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そのまま宝物にしてしまいたくなる、素敵な本を集めてみました
装丁もレイアウトもデザインも素敵で、見ているだけで幸せになれる本ばかりです

宝物にしたくなる本■
「アリスの不思議なお店」フレデリック・クレマン 紀伊国屋書店

1996年度ボローニャ国際児童書展ラガッツイ賞受賞作。フレデリック・チック・チックというマッチ売りをしている男が、アリスへの誕生日の贈り物にするために、古今東西のお伽話の中から見つけてきたような不思議な品物の数々。「白雪姫の口紅とおしろい入れ」「小天使の鈴」「シンデレラの笑いのかけらとガラスのかけら」…こんな品物を売っているお店が本当にあったら、どんなに素敵でしょうね。写真やイラストや様々なオブジェ、そして言葉のコラージュ。どのページをとっても額に入れて飾っておきたくなるような素敵な本です。

本の本」横山犬男・寺田順三 ワールドコム

「架空の絵本のエディトリアルデザイン集」 なんとも言えないノスタルジックな柔らかい色調の寺田順三さんのイラストと、そのそれぞれに添えられた、横山犬男さんの書いた文章。イラストはまるで古いポスターを見ているようで、文章はまるで古いLPレコードの音楽が聞こえてくるよう。何ともいえない味わいがあり、いつまででも眺めていたくなります。

「どこかにいってしまったものたち」クラフト・エヴィング商會 筑摩書房

クラフト・エヴィング商會の本はどれも大好き。これは最初の本で、「以前はあったけれど今はもうない」という架空の品々のカタログとなっています。架空の国・アゾット(AZOTH)にまつわる「クラウド・コレクタ−」「すぐそこの遠い場所」もオススメですし、その他にも、「らくだこぶ書房21世紀古書目録」「ないもの、あります」「じつは、わたくしこういうものです」などの作品があります。クラフト・エヴィング商會のユニットである吉田篤弘さんや吉田浩美さん、吉田音さんの本もそれぞれに素敵です。私の詳しい感想はコチラ

「ブローチ」文:内田也哉子 絵:渡邉良重 リトルモア

渡邉良重さんの絵に、内田也哉子さんの言葉が添えられた絵本。明るくてはっきりとした、それでいて優しい色合いの絵に、ほんの少しの言葉。中のページが全て薄紙で出来ているので、次のページの絵や文字がうっすら見えます。絵は直接見るのとはまた違う表情を見せてくれますし、言葉は向こうからこちらにやってきてくれるよう。それもまたとても素敵なのです。

「青い月の物語」小浦昇・青居心 ダイヤモンド社

青い色を基調として描いた繊細なイラスト(実は銅版画なのだそう)の数々はとても幻想的で、見ているだけでも頭のどこかが刺激されて、何かが作れるような気がしてきてしまいます。第2弾として「赤い月の物語」も出版されており、そちらの暖かい色合いにも惹かれるのですが、やはり「月」には青の方が合っているのではないでしょうか。この静謐な世界が素敵。本当にとても綺麗な絵本です。

「一千一秒物語」稲垣足穂・たむらしげる ブッキング

稲垣足穂さんの70編ほどのショートショート「一千一秒物語」に、たむらしげるさんの絵を合わせた絵本。「一千一秒物語」は大正時代に書かれたはずなのに、今読んでも違和感がまるでないのが驚きです。足穂という人が相当のモダンボーイだったということなのでしょうね。そしてたむらしげるさんの絵も、本当にこの世界のイメージにぴったりです。

冥途」内田百閨E「夢十夜」夏目漱石・「猫町」萩原朔太郎 パロル舎

金井田英津子さんの挿画や装幀がとても素敵な3冊。既に知ってる物語も、挿絵によって新たなイメージが膨らみますし、知らない物語は独特な世界に引きずり込まれるような感覚。これはもう既に挿絵というレベルではなく、コラボレーションなのですね。隅々まで作り手の神経が行き届いているが分かります。妖しくて美しくて、まさに夜の世界。

ルバイヤート-中世ペルシアで生まれた四行詩」オマル・ハイヤーム ロナルド・バルフォア絵(竹友藻風訳) マール社

「ルバイヤート」は19世紀の詩人・フィッツジェラルドによって英訳され、全世界に広がったのだそう。これは装幀が非常に美しい本。表紙も濃紺に金や銀を使っていて美しいですし、中にもふんだんに繊細なペン画の挿絵が使われています。ただ、これはフィッツジェラルドの英訳からの重訳なので、原典にもっと忠実なものを望む場合は、岩波文庫版「ルバイヤート」がオススメ。1949年の口語訳なので、今の時代に読むと良い感じに古びて格調高く、それでいて読みやすいです。私の詳しい感想はコチラコチラ

「コーネルの箱」チャールズ・シミック 文藝春秋

「箱の芸術家」ともいわれるジョゼフ・コーネルは、ニューヨークの古本屋や古道具屋を漁り、古い書物やレコード、写真、ポスター、その他の小物を集め、それらを箱の中に収めて小さな宇宙を作り出した芸術家。他の人間には単なるガラクタとしか思えないような物も、コーネルによって命を吹き込まれ、見違えるように生き生きとしてきます。そしてそのコーネルの箱に触発され、言葉をつけたのが詩人のチャールズ・シミック。2人のコラボレーションで、なんとも美しい小宇宙が広がります。

「ムットーニ おはなしの小部屋」武藤 政彦 平凡社

オートマタ作家・ムットーニこと武藤政彦氏による創作ファンタジー絵本。タロットの大アルカナカードをなぞらえたイラストそれぞれに、1つずつ<おはなし>がついています。イラストの色合いもとても美しいですし、幻想的な<おはなし>もとても素敵。アトリエの引き出しに眠っていたという、オルゴールの設計図のメモとタイムテーブル「Muttonismo」、24個のムットーニ手作りの機械仕掛けの人形が演じる芝居を、夜を感じさせる美しい写真に収めた「Muttoni Cafe」も。

「白猫亭 追憶の多い料理店」宇野亜喜良 小学館

タイトル通り、そのまま料理店のメニューのようになっています。「切ない気持ち」と「ダイヤモンド・ダスト」をシェイクして、冷やした水晶のグラスに注ぐ「ミラージュ・ボール」という食前酒からはじまり、「朝の光」と「苦笑い」、そしてトッピングとして「古いシャンソン」が添えられた、食後の「苦笑い付きコーヒー」までのフルコース・ディナー、追憶のスペシャル・メニュー。なんとも妖しくてゴージャスな世界です。

スコープ少年の不思議な旅」巖谷國士文・桑原弘明作品 パロル舎

桑原弘明さんが作られた手作りの極小のスコープ。堅固な合金で作られたスコープは手に乗せるとずっしりと重く、何かの予感を感じさせ、箱の側面にある小さな円い穴に懐中電灯の光を当てながら覗くと、そこには小宇宙が広がります。光を入れる窓によって、白昼夢のようになったり、夕暮れ時になったり、また違った様相を見せるのだそう。視野いっぱいに広がる小さな幻想的な世界を、ぜひとも体験したくなってしまいます。箱の外側の装飾も中の情景とマッチしていて美しいです。

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