Livre TOP≫HOME≫
Livre

このページは、岡嶋二人さんの本の感想のページです。

line
「眠れぬ夜の殺人」講談社文庫(2003年5月再読)★★★★★
接待で飲んだ帰り道に酔った男にいいがかりをつけられた男性がその男を力いっぱい突き飛ばし、男は偶然走ってきた1台の乗用車に轢かれて死亡するという事件が起きます。そんな、酒に酔った赤の他人同士の喧嘩が殺人に発展するという事件がこの3ヶ月に頻発していました。それらの事件は、被害者と加害者に元々面識がなく、被害者がいずれも前日から家に帰っておらず、しかも被害者の遺族は、なぜ被害者が事件の現場にいたのか見当もつかないと言っているのが特徴。それぞれ全く別に見える事件の共通点が気になった部長刑事は、菱刈長三という謎の男に事件を調べてもらうことに。それは部長刑事が前任者からこの地位を引き継いだ時に、一緒に引継ぎを受けた存在でした。警視庁刑事部にある11の下部組織の他に、もう1つの公にされていない、捜査0課とでも呼ぶべき12番目の組織があったのです。菱刈の下で働くのは、サミーこと向井聡美と、ソーレンこと相馬廉平。

岡嶋二人さんにしては非常に珍しい、捜査0課シリーズの1作目。
警察に連なる組織でありながら、その存在はあくまでも秘密。「絵を、また買いたいんだが」「絵が売れた」という言葉で動きだすメンバー、そして無法的なその行動。まるでミッション・インポッシブルのようでカッコイイですね。こういう作品は、とにかく楽しんでしまうに限ります。物語は、まるでアクション映画でも見ているかのようにテンポ良く進み、個性的なキャラクターが魅力をたっぷり見せつけてくれて、読みながらワクワクしてしまいました。しかもこの作品の魅力はそれだけではなく、事件の裏に隠されている犯人グループの脅迫に関しても、なかなかのものだと思います。緻密なストーリーが最後に1点に収束していく様はお見事。さすが岡嶋二人さんと言える作品ではないでしょうか。
Next≫
Livre TOP≫HOME≫
JardinSoleil

Copyright 2000-2011 Shiki. All rights reserved.