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このページは、アナトール・フランスの本の感想のページです。

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「少年少女」岩波文庫(2007年4月読了)★★★
赤頭巾のように朝早くから村のはずれに住んでいるお祖母さまの家へと出かけたファンション。赤頭巾のように林の中で胡桃を取ったりはせず、真っ直ぐ急いで行ったため、狼にも会わずに無事にお祖母さまの家に着きます。そして2人はその1日を一緒に過ごすことに…という「ファンション」以下、ごく短い19編の童話が収められた短編集。(NOS ENFANTS」三好達治訳)

ノーベル文学賞受賞作家・アナトール・フランスによる短編集。あとがきで訳者の三好達治氏が、「小学生にでもわかるような、やさしい文章では書かれていますが、そうしてその話の筋も、ごらんの通りきわめて単純なわかりやすいものばかりですが、しかしその内容は、必ずしも年少の読者のためには、充分のみこみやすいものばかりとは限りません」と書いていますが、たしかにその通りですね。どれも幼い子供たちが中心となる物語ですし、三好達治氏の少し古めかしいながらも美しい日本語で読みやすいのですが、教訓的なメッセージも多く含んでいますし、純粋に子供向けの本というより、教育的な目的のために書かれた本のような印象です。それでももちろん子供が読んで楽しめないということではありません。むしろ教訓的なメッセージなど気にしない子供時代の方が、純粋に楽しんで読めるかもしれません。子供の頃に読み、そして大人になった時に再度読んで、それまで気づかなかった部分に気づくというのが、理想的な読み方かもしれないですね。そして、今回読んでいる時に感じたのは、全体的にどこかジョルジュ・サンドの作品と同じ雰囲気を感じる気がするということ。同じくフランスの作家で時代もかなり重なっています。少し年代の早いジョルジュ・サンドにアナトール・フランスが影響を受けたということはあるのでしょうか。それともどちらの作家の作品も、その時代の雰囲気を如実に表しているというだけでしょうか。
19編の中で特に気に入っているのは「野あそび」。姉の美しさに心を奪われるジャンの場面が好きです。家に帰り着くまでの2人の疲れた様子も、その情景が迫ってくるようです。

収録作品…「ファンション」「仮装舞踏会」「学校」「マリ」「牧羊神(パン)の笛」「ロジェの厩」「勇気」「カトリーヌのお客日」「海の子」「回復期」「野あそび」「観兵式」「落ち葉」「シュザンヌ」「魚釣り」「大きな子供たちの失敗」「ままごと」「芸術家」「ジャクリーヌとミロー」
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