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このページは、金庸の本の感想のページです。

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「越女剣-傑作武侠中篇集」徳間書店(2003年2月読了)★★★

【白馬は西風にいななく】…両親に高昌迷宮の地図を託され、西域の砂漠を疾駆する白馬に乗る李文秀。馬の背で昏倒していたのを、カザフ人の集落の外れに住む計老人に拾われます。すぐに追っ手が現れるのですが、計老人はすかさず殺して埋めてしまい、文秀を自分の家に住まわせることに。
【鴛鴦刀】…西安から北京へと向かうことになった周威信。今回の彼の荷駄は、西安府の塩商人・汪徳栄から預かった銀子10万両と、劉大人が皇上に献上しようとしている、鴛鴦刀と呼ばれる一対の宝刀。鴛鴦刀には得た者が天下無敵になるという言伝えがあり、一行は悪党に次々と狙われます。
【越女剣】…呉王・夫差に敗れて以来臥薪嘗胆、いつか仇を討つことを願う越王・勾踐。しかし呉の夫差からの使者はいずれも恐るべき手練れで、持ってきた宝剣も素晴らしい技物。呉の国力に対して勝ち目はないと落胆する勾踐ですが、太夫・范蠡は、手練れの羊飼いの少女・阿青と出会い、彼女に呉の兵を鍛えさせます。(林久之・伊藤未央訳)

中国武侠小説の巨星と言われる金庸の唯一の短編集です。
「白馬は西風にいななく」本の半分近くを占める中編。幼い頃に両親を殺され、初恋の相手とも結ばれない李文秀。彼女にとってはあまりに可哀想な話です。カザフでの生活の描写などは興味深いのですが、漢人を憎んでいるカザフ人が、漢人にもいい人間がいることを知るという教訓めいたところはあまり好きではないですし、ラスト近くの展開も少々無理矢理があるような気がしました。それにしてもこの白馬、長生きですね。「鴛鴦刀」これは「碧血剣」の番外編的な作品なのだそうです。鴛鴦刀を狙って次々と襲い掛かってくる悪党たち。賑やかな作品です。「越女剣」阿青の師匠の白じいさんが、なんと白猿のことだったとは。イラストを見て、その大きさには驚きました。阿青がいい味を出していますね。范蠡と西施というのは、とても好きな組み合わせです。
金庸は長編が得意とのことで、この本以外は数巻にわたる長編ばかり。さすがにいきなり長編に手を出すのを躊躇って、この本から入ってみましたが、やはり長編でないと金庸らしさが出ないのかもしれませんね。あまりぴんときませんでした。それに一番評判がいい「鴛鴦刀」よりも、他の2編の方が私には面白く感じられましたし、実はあまり合わないのかもしれません。

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