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このページは、コーマック・マッカーシーの本の感想のページです。

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「すべての美しい馬」ハヤカワepi文庫(2006年4月読了)★★★

1949年。祖父が亡くなり、その牧場は、家を出てサン・アントニオに行ってしまった母親の手に渡ることに。母親は既に牧場を処分することを決めていました。16歳のジョン・グレイディ・コールは、親友のロリンズと共に馬に乗って牧場のある町から出発。メキシコへと向かいます。途中で彼らが出会ったのは、一見してすごい馬だと分かるような馬を連れたジミー・ブレヴィンズでした。(「ALL THE PRETTY HORSES」黒原敏行訳)

全米図書賞、全米書評協会賞などを受賞したという作品で、愛好者の熱狂的な支持を受けた作品とのことなのですが、私にとっては非常に読みにくかったです。ろくに句読点のない長い文章は、英語での特徴をそのまま日本語に表現したものとのこと。会話には「」がなく、しかもスペイン語が沢山登場します。ついつい、スペイン語部分に気を取られがち。しかしそれだけならまだ慣れることができます。この作品は、読んでいてもなかなか状況が見えてこないのです。それが一番の読みにくさの原因だったように思います。分からないまま、ジョン・グレイディ・コールの旅が始まると、物語は格段に分かりやすくなりますし、銃の暴発で指を2本失っている、アレハンドラの伯母・アルフォンサは魅力的だったのですが、結局最後まで物語に入り込めないまま終わってしまいました。ただ、この「すべての美しい馬」が発表されたのは1992年であることが信じられないほど、「カウボーイ」がまだ生き残っていた当時の雰囲気を伝えてくれる、骨太で荒削りな作品ではあります。ハイウェイが全米中を走っているような時代に馬で旅をする2人の青年という情景もインパクトが強いもの。
しかし一旦は否定的な気持ちで読み終えたものの、読んでから2〜3日経つと何かしらじわりとくるものが感じられました。もしかしたら、今度再読した時にはこの作品の良さが分かるかもしれませんね。
この作品と「越境」「平原の町」で、国境三部作とされているようです。

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