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このページは、ヘンリイ・スレッサーの本の感想のページです。

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「うまい犯罪、しゃれた殺人」ハヤカワ文庫HM(2004年11月読了)★★★★
【逃げるばかりが能じゃない】…12年ぶりに出所したミルト・ポッター。12年前に捜査に携わった刑事が、その時の20万ドルを取り戻すためにポッターの家を訪れます。
【金は天下の回りもの】…同僚とのポーカーで1週間分の給料をすってしまったアーヴ・ランドール。思わず妻のフランシスに、ちんぴらに襲われたと言ってしまいます。
【ペンフレンド】…マーガレット・ロウエンの元を警官が訪れます。姪のマージーが終身懲役囚・ラウール・コリンズと文通中で、そのコリンズが脱走したというのです。
【信用第一】…ラリー・ファブリツィオは、父のイタリア移民仲間だったパスチェッティのオフィスへ。渡米して27年、今やパスチェッティは貿易会社の社長として成功しているのです。
【犬も歩けば】…職探しから帰宅しようとしていたジョー・ヘルマーの目の前で、1人の男が倒れます。ジョーは思わず男のポケットから札入れを盗るのですが…。
【41人目の探偵】…妻を殺した男を捜し続けていたマンロー・ディーンは、自分が犯人を突き止めたので、その男と接触して欲しいと探偵に依頼します。
【不在証明】…娘のシャロンの元を訪れたトロッター夫人。シャロンがシャワーを浴びている時に、シャロンの不倫相手のベンからの電話を取ることに。
【恐ろしい電話】…共同加入電話を使い始めてかれこれ15年になるミセズ・パーチ。郡保安官事務所からの電話を、ミセズ・ガイルズから詮索されて苛立ちます。
【競馬狂夫人】…競馬に負け続きのフラン・オランドは、新しい馬券を買おうとするのですが、既に25ドルの借金が溜まっていました。そして6時までにお金を用意することに。
【気に入った売り家】…7万5千ドルの値のついた、町はずれのおんぼろ家。その家を買いたいと、ウォータベリイという男が不動産屋を訪れます。
【老人のような少年】…ピストル強盗でアリーと一緒に捕まったジャッキー・スミスは、刑務所を出た後、アリーの母親の家を訪れます。そしてその家に住み込むことに。
【最後の舞台】…縄抜けのマジックを売り物としているジョー・フェルリニ。しかしマネージャーのフィル・ロスコに持ちかけた大掛かりな水中脱出のマジックで失敗して…。
【ふたつの顔を持つ男】…追い剥ぎにバッグを盗られたワグナー夫人は、警察で犯罪者の顔写真を見ることに。そしてその中に、見覚えのある顔を見つけます。
【親切なウエイトレス】…セルマは、毎晩のようにレストランに現れるマナーハイム夫人に気に入られ、亡くなった時には遺産を受け取れることになります。
【付け値】…階下での物音は、家に押し入ってきていた強盗のものでした。モート・ボナーは、妻殺しを強盗にさせようと考え、取引をしようとします。
【眠りを殺した男】…火災で妻のリンダを亡くしたキャベンダーは、妻の兄・ジャック・フレッチャーにリンダを殺したと詰られて以来、不眠症になっていました。
【処刑の日】…検察官・ウォーレン・セルヴィは、初めて手がけた大きな裁判で有罪の評決を勝ち取り、大きな満足を得ます。しかし彼の前に自分こそが犯人だと言う老人が現れて…。
(「A BOUQUET OF CLEAN CRIMES AND NEAT MURDERS」)

副題は、「ヒッチコックのお気に入り」。その名の通り、アルフレッド・ヒッチコックが選んだ17の短編が収められています。ヘンリイ・スレッサーという人は、アルフレッド・ヒッチコック劇場で脚本家もしていた人物で、この17編も、全てテレビドラマ化されたもの。ヒッチコックらしい、遊び心満載のお洒落な作品ばかり。テンポも良く、皮肉が利いた鮮やかなオチも秀逸。「A BOUQUET OF CLEAN CRIMES AND NEAT MURDERS」というタイトルもお洒落ですね。「うまい犯罪、しゃれた殺人」という邦題も素晴らしいです。ヒッチコック自身による序文もついています。
ブラック風味の作品も多く、その点で私はロアルド・ダールを連想したりのですが、解説を読むと、むしろO・ヘンリーと比べられることが多いようですね。私はあまりブラック風味が効き過ぎない方が好きなので、「金は天下の回りもの」「ペンフレンド」「犬も歩けば」「親切なウエイトレス」など、意表を突かれて笑いたくなってしまうような作品が気に入りました。そしてオチの意外性はもちろんですが、ごく短い話の中で、登場人物をくっきりと描き出しているのが凄いですね。
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