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このページは、島田荘司さんの本の感想のページです。

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「嘘でもいいから殺人事件」集英社文庫(2002年2月読了)★★★★

サードADになったばかりのタックこと隈能美堂巧(くまのみどたくみ)は、無茶な上司のせいでいつも苦労してばかり。彼の上司は、テレビ業界では「やらせの三太郎」として有名なディレクター・軽石三太郎。TPSテレビの毎週水曜夜8時の「八時スペシャル」を持つ有名ディレクターなのですが、番組でのやらせがあまりにもひどいため、今や首が危ない状態。今回、スタッフたちは東京湾に浮かぶ無人島・猿島へと向かいます。そこにはタックの友達で元華族の田村高麿の別荘があるのです。かつて死体が消滅したという曰くつきの幽霊屋敷での撮影は無事終了するのですが、大型台風の接近で、スタッフたちは島に足止めを食ってしまいます。そしてその晩、殺人が。しかしその死体が消滅してしまうのです。

嘘でもいいから… シリーズ1作目。
絵に描いたようなキャラクターに絵に描いたような展開で、普段の島田作品からは考えられない軽さですね。しかし軽いとは言っても、土台はしっかりとしているので面白いです。三太郎や毒島刑事といった強烈なキャラクターを前にして、主人公のタックが若干霞んでいるような気もしますが、それでもやはりタックやターボもいい味を出していますね。アリスやセーラといった女性陣も、嫌味なく華を添えています。そして殺人事件のトリックも、読んでみると意外に島田さんらしいもの。正直、この作風だとそれほどのものは出てこないだろうと思っていたのですが、期待以上でした。(失礼)
しかしユーモアを追求するあまり、テレビ業界の中身をいい加減に描きすぎてるのような気もしますユーモア小説だからと言われてしまえばそれまでなのですが…。それに些細なことですが、テレビという職種についている人たちの一番の特徴を忘れていませんか。(笑)
尚、ここに登場する隈能美堂巧は、「御手洗潔の挨拶」の中の「疾走する死者」にも登場しています。


「殺人ダイヤルを捜せ」講談社文庫(2002年1月読了)★★

商社の電話交換手をしている綾子は、顔やスタイルは人並み以上なのに、会社ではいくら声をかけられても応じない冷たい女。そんな綾子の秘密は、なんとテレフォン・セックスでした。でたらめな番号をダイヤルし、相手が気に入れば番号を控えてまた電話する。毎晩そんなことを繰り返していたのです。ある日家に遊びに来た美枝子に、間違い電話をした時に、相手の男にテレフォン・セックスを誘われたという話を聞き、興味津々。早速その番号をダイヤルするのですが、聞こえてきたのは「助けて!」という悲鳴。綾子は警察に連絡することもできず、翌日から新聞の殺人記事を目の皿のようにして探しはじめます。

題名通り、電話が重要な小道具となっています。ダイヤル式の電話なので今読むと少々古く感じられるのですが、これは仕方がないですね。このネタ自体は、私は以前から知っていたのですが、当時でもこれを知っている人間は少なかったのでは?それをミステリに使うとは、さすがですね。
主人公には人を見る目が全くなく、あまりに安易な行動を繰り返しますし、女性同士の話の内容もあまりに軽いです。そのおかげで、読後感は明るいものになりましたが…。テンポが良く、比較的短い作品なので、あっという間に読めてしまいます。最後の台詞には思わず笑みがこぼれますね。


「サテンのマーメイド」集英社文庫(2004年3月読了)★★★

ある晩、私立探偵の「私」の元を訪れたのは、サラ・マーメイドという女性。申し分ない美貌とプロポーション、シュガー・ヴォイスを持つ彼女の依頼は、自分のフェラーリを運転して、12時までにサウスポイントまで連れて行って欲しいというもの。「私」は、かつてレーサーだったのです。しかし12時までは、残り2時間。雨上がりの道で130マイル以上出さなければならないとあって、1万ドルの報酬を約束されるものの、理由を話そうをしない彼女の依頼を受けることを渋る探偵。しかしそこに現れたカイル・ライリーが、代わりに運転手役を務めることに。現在はアル中のカイルもまた、かつてはレーサー。そして数日後、サラ・マーメイドの父親が、サラの行方を捜して欲しいと事務所を訪れます。

