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位置的には北欧圏でありながらも、フィンランド人はバルト・フィン語族だったため
北欧神話を伝えてきたゲルマン系の人々とは人種や言語が全く異なり、同化もしなかったようです
ここでは、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に関する作品を中心に扱います

フィンランド神話関連作品(叙事詩編)■
カレワラ物語-フィンランドの国民叙事詩」キルスティ・マキネン(荒牧和子訳)春風社(2005/05)

世界三大叙事詩の1つ、フィンランドの叙事詩「カレワラ」を物語形式にしたものです。あわ立つ海面を吹いた風によって身ごもった、美しい大気の乙女・イルマタルが生んだのはヴァイナモイネン。ヴァイナモイネンは生まれた時から力が強く、賢く、とても年を取っていました。内容的には神話のはずなのですが、どちらかといえば英雄譚の雰囲気。ただし、この訳は児童書のような易しい物語調です。私の詳しい感想はコチラ

カレワラ-フィンランド叙事詩」上下 リョンロット編(小泉保訳)岩波文庫(1976/08)

上の「カレワラ物語」とは違い、こちらはきちんと叙事詩形式で訳された「カレワラ」。何といっても詳しいですし、小泉保さんの訳も素晴らしいので、入手できるものなら、断然こちらをオススメしたいです。とても私好み。私の詳しい感想はコチラ
カレワラ 上」「カレワラ 下

カレワラ物語」小泉保編訳 岩波少年文庫(2008/11)

未読。

カレワラ タリナ」マルッティ・ハーヴィオ編(坂井玲子訳)北欧文化通信社(2009/01)

かつてレグルス文庫から出ていたものが復刊したもの。これまでは散文で書かれることのなかった「カレワラ」を、散文形式の物語に書いたものです。「タリナ」とはフィンランドの言葉で「物語」ということ。(英語では「tale」) かなり簡単になっていますが、入門編としては分かりやすいのでオススメです。私の詳しい感想はコチラ


フィンランド神話ラ関連作品(解説編)■
カレワラ神話と日本神話」小泉保 日本放送出版協会(1999/03)

フィンランドの国民的叙事詩カレワラを主軸に、古事記や日本書紀、さらにはギリシャ神話や世界各地に伝わる神話や民間伝承を比較し、共通するモチーフを抽出していく本。天地創生(卵生神話)、課題婚、呪的逃走、カレワラの骨格、再生、天体解放、児童神、禁室型説話、宇宙樹、 母子神、兄妹相姦、三機能という12章に分けて様々なテーマが取り上げられています。世界各地に伝わる物語に共通する部分がこれほど沢山あるのには驚かされました。私の詳しい感想はコチラ


フィンランド神話関連作品(応用編)■
北の魔女ロウヒ」トニ・デ・ゲレツ文 バーバラ・クーニー絵(さくまゆみこ訳)あすなろ書房(2003/01)

ワイナモイネンがカンテレで奏でる美しい音色に、太陽や月まで降りてきたのを見た魔女のロウヒは、いきなり鷲に変身すると月と太陽を掴んで飛び去り、山の中に閉じ込めてしまいます。おかげで世界は闇の中に… という「カレワラ」の絵本。ロウヒは魔法で変身もできるのに、雪が降るのを見ていそいそとスキーを用意し、気がつけば雪の上を滑るのではなく空を飛んでいたという辺りもお茶目ですし、鍛冶屋のイルマリネンが鉄の首輪と鎖を作ってるのを見た後の反応も、筋金入りの邪悪な魔女とは到底思えない可愛らしさです。

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