Livre TOP≫HOME≫
Livre

このページは、アンソロジーの本の感想のページです。

line
「みどりいろの童話集-ラング世界童話全集1」偕成社文庫(2008年6月読了)★★★★★

スコットランド生まれのアンドリュー・ラングは、イギリスの文学者であり民俗学者でもあった人物。昔話といえばイギリスのジェイコブズ、ドイツのグリム兄弟、フランスのペローやドーノワ夫人、北欧のアスビョルンセンとモーが採取し再話したものが一般に有名ですが、ラングの色の童話集は、それ以外の世界各地で語り継がれてきた物語や、アンデルセンやハウフなどによる創作物語なども含めたフェアリーテイルの集大成となっています。本国ではBlue、Red、Green、Yellow、Pink、Grey、Crimson、Brown、Orange、Olive、Lilacの順に刊行され、全部で438編もの物語が収められたのだそう。最初は「The Blue Fairy Book」だけが刊行される予定で、ここにはラングが子供たちにぜひ読んで欲しいと思った主要な物語が集められていましたが、この本が大変好評だったため、結局全12巻が揃うことになったのだそうです。2冊目の「Red」にはルーマニアやロシア、ベルギーなどの物語を含む「それほど有名ではないけれどよいお話」が、「Green」には中国の物語が、「Yellow」にはアメリカ先住民の物語が、「Violet」にはエストニアやセルビア、リトアニアの物語が、「Crimson」にはハンガリーの物語が、「Brown」にはラップランドやアイスランドの物語が、「Orange」にはアフリカの物語が、「Olive」にはインドやアルメニア、トルコからの物語が取り上げられ、巻ごとに赴きが異なっているのが特徴。
日本語版のラング世界童話全集はその438編の中から、日本にまだそれほど知られていないものを中心に165編の物語が選ばれ、「みどりいろ」「ばらいろ」「そらいろ」「きいろ」「くさいろ」「ちゃいろ」「ねずみいろ」「あかいろ」「みずいろ」「むらさきいろ」「さくらいろ」「くじゃくいろ」の12冊が刊行されました。ただしこれらの色の名前の童話集は原書にきちんと対応しているのではなく、日本独自の編成。野上彰によって各巻にまんべんなく世界の色々な国々の物語がふりわけられたのだそうです。(川端康成・野上彰編訳)

。(1977/07初版)

収録:「カーグラスの城」(フランス)、「世界でいちばんすばらしいうそつき」(セルビア)、「いのちの水」(スペイン)、「王子とはと」(ポルトガル)、「くま」(不詳)、「七人」(シシリー)、「フォーチュネータスとそのさいふ」(不詳)、「魔法のナイフ」(セルビア)、「二ひきのかえる」(日本)、「花さく島の女王」(フランス)、「空をおよぐさかな」(不詳)、「ローズマリーの小枝」(スペイン)、「さかなの騎士」(スペイン)、「ふしぎなこじきたち」(セルビア)、「ろばの皮」(フランス)、「三人の王子とそのけものたち」(リトアニア)、「ながい鼻の小人」(不詳)
(川端康成・野上彰編訳)


「ばらいろの童話集-ラング世界童話全集2」偕成社文庫(2008年6月読了)★★★★

収録:「トントラワルドの物語」(エストニア)、「がみがみおやじ」(フランス)、「王さまのご健康を!」(ロシア)、「うさぎを飼ったゼスパー」(スカンジナビア)、「かえる」(イタリア)、「うらやましがりやのとなりの人-花さかじじい」(日本)、「けもののことば」(不明)、「人魚と子ども」(ラプランド地方)、「くじゃくと金のりんご」(セルビア)、「リュート弾き」(ロシア)、「金のライオン」(シシリー)、「うしなわれた花園」(フランス)、「花をつんでどうなった」(ポルトガル)
(川端康成・野上彰編訳 1977/08初版)

Livre TOP≫HOME≫
JardinSoleil

Copyright 2000-2011 Shiki. All rights reserved.