Livre資料室TOP≫HOME≫
Livre

各地を訪れて竪琴を奏で、歌い語った吟遊詩人たち
叙事詩とは本来、神話や英雄、宮廷愛など吟遊詩人が歌った物語が、後世に伝えられてきたものです
神話を歌った作品はそれぞれの神話の紹介ページにありますので、合わせてどうぞ

叙事詩作品■
ベーオウルフ-中世イギリス英雄叙事詩」(忍足欣四郎訳)岩波文庫(1990/08)

8世紀頃に作られたとされる、古英語の英雄叙事詩。英文学史上で最も古い作品とされています。しかし舞台は英国ではなく、デンマーク。前半は、ヴァイキングの若き英雄・ベオウルフが、怪物グレンデルの噂を聞いてデネの国に退治に訪れた物語、そして後半はイェーアト族の国に帰り、ヒイェラーク王やその王子の死のために心ならずも王位を継ぐことになったベオウルフが、老域に入った時に竜を退治することになる最後の戦い。私の詳しい感想はコチラ

完訳カンタベリー物語」全3巻 ジェフリー・チョーサー(桝井迪夫訳訳)岩波文庫(1995/01)

14世紀のイギリスにおける国民的叙事詩。カンタベリーへの巡礼に出かける身分も職業も様々な32人の人々が、道中物語を披露していくという物語。チョーサーはそれぞれの人物に語るに相応しい物語を語らせており、それがこの作品全体をバラエティ豊かな物語群としています。それぞれの物語の配置の妙も見事ですね。私の詳しい感想はコチラ
完訳カンタベリー物語 上」「完訳カンタベリー物語 中」「完訳カンタベリー物語 下

No Imageローランの歌・狐物語-中世文学集2」(佐藤輝夫訳)ちくま文庫(1986/10)

「ローランの歌」は、11世紀頃に成立したとされているフランスの叙勲詩。シャルルマーニュ率いるフランク王国とスペインのイスラム帝国の戦いを描いた、フランス文学の始まりと言われる作品です。「狐物語」は、12世紀後半頃に北フランスで作られた寓話詩で、ルナールという悪賢い狐が鶏や狼、熊といった面々を騙して酷い目に遭わせていきます。私の詳しい感想はコチラ

神曲」ダンテ(平川祐弘訳)河出書房新社(1992/03)

ダンテがウェルギリウスに助けられて地獄、煉獄、そしてベアトリーチェに案内されて天国を旅する物語。3つの世界の中で一番興味深かったのは地獄。ギリシャの著名な詩人や哲学者、かつては旧約聖書に登場するような人物までもが「辺獄(リンボ)」に堕とされていたのには驚かされました。救われる見込みはほとんどないとは言え、地獄の一番上の層は居心地が良さそうです。それに地獄の第二圏にいる、夫の弟と恋におちたラヴェンナのフランチェスカも印象に残ります。下手に煉獄に行くよりも幸せそうです。私の詳しい感想はコチラ

狂えるオルランド」ルドヴィコ・アリオスト(脇功訳)名古屋大学出版会(2001/08)

8世紀末のシャルル・マーニュ率いるキリスト教徒軍とイスラム教徒軍との戦いや、騎士たちの恋や武勲を描いた物語。フランスの叙事詩「ロランの歌」の「ロラン」は、イタリア語では「オルランド」。15世紀に書かれたボイアルドによる「恋するオルランド」の続編だそうなのですが、その「恋するオルランド」は作者の死により3巻で未完となっており、しかも日本語には翻訳されていません。そちらを読んでいないので、最初は物語世界に入るのにとても苦労したのですが、3章辺りから突如面白くなりました。私の詳しい感想はコチラ

妖精の女王」全4巻 エドマンド・スペンサー(和田勇一・福田昇八訳訳)ちくま文庫(2005/04)

16世紀の英国の詩人、エドマンド・スペンサーの代表作となった長編叙事詩。アーサー王伝説に題材をとり、「紳士、即ち身分ある人に立派な道徳的訓育を施す」という目的の元に書かれたという作品。しかし実際にはアーサー王や円卓の騎士たちというよりもむしろ、伝説に見られる騎士道や探求をモチーフにした作品と言えそうです。「妖精の女王」とは、当時のイングランド女王、エリザベス一世のこと。私の詳しい感想はコチラ
妖精の女王1」「妖精の女王2」「妖精の女王3」「妖精の女王4

失楽園 上」「失楽園 下」 ジョン・ミルトン(平井正穂訳)岩波文庫(1981/01)

17世紀の詩人・ジョン・ミルトンによる、イギリス文学史上最も偉大な作品の1つとされる叙事詩。スペンサーの「妖精の女王」を読んでいたら、妙に読み返したくなりました。旧約聖書の「創世記」に題材を取った、神に創られた最初の2人の人間アダムとイーヴ、そして彼らを巡る天使と悪魔の物語。ここに描かれている悪魔たちは、とても魅力的です。私の詳しい感想はコチラ


叙事詩解説■
シャルルマーニュ伝説-中世の騎士ロマンス」トマス・ブルフィンチ(市場泰男訳)講談社学術文庫(2007/02)

西ローマ帝国の皇帝となったシャルルマーニュ(カール大帝)は、8世紀から9世紀にかけて活躍した実在の人物。シャルルマーニュとその十二勇士の物語は、「ロランの歌」を始めとして、様々な作品のモチーフとなっています。この本はプルチ「大モルガンテ」、ボイアルド「恋するオルランド」、アリオスト「狂えるオルランド」といった15〜16世紀のイタリアで作られた詩や、フランスの武勲詩などを元に、ブルフィンチが物語形式に書き直したものです。私の詳しい感想はコチラ

Livre資料室TOP≫HOME≫
JardinSoleil