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このページは、フランチェスカ・リア・ブロックの本の感想のページです。

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「ウィーツィ・バット」東京創元社(2003年11月読了)★★★★★
ハリウッドに住むウィーツィ・バットは、ハイスクールが大嫌い。しかしダークに出会って全てが変わります。ダークは髪を真っ黒なモヒカンにして、55年型のポンティアックに乗っている、学校一カッコいい男の子。学校中の女の子がダークに夢中になるのですが、ダークが声をかけたのはウィーツィでした。2人はすぐに意気投合し、最高にクールなカップルになります。しかしダークは、実はゲイだったのです。それでもウィーツィは動じません。「おれ、ゲイなんだ」というダークの言葉に、彼女の答えは、「ってことは、あたしたち、一緒にオトコをゲットしにいけるわね」でした。(「WEETZIE BAT」金原瑞人訳)

ウィーツィ・バットブックス全5巻の1巻目。アメリカのヤングアダルト世代に絶大な人気という作品。
ポップでキュートでテンポが良くて、非常に現代のアメリカの若者世代らしいリアルさに溢れた物語。しかし完全に現実の青春物語かと思っていたら、突然ランプの精が登場したのには驚きました。
120ページほどの短い物語の中に離婚、ドラッグ、ゲイ、10代の妊娠などの問題がたくさん詰まっています。しかしそこには、それらの問題にまつわる暗さも、説教臭さも全くありません。それどころか、読む人によっては、問題の受け止め方が軽すぎる、真剣味が足りない、と考えるかもしれないほど。そのぐらい彼らはフットワークも軽く、それらの問題を乗り越えていきます。そんな彼らの姿勢にはとても好感が持てます。自分が一番大切な物は何なのか。それを守るには、どういう行動をとるのがベストなのか。彼らなりに考えて結論を出しているというのが、きちんと感じられるからなのでしょうね。大人は眉をひそめるかもしれない、そんな結論が出たとしても、自分たちなりに考えて出した結論は、彼らにとっての真実なのですから。
特にダークがゲイと分かった時の、ウィーツィの反応は理想的です。親の離婚などで子供たちが荒れるのかと思いきや、逆にいい感じの個人主義が育っているのですね。離婚はしていても、両親に愛されて育っているからなのでしょうか。安易に人に頼ろうとしない面も好感度大。キラキラと眩しくなってしまうような物語です。
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