島田作品には珍しいハードボイルド。それも日本を舞台にしたものではなく、アメリカ西海岸を舞台にしているということで、まるでダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーの作品のようですね。主人公の「私」は、年は30過ぎ、なかなかハンサムな人物のようで、初対面の女性を強引に食事に誘っても断られずに済むようです。そして厄介ごとを持ち込む美女と、大の私立探偵嫌いの殺人課課長。絵に描いたようなハードボイルドでした。サラが人魚のように水中で揺らめいているシーンが印象に残ります。


「確率2/2の死」光文社文庫(2000年2月読了)★★★

プロ野球のエースの子供が誘拐されます。身代金は一千万円。吉敷は一千万円の入ったかばんを持ち、犯人の指示に従って走ります。赤電話から赤電話へ、犯人に翻弄される吉敷。しかしもうこれ以上は走れないという時、犯人側は急に子供は解放、しかも身代金をも放棄してしまうのです。あと一歩で難なく身代金をとれたはずなのに、何故犯人はあきらめたのかと釈然としない吉敷は…。

あと一歩で身代金がとれるというところ手を引く犯人には、吉敷ではないですが、私も意表をつかれました。てっきりこの状態で、吉敷が何らかの手をうつのだと思ったのですが。しかしさすが島田作品、上手いですね。なるほど納得です。
ただ、途中1つ気になったのは、途中で死ぬ人間について。どうも無理に殺されているという印象なのです。それが後の展開に繋がっていくにせよ、これでは少し苦しいのではないでしょうか。そのせいか、作品全体が少々軽い印象になってしまいました。しかし携帯電話が普及してしまった現在では成り立たない場面もいくつかあるのですが、そういった古さは全く感じさせないです。走っている吉敷も相変わらずかっこいいですね。走りながら年を感じているのが、ちょっぴり寂しいのですが。


「網走発遥かなり」講談社文庫(2002年1月読了)★★★★

【丘の上】…隣の家に住む笠井老人は、毎朝自宅の門の前にある熊笹の所に座り込んで一体何をやっているのでしょうか。どうやら丘の上の成城の高級住宅地を見ているようなのですが…。
【化石の街】…ピエロの扮装をした男は、どうやら宝探しをしているよう。資金繰りに困っていた里美太一は、どうにかして宝探しに加わって分け前を得たいと考えます。
【乱歩の幻影】…写真館をしていた父のところに現像の依頼をしながらも、結局取りに来なかった美しい女性。その写真にはなんと江戸川乱歩が写っていたのです。
【網走発遥かなり】…伯父の里美太一に誘われて北海道旅行へと出かけた新造。父である小笠原淳一郎が亡くなった不可解な事件の謎を知りたくて、その事件が起きた湧網線に乗り込みます。

オムニバス形式の作品。小笠原淳一郎という作家を主軸として、色々な時間や人間、都市を舞台に、3編の短い物語が繰り広げられます。最初の3編の作風は様々なのですが、最終章「網走発遥かなり」を読んだ時、その叙情的な作風がその前の散文的な3編を見事に包み込んでいるのが分かります。内容的にはいわゆるミステリではありませんが、それぞれの短編の繋がりと、その収束していくさまこそが、ミステリだとも言える作品です。


