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このページは、ガブリエル・ガルシア=マルケスの本の感想のページです。

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「百年の孤独」新潮社(2008年11月読了)★★★★★

アウレリャーノ・ブエンディーア大佐が子供の頃のマコンドは、澄んだ川が勢い良く落ちていく川のほとりに、葦と泥づくりの家が20軒ほど建っているだけの小さな村。毎年3月になるとぼろをぶら下げたジプシーの一家がやって来て、そのたびにアウレリャーノの父・ホセ・アルカディオ・ブエンディーアが母・ウルスラの反対を押し切っては、なけなしの金で不思議な道具を買い込むのが常となっていました。当初は若き族長として村の発展のために尽くしたホセ・アルカディオ・ブエンディーアは、いつしか家の仕事も子供の世話もせず、ジプシーのメルキアデスに贈られた錬金術の工房に篭りきりの生活を送るようになっていたのです。(「CIEN ANOS DE SOLEDAD」鼓直訳)

この作品を読み始めてまず最初に戸惑ったのは、同じ名前の人間が何人も登場すること。ブエンディーア家に男の子が生まれるたびに「ホセ・アルカディオ」と「アウレリャーノ」という名前がつけられるのです。これは嫡出子であろうが非嫡出子であろうと同じ。特に「ホセ・アルカディオ」もしくは「アウレリャーノ」の子だと言って連れてこられた子には、必ず父と同じ名前がつけられます。ファーストネームは父親、ラストネームは母親と同じ。多い時には17人もの同世代の「アウレリャーノ」が登場することもあり、半端じゃない数です。そしてこの2つの名前ほどではないのですが、女の子の名前としては「ウルスラ」「アマランタ」「レメディオス」が繰り返し登場します。これは混乱せずにはいられないでしょう。しかし、これは作為的なことだったのですね。親の名前を子供につけるというのは普通にあることなのでしょうけれど、なぜこのようなことをするのかとずっと考えながら読んでいたのですが、最後まで読んですとんと腑に落ちました。
読んでいるととても面白いのですが、同時にどこか収まりが悪く落ち着かない気分も常にありました。少し読んでは、また前に戻ってもう一度読んだばかりのところを読み返したくて仕方がないという状態がずっと続いていたのです。しかしそうやって「三歩進んで二歩下がる」読書を続けてた甲斐があったのか、最後の最後で大きな衝撃が。これはすごいですね。これまで積み重ねてきたもの、何度も反復してきたものの全てが、このラストのだったのだということが分かりました。この「100年」というスパンがまた素敵。これはいいですね。面白かったです。

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