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このページは、エリザベス・ギルバートの本の感想のページです。

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「巡礼者たち」新潮文庫(2007年5月読了)★★★★★
【巡礼者たち】…親父が女を雇ったと聞いて驚くバックと兄貴のクロズビー。それははるばるペンシルバニアからオンボロ車でやって来た、19歳のマーサ・ノックスでした。
【エルクの言葉】…ベニー少年がエドとジーンの元で暮らすようになって1年余り。学校のハロウィンに出かけようとしていたところに、近所に越してきたというドナルドソン一家がやって来ます。
【東へ向かうアリス】…ベローナの町の中心部に向かって車を走らせていたロイは、白いピックアップ・トラックが路肩に停車しているのに気づきます。トラックが故障したというのです。
【撃たれた鳥】…今11歳のタナー・ロジャースを鳩撃ちに誘いに来たのは、ガスハウス・ジョンソン。本来ならタナーの父親のエドが撃ち手なのですが、今入院中なのです。
【トール・フォークス】…道を挟んで向かい合う2つの酒場、ラディ・ナット・ハットと、トール・フォークス。トール・フォークスの経営者が変わり、エレンは甥のアルと共に敵情視察に訪れます。
【着地】… サンフランシスコに3ヶ月暮らして、寝た相手はテネシー出身の田舎者ただ1人。ビジネスマンで混みあう店で浮いていたディーンに思わず声をかけてしまったのです。
【あのばかな子たちを捕まえろ】…マージとペグは職場のレストランの料理用ワインを飲んで酔っ払い、駐車場にあった警察の車のフロントガラスにバターを塗りたくり、逮捕されます。
【デニー・ブラウン(15歳)の知らなかったこと】…両親のことも両親の仕事のことも、突然親友になったラッセル・カレスキーのこともガールフレンドとなったポーレット・カレスキーのことも…。
【花の名前と女の子の名前】…祖父がバベットの絵を描いたのは、まだ20歳になっていない頃。大伯母に告げないで出かけたナイトクラブで歌っていたバベットに目を奪われたのです。
【ブロンクス中央青果市場にて】…椎間板の手術と療養で6ヶ月は仕事を休む必要があると言われたジミー・モラン。休んでいる間に車を買い、労働組合の支部長に立候補する決意を固めます。
【華麗なる奇術師】…ハンガリー移民のリチャード・ホフマンは、こつこつと貯めた金で高級ナイトクラブを買い取り、40代終わり頃、奇術師のエース・ダグラスを雇い入れることに。
【最高の妻】…結婚43年で夫が亡くなり、ローズは地元の幼稚園のバスの運転手になることに。毎日13人の少年少女を送り届けるのです。しかしある朝、乗り込んできたのはかつてのローズの恋人たちで…。(「PILGRIMS」岩本正恵訳)

12編が収められた短編集。どの物語も何か特別なことが起きるわけではなく、むしろ起伏は少なすぎるほど少なく、しかもあっけないほどあっさりと終わってしまいます。ごくごく淡々と日常の場面を切り取っているだけ。それなのに、なぜかとても心に残りますね。淡々としていながら心に残るというのは、まるでジュンパ・ラヒリの作品のよう。私は基本的に短編集が苦手なのですが、こういった上質の短編集は別。1作ずつはそれほどの長さではないのに、まるで長編を読んだ時のような満足感が残ります。私が特に好きなのは、「デニー・ブラウン(15歳)の知らなかったこと」「最高の妻」。12の物語がそれぞれに暖かく力強く、そして時には不気味な力で、見知らぬ世界へと連れていってくれるようです。
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