「展望塔の殺人」光文社文庫(2002年1月読了)★★★

【緑色の死】…異常なほど緑色を嫌う被多野一郎。緑のない都会に住み、家庭内からも緑色を排除した生活。そんな彼に、30年以上前の父親の手紙を預かっているという、父の昔の同僚からの連絡が。
【都市の声】…ふと入った果物屋に自分宛の電話が入り、驚く吉井優子。次に入ったブティックでも、通りすがりのケーキ屋でも、行く先々の赤電話が彼女を追いかけるかのように執拗に鳴り響くのです。
【発狂する重役】…荻窪の焼き鳥屋で、吉敷が顔見知りの男に語った話。ある商事会社の切れ者の重役が、自分のデスクの上に置いたハイヒールの片方を見つめながら、発狂していたというのです。
【展望塔の殺人】…展望塔のフロアでココアを注文した2人連れの婦人。アルバイトの矢部冨美子は、ココアをテーブルまで運んだ時、突然片方の婦人を刺殺。初対面の2人のはずなのになぜ。
【死聴率】…7年前、満を持して送り出したドラマの視聴率が思ったほど上がらず、FXTVのディレクターはこのままでは首になるのが確実な状態。視聴率をあげるために、彼がとった方法とは。
【D坂の密室殺人】…30年ほど昔、近所で殺された紳士。犯人とされたのは、同じく近所に住む気のふれた女性。自室の窓から2人のやり取りを見ていた「私」も、彼女が犯人だと思い込んでいました。

短編集。吉敷が登場するのは「発狂する重役」と「展望塔の殺人」の2作です。
「緑色の死」確かに緑色はそういうイメージですが…。歴史は本当に繰り返しているのでしょうか。ラストが怖いですね。「都市の声」は「殺人ダイヤルを捜せ」と同様の電話ネタ。からくりが分かってしまえば、案外単純なことなのですが、しかし実際にこのようなことが起きたらかなりの恐怖。「発狂する重役」外交官夫人の悲哀。重役はいい気味です。しかし狂いたくもなるでしょうね。「展望塔の殺人」衝動殺人かと思えば、なんとも根深いものがあったのですね。シビアな社会問題を含んだ内容。「死聴率」は「白い巨塔」の田宮二郎さんをモデルにした作品。これが真実だったのではと思わされてしまいます。「D坂の密室殺人」冤罪事件。偏見と先入観による思い込みにマスコミによる報道が加わった時、真実が作り出されてしまうのですね。
様々な形で描かれた「都市の恐怖」が見えてきます。どれも社会的な問題を内包し、書かれた時代を思い起こさせるのですが、特に「都市の声」のストーカー問題、「展望塔の殺人」の教育問題、「D坂の密室殺人」の冤罪問題は、その後の島田作品の進んでいく道への予感を感じさせる作品でした。


「御手洗潔の挨拶」講談社文庫(2002年1月再読)★★★★★お気に入り

【数字錠】…御手洗の元を竹越刑事が訪れます。小さな看板屋の社長・吹田久郎が仕事場で仮眠をとっている時にナイフで刺されて死亡。容疑者は2人に絞られているのですが、現場が数字錠で施錠され、密室状態だったというのです。
【疾走する死者】…アカと名乗る男性に誘われ、隈能美堂巧は友人のパフと一緒に、ジャズ好き人間の集まり「バード・ケイジ」に参加。嵐で停電になった隙に、参加者の1人が装身具を盗んで逃げようとするのですが、マンションから飛び降りた彼は、近くの高架の線路で轢死体となっていました。
【紫電改研究保存会】…部長と飲みに行った「私」は、「不可解なるもの」に出遭ってみたいという部長に、自分の体験談を語ります。7年前、職場にやってきた男性は紫電改研究保存会会長だと名乗り、「私」を脅迫をした上で、数時間宛名書きを手伝わせたのです。
【ギリシャの犬】…日本のオナシス・青葉照孝の妹・青葉淑子が御手洗の元を訪れます。彼女の家の隣のたこ焼き屋の屋台が丸ごと盗まれたというのです。最初は興味を示さない御手洗ですが、目が不自由な彼女の盲導犬がその事件で毒殺されたことを知り、引き受けることに。

