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このページは、シンシア・ライラントの本の感想のページです。

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「ヴァン・ゴッホ・カフェ」偕成社(2006年6月読了)★★★

カンザス州フラワーズの町のメイン・ストリートにあるヴァン・ゴッホ・カフェ。このカフェに魔法がつきまとうことになったのは、昔、劇場だった建物の片隅にあったせいなのかもしれません。魔法はカフェの壁にしみこんでおり、ときたまひとりでに目を覚まし、人々や動物、置物や食べ物などに影響を及ぼします。マークがこのカフェを買い取ったのは7年前のこと。やがてまるで夢のような、ミステリーのような、素晴らしい油絵のようなカフェがあるといううわさが広がります。(「THE VAN GOGH CAFE」中村妙子訳)

ヴァン・ゴッホ・カフェでおきる、ささやかな魔法の物語。それは魔法使いや魔女が出てくるようなお話ではなくて、もっとさりげない魔法。ちょっとした奇跡のような、そんな魔法… というのは、実は私の願望。実際には、もっと本当に魔法のような出来事も沢山登場します。とても素敵なお話になりそうだったのに、なぜこうなってしまったのでしょう。はっきりとした現象としての「魔法」がない方が、むしろ良かったのではないでしょうか。なぜか明るく前向きな気分になれるカフェで時間を素敵な時間を過ごしているうちに、物事がいい方に向かい始める、もしくはちょっとした人と人との出会いが、思いがけないものを生む、といった程度で十分だったと思うのですが。そうでなかったとしても、もっと魔法と現実との境目が曖昧な方が好みです。
それでも、古い友達と会うためにヴァン・ゴッホ・カフェにやって来た「スター」の話や、作家になることをほとんど諦めかけていた男が自分の作品を見つける話は好きでした。知らず知らずのうちに、こういった話を期待していたようです。

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