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このページは、ブレット・イーストン・エリスの本の感想のページです。

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「レス・ザン・ゼロ」ハヤカワepi文庫(2006年4月読了)★★★
大学が冬休みに入り、4ヶ月ぶりでニューハンプシャーからロサンゼルスに帰ってきたクレイ。両親は別居中で、家にいるのは母親と2人の妹。クレアは毎日のようにブレアやトレントらととパーティーに行き、コークできめる日々を送り始めます。(「LESS THAN ZERO」中江昌彦訳)

まるで村上龍の「限りなく透明に近いブルー」のような作品。しかし「限りなく透明に近いブルー」が発表されたのが1976年、「レス・ザン・ゼロ」は1986年。「限りなく透明に近いブルー」の方が10年近くも早いのですね。発表された当時、日本でも時代を先取りした作品として衝撃的だったのではないかと思うのですが、なんと世界的に見てもとても早かったとは。
そして「レス・ザン・ゼロ」に描かれているのは、80年代の西海岸の、セックスにドラッグにパーティ三昧の虚無的で退廃的な日々。ここに描かれた若者たちは、全てにおいて投げやりで無軌道。プールがあるような豪邸に住み、経済的には恵まれていながらも、相手構わないセックスを繰り返し、危険なほど頻繁にドラッグを摂取し、時には犯罪としか思えない行為もしています。常に他人と一緒にいなければ時間を潰すこともできないような彼らなのですが、他人と本質的に関わることは避けており、その付き合いはあくまでも表面上のもの。
こういった作品が当時のアメリカの読者に衝撃的だったであろうことは分かるのですが、私にとっては、やはり「限りなく透明に近いブルー」の方が力強かったように思います。それはもしかしたら、私が「レス・ザン・ゼロ」よりも「限りなく透明に近いブルー」に早く出会い、しかもその作品を読んだのが大学時代だったということも、大きく影響しているのかもしれませんが…。
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