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このページは、エリカ・クラウスの本の感想のページです。

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「いつかわたしに会いにきて」ハヤカワepi文庫(2006年4月読了)★★★★

仕事や恋愛13編が収められた、エリカ・クラウスのデビュー短編集。「他人の夫」は、2001年の「ニューヨーカー」という雑誌に掲載されて絶賛されたというデビュー作です。(「COME UP AND SEE ME SOMETIME」古屋美登里訳)

主に、20代後半から30代ぐらいの女性を描いた物語。恋や仕事に忙しく、しかしどちらもあまり順調でななくなってきた女性たちの姿が描かれていきます。日々の生活の中で悩んだり、試行錯誤しながらも、それぞれに歩んで行く女性たち。既に若さだけで突き進んでいけるほど若くもなく、少し生活に疲れてきている彼女たち。確かに女性の視点で描かれているのですが、ウェットな部分はまるでなく、かなりドライな文章で書かれているのでとても読みやすかったです。例えば「他人の夫」のラストの姉妹が直感的に理解してしまう部分も、とても説得力がある部分ですね。ただ、13編の短編を一度に読もうとすると、元々私があまり短編が得意ではないこともあり、途中で少々飽きが来てしまったのですが… 一番短い「初めての地震」という作品のインパクトを見ても、短編的なセンスは十分に持っている作家さんのようです。各短編の前に引用されているメイ・ウェストの言葉も素敵です。
そしてエリカ・クラウスさんは、日本に詳しい方なのでしょうか。登場する女性が着物を着ていることも多いですし、「女装する者」では、「日本には、クリスマス・ケーキ現象というのがある。(中略)ところがクリスマス当日の二十五日になったら、東京じゅうを探して歩いても、ケーキはひとつも見あたらない。それまでにケーキは全部捨てられてしまうのだ。無料であっても、ケーキをほしがる人はもういない。日本では、二十五歳の女はクリスマス・ケーキと呼ばれている」と書かれています。

収録作品:「結婚式」「ノー・ユニヴァース」「ドラッグとあなた」「情け」「浮かぶには大きすぎるもの」「よそのお母さん」「初めての地震」「女装する者」「はずみ」「他人の夫」「断食」「テキサス経由で」「身につけていたもの」

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