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東欧やロシアのスラヴ民族の間では、スラヴ神話が語り継がれていました
文字を持っていなかったため、資料的にはほとんど残されていないようなのですが
現在でも多くの民間伝承の物語を読むことができます

スラヴ神話関連作品(民話編)■
ロシア民話集 上」「ロシア民話集 下」アファナーシエフ編(中村喜和訳)岩波文庫(1987/07)

ロシアのグリムとも呼ばれる民族学者・アファナーシエフが編纂した「ロシア民話集」から78編を選び、上下巻に収めたもの。ヤガーばあさんや不死身のコルシチェフ、イワンのばか、火の鳥など、ロシア民話にお馴染みの登場人物が盛りだくさんです。私の詳しい感想はコチラ

ハンガリー民話集」オルトゥタイ編(徳永康元・石本礼子・岩崎悦子・粂栄美子編訳)岩波文庫(1996/01)

ハンガリーの民話を43編集めたもの。日本の昔話の決まり文句「むかしむかし、あるところに」というのが、ハンガリーでは「あったことかなかったことか」という言葉。そして「めでたしめでたし」は、「死んでいなければ今も生きているはずだ」という言葉。ちょっとしたところにお国柄が出ているのが楽しいです。私の詳しい感想はコチラ

バーバ・ヤガー」アーネスト・スモール文、ブレア・レント絵(こだま ともこ訳)童話館出版(1998/01)

お母さんに言われてカブを買いに出たものの、途中でお金を落としてしまったマルーシャ。森にカブが生えてないか探していると、やがて鶏の足の生えたバーバ・ヤガーの小屋が現れて…。「白い騎士」と「黒い騎士」というのが素敵ですし、悪い子じゃないと食べないというバーバ・ヤガーがユニーク。恐ろしいながらもどこか抜けている魔女相手に、マルーシャは自分の力でで夕食になることを免れるのです。「いい子にしないとバーバ・ヤーガに食べられてしまうよ!」と子供をたしなめる母親の声が聞こえてきそう。版画風の挿絵も素敵です。

まほうつかいバーバ・ヤガー」松谷さやか再話・ナタリー・パラン絵 福音館書店(1987/02)

新しくやってきたお母さんは娘のことが気に入らず、お父さんの留守中に娘を自分の姉のところに行かせます。しかしその姉というのは、実はまほうつかいのバーバ・ヤガーで…。細かい部分は違うものの、アファナーシェフの「ロシア民話集」収録の「ヤガーばあさん」と同じ。「こやよ こやよ、森のほうには うしろむき、わたしのほうには まえむきに なあれ!」と言うところが面白いです。絵もスカーフやスカート、靴、木や木でできたものなど部分的に切紙細工のようで、民族調のとても可愛い絵本となっています。

No Imageバーバ・ヤガーとままむすめ」渡辺節子文・井上洋介絵 ほるぷ出版(1993/02)

話としては「まほうつかいバーバ・ヤガー」と同じ。こちらの大胆な絵柄は私の好みではないのですが、バーバ・ヤガーの家が鶏の足がついてくるりくるりと回っている本式のものなのがいいですね。娘のマーシャは事前に他者に助けを求めることなく、自分自身で良い行いをしてそして報われています。魔女に追われた時に投げるのは櫛と火打石と手拭き。櫛は森ですが、火打石は石の山に、手拭きは火の海となり、バーバ・ヤガーは諦めるのではなく焼け死にます。

No Imageおばけのババヤガー」カロリコフ再話・カバリョーフ絵 (宮川やすえ訳)岩崎書店(1988/02)

お父さんが町に買い物に行く日、2人の姉は肩掛けや洋服を頼みますが、美人で働き者の末娘・マリューシカは鷹の羽を1枚頼んだだけ。マリューシカが鷹の羽を床に投げると、そこには素晴らしい若者が現れます…。アファナーシェフの「ロシア民話集」収録の「りりしい鷹フィニストの羽」と同じ物語。こちらに登場するバーバ・ヤガーは意地悪な人食い鬼ではなく、娘を導いてくれる親切な老婆。幻想的な絵柄で、特に鶏の足の上にのっかったバーバ・ヤガーの家、そして魔法使いの女王の城の絵がとても素敵です。

マーシャとババヤガーのおおきなとり」宮川やすえ文・太田大八絵 ひさかたチャイルド(2007/11)

両親の留守中、弟のお守りをしていたマーシャ。しかし自分の友達との遊びに夢中になり、弟のことを忘れてしまいます。すると突然ババヤガーの飼っている大きな鳥の群れが現れ、ワニューシカを攫っていってしまうのです…。アファナーシェフの「ロシア民話集」収録の「鵞鳥白鳥」と同じ物語。「情けは人のためならず」の典型的な物語。こちらのバーバ・ヤガーの家は鶏の足の上には乗っているものの、回転はしていません。

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