「数字錠」これは「占星術殺人事件」の後の事件。いつも傍若無人な振舞いのように見える御手洗ですが、それはきちんと相手を見極めてのこと。放っておいても大丈夫な相手は放っておくだけなのですね。傲慢な人間にはエキセントリックさを全開にして煙に巻きますが、きちんと接してあげなくてはいけない相手には、きちんと正面から向き合っています。弱者には、ひたすら優しいのです。東京タワーのシーンがいいですね。MPというのは、やはりマキシム・ド・パリでしょうか。2人が紅茶党になったわけも、ここで分かります。「疾走する死者」バンドの演奏シーンが最高です!御手洗もレスポールで本領発揮してくれます。チック・コリアの「第七銀河の彼方に」が聴いてみたいです。隈能美堂巧は「嘘でもいいから殺人事件」、担当の中村刑事は「火刑都市」、糸ノコとジグザグのマスターは「毒を売る女」の「糸ノコとジグザグ」にも登場。「紫電改研究保存会」まるでドイルの「赤毛連盟」のような話ですね。しかし江戸川乱歩的な雰囲気もあるような。愉快な話です。ここの店はきっと「糸ノコとジグザグ」なのでしょうね。「ギリシャの犬」御手洗潔が、京大医学部を2年で退学し、ジュリアード音楽院に行ったというのは、ここに書いてあったのですね。事件の繋がり方が見事でした。
とてもレベルの高い短編集です。ある程度島田作品を読み込んでいる人なら、ニヤリとさせられる部分が多いはず。そういう人にオススメです。


「ひらけ!勝鬨橋」角川文庫(2002年1月読了)★★★★★お気に入り

千葉県O市にある老人ホームでは、入る時に納付した金額によって「プレジデント・ハウス」「誠心舎」「竹の子寮」という3種類の建物に割り当てられます。その中でも「竹の子寮」には、お金を全く払えなかった老人、ここに入れなければ浮浪者になるしかないような老人たちが住んでいました。しかし貧しいけれど威勢は良い彼らのこと、ゲートボールチーム「青い稲妻」を結成し、近所の中古車屋の娘・翔子をコーチに練習を始めます。プレジデント・ハウスや誠心舎の面々に笑われながらも、ランニングや柔軟体操、そしてルールを覚えることに専念する彼ら。そんな折、老人ホームにいきなりヤクザ者たちが乗り込んできます。館長が悪質な詐欺にあい、土地や建物の権利が富倉商事に差し押さえられてしまったのです。

笑いの中に高齢化社会に対する毒を含めた作品。しかしまだ現在の作品のような社会派作品の域にまでは達しておらず、どちらかといえばエンターテインメントに徹した作品です。
始めのうちは、老人たちがギャグのように描かれています。それもかなり酷い描き方で、読んでるこちらが心配になってしまうほど。面白くはあるのですが、ブラックな描写がなんとも言えません。しかしこのブラックさが、後半にとても生きてくるのですね。
後半の読みどころはゲートボール勝負と、ポルシェ911を中心とした迫力のあるカーチェイス。これほど息詰まるようなゲートボール対決を本で読むことになろうとは思ってもみませんでした。ゲートボールも面白い競技なのですね。そしてカーチェイス。島田氏の趣味が存分に発揮されてますね。青い稲妻の面々は、元は裕福な家庭に生まれたのに、車やバイク、モータースポーツに入れ揚げ過ぎたせいで、財産を失ってしまったという設定。後半の老人たちは、とても生き生きとしています。読んでいて痛快ですし、スピード感も緊張感もたっぷり。どこまで現実味があるかどうかは別としても、読後感はとても爽やか。
1章が「キリギリスたち」2章が「蟻たちの災難」と、こういうところも凝っていますね。青い稲妻の老人たちの名前が「本田叡吉」「松田美作」「川崎慎太郎」「鈴木出介」「豊田井平」「山波陣兵衛」と、苗字がメーカーの名前となっているのもご愛嬌。(山波はヤマナミと読ませてますが、ヤマハでしょうね)竹の子寮に住むイネばあさんも意外とハードボイルドでかっこいいです。読む前は、まさかこういう作品だとは思ってもみませんでした。面白かったです。読んだ人に元気を与えてくれるような作品です。


「灰の迷宮」光文社文庫(2000年2月読了)★★★

新宿西口で起こったバス放火事件。放火されたバスからいち早く逃げ出した男は、タクシーに轢かれて死亡してしまいます。その男と2年前の迷宮入りの事件との奇妙なつながりを感じた吉敷は、鹿児島へと飛ぶことに。

