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中国やインド、中東などの多神教の神話関連作品を集めました
アジアの神々は、ヨーロッパの多神教の神々とはまた少し雰囲気が違っていて、興味深いです
まだあまり読んでいないので、これからこつこつと探していきたいと思っています

アジア神話関連作品作品(叙事詩編)■
ギルガメシュ叙事詩」(矢島文夫訳)ちくま学芸文庫(1998/02)

古代メソポタミアで成立したという、現存する世界最古の叙事詩。主人公のギルガメッシュは、B.C.2600年頃にシュメールの都市国家ウルクに実在した王なのだそう。原テキストの約半分は既に失われており、欠損箇所が非常に多いのですが、それでも40世紀以上時間が経っているものが今でも読めるというのが驚きです。旧約聖書のノアの箱舟の元になったという洪水のエピソードがあるのが興味深いところ。私の詳しい感想はコチラ

王書-古代ペルシャの神話・伝説」フェルドウスィー(岡田恵美子訳)岩波文庫

11世紀初めにフェルドウスィーによって書かれたペルシャ民族高揚の叙事詩。今でもイラン人なら誰でもその一節を暗誦することができると言われているほど、イランの人々に愛されている作品なのだそうです。「神話の王たちの時代」「伝説英雄の時代」の2部構成で、ペルシャ初代の王・カユーマルスから歴代の王たちを紹介。本来なら「神話」「伝説」「歴史」の三部構成なのだそうです。この中で有名なのは聖王ジャムシード王、暴君ザッハーク。そして英雄ロスタムとその息子ソホラーブの悲劇な物語。私の詳しい感想はコチラ

ペルシアの四つの物語」岡田恵美子編訳 平凡社

11世紀初めにフェルドウスィーによって書かれたペルシャ民族の叙事詩「王書」、そして12世紀にニザーミーによって書かれた「ホスローとシーリーン」「ライラとマジュヌーン」「七王妃物語」。これらの物語を美しいミニアチュールと共に紹介していく本です。物語はかなりの抜粋となっているので、詳しい人には物足りないかと思いますすが、入門編としてペルシャの雰囲気を味わうにはぴったりですし、ミニアチュールにも一見の価値があります。私の詳しい感想はコチラ

マハーバーラタ」全8巻(上村勝彦訳)ちくま学芸文庫(2003/01)

未読。

ラーマーヤナ 上」「ラーマーヤナ 下」(河田清史訳)レグルス文庫

「マハーバーラタ」と並ぶ、インドの2大古典叙事詩。多くの神々が魔王ラーヴァナの奴隷になってしまったことを知った至高神・ヴィシュヌが、神々を猿や猩々に転生させ、自分も北インドの国の王子・ラーマに生まれ変わり、魔王ラーヴァナを倒すまでの物語。インドに伝わる民間伝承をヴァールミーキが紀元3世紀ごろにまとめたもの。児童向けの易しい物語調で少し物足りないのですが、現在一番入手しやすい版がこれです。私の詳しい感想はコチラ

屍鬼二十五話-インド伝奇集」ソーマ・デーヴァ 平凡社東洋文庫

1人の修行僧に頼まれ、夜中に宮殿を抜け出して男の死体を取りに行った王様の物語。死体には屍鬼が取り憑いており、王が死体を担いで歩き出すと、物語を1つ話して聞かせます。その物語の最後には謎掛けが待っており、王がそれに答えた途端、死体元の場所に戻ってしまい、王様は再び取りに行くことに… というインド版「千夜一夜物語」。荒唐無稽な物語も面白いですし、25の話がどのようにして終わるかというのも楽しいところです。私の詳しい感想はコチラ

アイヌ神謡集」(知里幸惠編訳)岩波文庫(1978/08)

北海道登別市出身のアイヌ民族・知里幸恵さんによる、アイヌ神謡集の日本語訳。対訳で載っているアイヌ語の原典に関してはよく分からないのですが、日本語訳はとても美しいです。最初の「銀のしずく降る降るまわりに」という言葉から引き込まれました。幸惠さん自身の弟で言語学者の知里真志保さんによる解説は、アイヌ文学への良い入門となると思います。私の詳しい感想はコチラ

