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このページは、アラン・ライトマンの本の感想のページです。

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「アインシュタインの夢」ハヤカワepi文庫(2006年4月読了)★★★
1905年、スイス。26歳のアインシュタインは、特許庁に勤めながら、博士論文の他に光量子に関する論文やブラウン運動に関する論文など、次々に論文を発表していました。唯一者に近づくために時間の性質を理解したがっているアインシュタインがこの時目指していたのは、まさに相対性理論。アインシュタインは、元々電気と磁気の研究として着手されたこの論文に、時間の概念の再検討が必要だと感じていました。そしてその頃、アインシュタインは夜毎に不思議な夢を見ます。(「EINSTEIN'S DREAMS」浅倉久志訳)

プロローグとエピローグ、そしてインタールードという章でアインシュタインと友人のベッソーのやり取りが描かれている他は、アインシュタインのみた夢が次々に物語となって展開していきます。それは30編の様々な時間に関する夢。時間に始めも終わりもない円環の世界、突然時間の流れが変わってしまう世界、時間が空間と同じく3つの次元を持っている世界、機械時間と肉体時間を持つ世界、時間の流れが地球の中心から遠く隔たるほど遅くなる世界、時間が規則正しく着実に流れていく世界、原因と結果が不安定な世界、平穏無事な1日、1ヶ月、1年がひたすら通り過ぎていく世界…。時間の持つ様々なバリエーションが、まるでヨーロッパ映画の一場面のように展開していきます。ベルンを舞台にした様々な物語は、1905年という時代を感じさせる典雅で絵画的なもの。そこに展開される様々な人間模様も面白いです。
この作品を書いたアラン・ライトマンは現役の物理学者なのだそうです。しかしアインシュタインの相対性理論が何なのか良く理解していない私にとっては、様々な世界の情景が興味深くはあるものの、結局実際の理論と照らし合わせて読むことができなかったのがとても残念。ましてや、訳者あとがきに書かれた「現代物理学の仮説を踏まえた時間の性質も巧みにイメージ化されている」のも掴みとれませんでした。自分の勉強不足が残念です。
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