吉敷が良いですね。通子さんが絡んだ時の吉敷はどうも女々しくなってしまうのですが、他の女性が事件にからんだ時の吉敷は、とても硬派でかっこいいです。そして最後に見せる涙に、とても人間味があります。茂野恵美の孤独さと一途な純情さもいいですし、留井刑事もなかなか良い味を出してます。ミステリとしては、確かに最後に驚かされたのですが、少々現実味がなかったという印象。ミステリというよりも人間で読ませる話だったような気がします。


「毒を売る女」光文社文庫(2002年1月読了)★★★★★お気に入り

【毒を売る女】…娘の幼稚園仲間の大道寺靖子の夫が倒れ、夫が医者の「私」が相談を受けることに。彼女の夫はなんと梅毒だったのです。その後梅毒のことを詳しく調べたらしい彼女は、「私」に接近するようになります。手土産も自由が丘の店のケーキから、すべて手作りの生物へ。
【渇いた都市】…「私」がよく行くスパゲッティ屋で、女性客が入っているトイレのドアが開いてしまい大騒ぎ。一方、田中は行きつけのスナックで出会った恵美という女の子に夢中になっていました。
【糸ノコとジグザグ】…同僚の林の紹介で横浜のジャズバー「糸ノコとジグザグ」に行くと、そこには演説をしている男性が。バーテンによると、かつてお世話になった人なのだそう。店の名前にも興味を持つ「私」に、バーテンは林が前年に出したエッセイを渡し、読んでみるように促します。
【ガラスケース】…職場のネクタイ売り場で不要になったガラスケースを引き取った「私」。砂を敷き水を入れ、川で拾ってきたかえるの卵を入れると、卵は早速おたまじゃくしになり…。
【バイクの舞姫】…車に乗っていた「私」の目の前に現れたのは、15年前に自殺をしたはずの爽片子。それがきっかけとなり、「私」は長年の懸案であった伊豆松崎の長八美術館を訪れることに。彼女が最期に遺した言葉が「入江長八」だったのです。道中、私の目の前には、幾度となく爽片子の幻影が…。
【ダイエット・コーラ】…ダイエット・コーラが世界中で大当たり、莫大な財産を得た蓑村八兵衛。しかし彼には、就寝時間と起床時間が毎日1時間ずつずれていくという奇妙な癖があったのです。
【土の殺意】…吉敷刑事が担当することになったのは、早朝銀座の路地裏で見つかった絞殺死体。被害者は国土庁の役人を引退後、現在はほとんど人付き合いをしていなかったといいます。容疑者は、前日の夜、被害者が飲み屋で一緒になったという地上げ屋。
【数字のある風景】…ある日、電話やラジオから数字の羅列が聞こえてきます。そして10年たち、「私」はその数字の意味を理解することに。世の中の動きが手にとるように分かるようになった「私」ですが、ある日突然、自分以外の人間の話す言葉がすべて数字の羅列となって聞こえてくるようになるのです。

「毒を売る女」これはホラーと言っても差し支えないかも。怖いです。「渇いた都市」まさか1つに繋がるとは。「糸ノコとジグザグ」この作品はまさに島田作品!暗号のような文章を、スタッフと視聴者が一緒になって解いていくところがいいですね。「演説病の先生」は、言うまでもなく彼。このマスターは、「御手洗潔の挨拶」の中の「疾走する死者」にも登場しています。「ガラスケース」SFっぽいショートショート。シュールです。「バイクの舞姫」幻想的な物語です。「ダイエット・コーラ」これもSFでしょうか。「土の殺意」吉敷は登場しますが、メインは国土庁を引退した老人の語る都市論。「数字のある風景」凄い話ですね。これもSF風です。
バラエティに富んだ短編集。SFテイストな島田作品なんて珍しいですね。この中で私が気に入ったのは「毒を売る女」「糸ノコとジグザグ」「ガラスケース」。さすが島田荘司、と思わせてくれる作品ばかりです。

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