョーシャはクロちゃんに小人の国に案内されることになるのですが...。(田辺佐保子訳)

19世紀のロシアの文学者だったというA.ポゴレーリスキイによる童話。息子同然に育てた甥のアレクセイ・トルストイがまだ小さな時に作った物語なのだそうです。あの大トルストイも、この「アリョーシャと黒いめんどり」は、プーシキンの民話とブイリーナ(英雄叙事詩)と並んで幼年時代に深い感銘を受けた作品だと語っているとのこと。私もプーシキンの民話は子供の頃から大好きでしたが、これを読むのは初めてです。
読みながら、E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形」と少し雰囲気が似てるように感じていたのですが、実際ホフマンの影響を色濃く受けているのだそうです。ホフマンほどの幻想性はないのですが、こちらで描かれている小人の国にもなかなかの雰囲気があります。そしてホフマンと似てるのは、幻想的なところだけではなく、ストーリの展開がややブラックがかってるところもでしょうか。しかしこれはブラックというよりも、教訓的と言うべきなのかもしれないですね。アリョーシャの下らない願い事のせいで、アリョーシャ自身も大変なことになってしまいますし、他にも悪影響が出てしまうことに。しかしいくら雰囲気にのまれてたとはいえ、こういう時にこそ、その人間の本質が出てきてしまうものなのかもしれないですね。とは言っても、教訓的ではあっても説教くさいわけではないのが、この作品の良い所なのですが。
字も大きな児童書ですが、実はなかなか奥が深い作品かもしれません。「幻想文学1500」に選ばれているのも納得。残念ながら大トルストイほどの感銘は受けなかったのですが…。子供の頃に読んでいたら、また少し違っていたのでしょうか。

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