インドに関する小説作品や紀行文、エッセイなどです
やはりインド独特のあのパワーには、無視できないものがあります
まだまだ読みたいので、オススメがあれば教えて下さいね
インドを舞台とする作品(小説編)■
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マハーラージャ殺し」 H.R.F.キーティング ハヤカワ文庫HM
1930年代のインドを舞台にしたミステリ。ボーポール藩王国では、大王(マハーラージャ)はエイプリルフールの悪戯を仕掛けてご機嫌。そして翌日、宮殿に集まっていた12人の客と共に狩に出るのですが、最新型の銃が暴発して大王は死亡します。どうやら銃には何者かによって細工がされていたらしいのですが… という物語。インドを舞台にしたミステリというのも珍しいですし、インド独特の雰囲気がとても楽しい作品です。
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タマスターラー-インド幻想夜話」タニス・リー ハヤカワ文庫FT
インドを舞台にした短編集。古い時代のインドから未来のインドまで、舞台となる時代は様々ですが、どれもインドならではのエキゾチックで妖しい雰囲気がたっぷり。タニス・リーの耽美な作風にも良く合っていますね。収められている7編のうちでは、私は幻想的な「龍の都」と、意外なほど暖かいラストが待っていた「月の詩」がお気に入りです。私の詳しい感想は
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インド夜想曲」アントニオ・タブッキ 白水社Uブックス
失踪した友人を探してインドの各地を旅する男の物語。手がかりがあまりに少なく、主人公は細い糸を辿るように様々な場所を訪れ、様々な人に話を聞くことになります。場末の娼婦に「彼は病気だった」と聞けば病院を訪ね、そこにも何も手がかりがないと知ると、医者がふと名前を出したホテルに泊まりに行き… そのようにして訪ね歩いているうちに、まるで合わせ鏡の中に入り込んでしまったような感覚。…そして最後に映し出されたものは…? インドを辿る旅でありながら、自分自身の内面への旅でもあり、とても幻想的。ごく短い作品ですが、これはクセになりそうです。私の詳しい感想は
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停電の夜に」「
その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ 新潮クレストブックス
ロンドン生まれで現在はニューヨーク在住、しかし両親はカルカッタ出身のベンガル人だというジュンパ・ラヒリの作品は、インドからアメリカに渡った人々の物語。インドを舞台としたインド人作家の作品とはまた全然雰囲気が違っていて、そっけないほど淡々とした文章ながらも、鮮やかな印象を残します。私の詳しい感想は
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グアヴァ園は大騒ぎ」キラン・デサイ 新潮クレストブックス
大旱魃の後のモンスーンの到来と共に生まれて、「幸運」を意味する名前がつけられたにも関わらず、すっかり無気力な人間に育ってしまったサンパト。突然啓示を受けてグアヴァの木に登ってしまったサンパトを、父親は聖人として売り出すことを思いつき… という物語。終盤のドタバタぶりはあまり好きではないのですが、インドの庶民の生活ぶりや街中の喧騒がフルカラーで迫ってくるような、そのままインド映画のような物語です。私の詳しい感想は
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屍鬼二十五話-インド伝奇集」ソーマ・デーヴァ 平凡社東洋文庫
1人の修行僧に頼まれ、夜中に宮殿を抜け出して男の死体を取りに行った王様の物語。死体には屍鬼が取り憑いており、王が死体を担いで歩き出すと、物語を1つ話して聞かせます。その物語の最後には謎掛けが待っており、王がそれに答えた途端、死体元の場所に戻ってしまい、王様は再び取りに行くことに… というインド版「千夜一夜物語」。荒唐無稽な物語も面白いですし、25の話がどのようにして終わるかというのも楽しいところです。私の詳しい感想は
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少年キム」ラドヤード・キプリング 晶文社
19世紀末のインドが舞台。アイルランド人の父とインド人の母の間に生まれ、幼い頃に両親を亡くしたキムは、白人ながらも土地の者と同じように暮らす13歳の少年。そんなキムが、ある日出会ったラマと共に旅に出ることになる物語。キプリング自身がインドで生まれた人だそうで、猥雑でおおらかなインドの雰囲気がたっぷりです。私の詳しい感想は
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ラーマーヤナ」上下(河田清史訳)レグルス文庫
「マハーバーラタ」と並ぶ、インドの2大古典叙事詩。多くの神々が魔王ラーヴァナの奴隷になってしまったことを知った至高神・ヴィシュヌが、神々を猿や猩々に転生させ、自分も北インドの国の王子・ラーマに生まれ変わり、魔王ラーヴァナを倒すまでの物語。インドに伝わる民間伝承をヴァールミーキが紀元3世紀ごろにまとめたもの。児童向けの易しい物語調で少し物足りないのですが、現在一番入手しやすい版がこれです。私の詳しい感想は
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ラーマーヤナ 上」「
ラーマーヤナ 下」
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風の誘い」茂市久美子 講談社
旅行会社をやめてきたばかりの「わたし」が引き受けたのは、シャーリマールという古い絨毯の専門店のために、インドへ若草の中にひなげしを織り込んだ春の絨毯を探して来る仕事。一緒にジャイプールの壷と、アグラの宝石箱も探すことになります…。児童書ですし、1週間という短い旅の中での物語なので、やや都合が良すぎる部分もありますが、訪れた各地で聞くことになる昔の物語が素敵ですし、目にする幻想的な情景がとても美しいです。私の詳しい感想は
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インドを舞台とする作品(エッセイ・その他編)■
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インドでわしも考えた」椎名誠 集英社文庫
インド人は老若男女、朝晩カレーを食べているのか、カースト制度は今もなお生きているのか、なぜターバンをまくのか、そして女性はサリーしか着ないというけど本当か… これぞまさしく椎名さんの見た感じたインド。妙な先入観とは無縁で、しかも好奇心も行動力もたっぷりの椎名さんの暖かい視線が捉えたインドの姿がそのまま書かれています。一緒に収められたインドの人々の写真も、インドのパワーがダイレクトに伝わってくるような印象的な写真ばかり。妹尾河童さんの「河童が覗いたインド」と合わせて楽しむのがオススメ。まるで違う2冊ですが、インドに向ける視線の根っこがとても似ています。
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オーケンののほほんと熱い国へ行く」大槻ケンヂ 新潮文庫
オーケンのインドとタイの旅行記。インドと聞いて真っ先に思い出すのが「レインボーマン」のオープニングテーマだというオーケンがTVのインド紀行番組でインドに行き、果たしてインドが自分にとって「自己改革の場」となるのか確かめることになります。旅に勝ち負けがあると考えるオーケン、インドは果たしてどちらに出るのでしょう。後半は、電撃のように「熱い国を旅したい」と感じたオーケンがバンド活動を休んで、タイをバックパッカー旅行をする「ホテホテとタイを歩く」。どちらもオーケンの普段の語り口そのままの文章が楽しいです。
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インド神話-マハーバーラタの神々」上村勝彦 ちくま学芸文庫
インド・アーリア人にとって最古の文献「リグ・ヴェーダ」が成立したのは、紀元前1200年前後。既存の参考文献は二次的資料を元に書かれたものがほとんどであまり信頼がおけないと、「マハーバーラタ」を原典で読み始めたという上村氏が、「マハーバーラタ」やヴェーダ諸文献などをあたって選び出した神話の数々。極力二次的資料に頼らず、原典に忠実に紹介しているというところがいいですし、とても読みやすくまとまっていると思います。私の詳しい感想は
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