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このページは、ウィリアム・ゴールドマンの本の感想のページです。

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「プリンセス・ブライド」ハヤカワ文庫FT(2006年12月読了)★★★★★お気に入り
息子のジェイスンの10歳の誕生日に、フローリン国の文豪・S・モーゲンスターンの「プリンセス・ブライド」を贈ったウィリアム・ゴールドマン。これはゴールドマンが10歳の時、肺炎で寝込んでいる間、英語に関しては文盲状態だった移民の父が、少しずつ読み聞かせてくれたという懐かしい本。ゴールドマンが本を好きになるきっかけとなった本なのです。しかし苦労して手に入れた本を、ジェイソンは1章だけを読んで挫折。息子が本を気に入ってくれなかったことに傷ついたゴールドマンですが、自分で本を開いてみて、かつて知っていた物語とは違っていることに気づきます。父は物語の退屈なフローリン国に関する歴史部分を飛ばして、面白いアクションの部分だけを読んでくれていたのです。それを知ったゴールドマンは、「プリンセス・ブライド」の娯楽抜粋版を作り上げることに。(「THE PRINCESS BRIDE」佐藤高子訳)

「明日に向かって撃て!」や「華麗なるヒコーキ野郎」の脚本でも有名なベストセラー作家・ウィリアム・ゴールドマンが、フローリン国の文豪S・モーゲンスターンの名前を借りて作り上げた「真実の恋と手に汗握る冒険物語の名作」。
ユーモアたっぷりの作品。絶世の美女・キンポウゲと恋人のウエストリーのラブロマンスや冒険活劇の「プリンセス・ブライド」自体ももちろん面白いのですが、やはり一番楽しいのはゴールドマン自身による遊び心たっぷりの解説でしょう。物語が始まるまでの経緯説明も面白いですし、物語が始まってからも、ゴールドマン自身による解説が随時織り込まれています。ハヤカワ文庫FT版では、この解説部分を一見して分かりやすくするために赤字で印刷するという凝った構成。原書でも色が変わっているのでしょうか。それともフォントが違うのでしょうか? 当然、物語は何度も分断されることになるのですが、その解説の文章自体が一捻りされていますし、人を食った面白いものなので、まるで勢いを殺ぎません。それどころか、漫才のツッコミを見ているような楽しさ。退屈な歴史部分をすっかり削除したということは、もしや某ファンタジー大作に対する皮肉なのでしょうか? もちろんフローリン国などという国はありませんし、文豪S・モーゲンスターンも存在しません。全てがゴールドマンによる一人芝居。上手いですね。
この作品は、「プリンセス・ブライド・ストーリー」という邦題で映画化もされているのだそう。これはぜひとも観てみたいです。
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