ユーカラ-アイヌ叙事詩」(金田一京助訳)岩波文庫(1988/11)

知里幸恵さんの「アイヌ神謡集」とはまた違う神々のユーカラ18編と、英雄のユーカラ「虎杖丸の曲」が収められています。羽衣伝説が含まれているところなどとても興味深いですし、面白いのですが、旧字旧仮名遣いのため非常に読むのが難しく、全てを理解しているとは到底言えない状態です…。

カムイ・ユーカラ―アイヌ・ラッ・クル伝」(山本多助訳)平凡社ライブラリー(1993/11)

未読。


神話関連作品(解説編)■
インド神話-マハーバーラタの神々」上村勝彦 ちくま学芸文庫

インド・アーリア人にとって最古の文献「リグ・ヴェーダ」が成立したのは、紀元前1200年前後。既存の参考文献は二次的資料を元に書かれたものがほとんどであまり信頼がおけないと、「マハーバーラタ」を原典で読み始めたという上村氏が、「マハーバーラタ」やヴェーダ諸文献などをあたって選び出した神話の数々。極力二次的資料に頼らず、原典に忠実に紹介しているというところがいいですし、とても読みやすくまとまっていると思います。私の詳しい感想はコチラ

山海経-中国古代の神話世界」(高馬三良訳)平凡社ライブラリー(1994/01)

山海経とは、作者不詳の中国古代の地理書。最も古い部分は戦国時代(紀元前5〜3世紀)に作られ、その後秦・漢時代にかけて内容が付加され、現在の形になったようです。「五蔵山経」「海外経」「海内経」など全18巻。神話の話というよりもむしろ、神話の存在した「世界」が中心となっています。博物誌と言った方が相応しいでしょうか。地域それぞれの植物や鉱物、動物、そしてそれらの効能などがひたすら詳細に書かれていきます。動物の挿絵にも味があって面白いです。私の詳しい感想はコチラ

列仙伝・神仙伝」劉向・葛洪(上村勝彦訳)平凡社ライブラリー(1993/09)

「山海経」「列仙伝」「神仙伝」「抱朴子」は、元は1冊の本だったのだそう。「列仙伝」では伝説の黄帝から、漢時代に生きていた仙人まで70人を紹介。太公望や老子、介子推など、歴史的な有名人も収められています。「神仙伝」で紹介されてるのは92人、「列仙伝」と重なっているのは老子や彭祖の2人のみ。太上老君として信仰される老子は、どちらからも外すわけにはいかなかったのかもしれないと思うのですが、彭祖もそれだけの有名人だったのですね。ほとんど仙人の基本は、まず食事から。しかしその食事への拘りは人それぞれですし、仙人になる方法も人それぞれで興味深いです。私の詳しい感想はコチラ

中国の神話」白川静 中公文庫BIBLIO(2003/01)

「神話なき国」とされる中国の、断片しか残されていない中国神話の体系的記述を試み、夏や殷といった国々に絡めて、神話の成立や消滅を論じた本。しかし白川氏の専門である漢字、それも殷の甲骨文などを解読しながらの内容はかなり専門的で難しいです。私の詳しい感想はコチラ


アジア神話関連作品作品(発展編)■
薔薇の荘園」トマス・バーネット・スワン(風見潤訳)ハヤカワ文庫SF(1977/11)

3編が収められた中編集。どれも詩人らしい叙情性に満ちた美しい作品ですが、その中で私が一番好きだったのは、ペルシャを舞台にした「ヴァシチ」。紀元前5世紀のペルシャが舞台で、子供が生まれないために、幽鬼(ジン)疑惑をかけられて追放されたペルシャのヴァシチ王妃と、王妃を追いかけた小人のイアニスコスを描く物語です。クセルセス王のギリシャ遠征のことなど史実も交えながら、ゾロアスター教の光明神アフラ・マズダと暗黒神アーリマンが基礎となった、光と闇の戦いが描かれていきます。私の詳しい感想はコチラ

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