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このページは、エドモンド・ハミルトンの本の感想のページです。

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「フェッセンデンの宇宙」河出書房新社(2004年6月読了)★★★★★お気に入り
【フェッセンデンの宇宙】…史上最高であり最低の科学者・アーノルド・フェッセンデンの家を訪れたブラッドリーは、フェッセンデンの創り出した宇宙を目の当たりにすることに。
【風の子供】…黄金の魔力に誘われて、伝説の卓状台地へと赴いたブレント。入ろうとした人間は片っ端から風に殺されると現地の人々の恐れる聖地・風の高原へと向かいます。
【向こうはどんなところだい?】…火星での過酷な任務を終え、地球に帰還したフランク・ハッドン軍曹。病や事故のため、帰還できた隊員はごくわずか。彼は死んだ隊員の家へと向かいます。
【帰ってきた男】…意識を取り戻したジョン・ウッドフォードは、自分がいるのが棺桶の中で、納骨堂に埋葬されているのに気付きます。彼はなんとか棺桶から抜け出すのですが…。
【凶運の彗星】…彗星が地球に接近中。当初は地球に衝突する危険はないと発表されるのですが、実は地球速度が加速し、本来の軌道から逸れ始めていたのです。
【追放者】…ディナーに集まった4人のプロのSF作家たち。その中の1人が、自分の創り出した架空の惑星に住むはめになってしまったという話をします。
【翼を持つ男】…生まれて1時間で孤児となってしまった赤ん坊の背中にあったのは、2つのこぶ。そのこぶからは、なんと大きな翼が生えてくることに。
【太陽の炎】…昼側(サンサイド)での事故でビネッティとモースが死亡。生き残ったヒューケラードは、会社には辞表を出して宇宙との縁を切り、地球の古屋敷に戻ってきていました。
【夢見る者の世界】…ザールという世界のジョタンの王子・カール・カンは、「黄金の翼」と呼ばれる姫君を一目見ようと考え、父王に言われた偵察の後、砂漠へと向かいます。
(「FESSENDEN'S WORLDS」中村融訳)

SF短編集。表題作「フェッセンデンの宇宙」だけは小学生の頃に既読なのですが、この神の業を思わせる実験は、子供心にも非常に強烈なものでした。大人になった今読んでも、全く色褪せていないというのが驚きです。素晴らしい作品ですね。
ファンタジックホラーのような「風の子供」、主人公の切なさが迫ってくる「向こうはどんなところだい?」、ロアルド・ダールのようなブラックさを見せる「帰ってきた男」、なぜか古い第二次世界大戦物の映画を思い出した「凶運の彗星」、短いながらも最後の反転が迫力の「追放者」、イカロスの翼とは逆の切なさの残る「翼を持つ男」、壮大でロマンティックなイメージが湧いてくる「太陽の炎」、エドモンド・ハミルトンが果たしてどの結末を選んだのかワクワクしてしまう「夢見る者の世界」。もちろんどこかで読んだような物語もあるのですが、しかしここに収められた作品群は、1930年代に書かれた作品。現在のSFの基礎を築いた言えるような作品ばかりです。しかもどこかで読んだような物語であっても、オリジナルの持つパワーはそのまま。今読んでも全く古さを感じませんし、素晴らしく面白いです。
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